「レーシング・ストライプス」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「レーシング・ストライプス」 2004年 アメリカ映画 監督 フレデリック・デュショー 脚本 デヴィッド・シュミット 出演 ヘイデン・パネッティーア |
「レーシング・ストライプス」は
予備知識無く、偏見の無い状態で見てます。
他愛の無い話でしたが、シマウマが競走馬に混じってコースを疾走する姿は、
意外性もあってかっこよく、
家畜たちが主人公のためか、やや多すぎる糞尿ギャグに辟易させられたものの、
偏見との戦い、父と娘の再出発というテーマも悪くなく、それなりに楽しめる作品でした。
ケンタッキーの田舎道、激しい雷雨の中、移動中のサーカス団に置いてけぼりにされた
シマウマの赤ちゃん(声:フランキー・ムニッズ)をたまたまトラックで通りかかった
小さな牧場主のノーラン・ウォルシュ
(ブルース・グリーンウッド:『ザ・コア (2003)
』『アイ,ロボット (2004)』)が
見つけて、家まで連れ帰る。
彼は一人娘チャニング(ヘイデン・パネッティーア:
『マリー・アントワネットの首飾り (2001)』)と暮らしている。
そのシマウマの赤ちゃんは‘ストライプスStripes
(しま・しま模様)’と名づけられ、
愛情を注がれて成長していく。
牧場の納屋では、動物たちは孤児のシマウマ、ストライプスを優しく面倒見てくれる。
母親役の賢いヤギのフラニー(声:ウーピー・ゴールドバーグ)。
シェトランド・ポニー(声:ダスティン・ホフマン)は、
ノーランが名調教師として鳴らしていたころからこの牧場にいる。
牧場の放送局、雄鶏レギー(声:ジェフ・フォックスワーシー)もいる。
ニュージャージーから逃走してきた、ガチョウ(Goose)
という名のペリカン
(声:ジョー・パントリアーノ)も加わった。
チャニングは十代の女の子で、いまは隣の地方競馬場の掃除のバイトをしているが、
本当は競馬のジョッキーになることを夢みている。
そしてストライプスも、自分も競馬に出ることを夢見るのだ。
でもストライプスは自分のことを、“ちょっと変わった馬”だと思っている。
自分がシマウマだということを知らないのだ。
両者とも、権威あるケンタッキー・オープンというビッグ・レースに出場する夢を。
ストライプスは、自分が競馬場のトラックに出場すれば、
他の馬なんかみんな土埃の中に置いてきぼりで圧勝してみせるさ、と考える。
ま、なんという豪華絢爛な声のキャストなんでしょうか?
何を根拠にこんなキャスティングにしたかは謎ですが、
みなさん手抜きせずにちゃんとお芝居してましたですよ。
ストライプスを“落し物”にしてしまったサーカス団が、その後探しもしなければ、
ウォルシュ牧場の父娘も動物園に問い合わせようともしないのは変ですが、
それを言い出すと家畜同士が語らったりする場面なども成立しなくなってしまうので、
これはもう、大嘘であることを楽しむスタンツで映画に臨みましょう。
嵐の場面が終わって、
さわやかなケンタッキーの牧場風景の空撮から次のドラマが始まります。
海辺の情景も良いですが、こういう目に鮮やかな緑の絨毯も心癒されます。
牧草の緑はそもそも人間が作った人工の緑地なので、
正確に言うと自然美とは別のものなのですが、
こういう土地でリゾートをおくるのもなかなかの贅沢ではないですか。
チャニングはジョッキーになるトレーニングを受けたいと思うのだが、
ノーランは許そうとしない。ノーラン自身、名人といわれた競走馬の調教師だったが、
妻が数年前に乗馬事故で亡くなったから競馬から足を洗い、
いまは静かに小さな牧場で田畑を耕している。
隣の牧場のクララ・ダルリンプル(ウェンディ・マリック)は競馬場の理事長で、
ノーランをもう一度、競馬界に連れ戻したいと機会を伺っている。
クララの自慢のサラブレッドのサー・トレントンズ(声:ジョシュア・ジャクソン)は
血統の高さを誇るチャンピオンで、
その息子、プライド(声:マイケル・ローザンバウム)達は、ストライプスを
嘲け笑っていた。
クララのキャラクターはアニマトロニクスの口パクで英語のセリフをしゃべくる
動物以上に漫画チックな悪役ですが、
そのクララ・ダルリンプルの所には、
障害の優秀馬のサンディ(声:マンディ・ムーア)がいて、ストライプスの思い人、
ならぬ思い馬になる。
サンディは気立ての優しい雌馬なのですが、世界をまわっても競馬場の狭い世界しか
知らぬことを自覚しているのですね。
その点は、サー・トレントンズとて同じはずですが、
この親父様は謙虚さなぞ微塵も無く、高級ステレオやカウンターバー付の厩舎を
あてがわれてご満悦でいる。
バッハを愛し、ラップを軽蔑する馬、というのはかなり馬鹿っぽいですが、
クライマックスでラップを聞かされてパニックを起こす場面が出てくる。
農作物とか酒の貯蔵にもクラッシックは利くとか言いますから、
そっち方面の話かなと思っていたら、ただのパロディらしい。
前半、プライドとストライプスがはやし立てる馬たちのなかで競争したり、
サンディとストライプスが水辺でふたりだけで語らったりと、
家畜でしょうに動物だけで牧場周辺であれこれエピソードがあるのが不思議です。
ベイブの時は、何せ子豚ですのでたいして気にもならなかったのですが、
馬はやっぱり大きいですからね。
回想シーンがあるか、もう少し経緯が説明されるものと思っていた母親の事故については、
元気なころの写真が幾度か出てくるのみで、
具体的な事柄には触れられていません。
そこが良くもあり、物足りなくもありで微妙です。
ストライプスが外の世界に旅立ったりはしないので、
話は牧場周辺に限定されます。
同じ牧場の身内的な家畜仲間とべったりなので、もうちょっと距離、
というか緊張感のある関係の方が良かったんですけどね。
家畜たちのギャグは楽屋落ち的でストーリーの進行にあまり貢献していない
ので、もうちょっと削って全体を90分以内にした方が良かったです。
企画段階で、プロデューサーとアニマル・トレーナーらの協議では、
この手の映画はかつて製作されたことがなく、映像化はもっぱら
特殊効果やCGに頼るしか考えられなかったようです。
つまり「シマウマは野生の動物である」と。
でもそれでは作品の本来テーマ、
「敗者の復活、偏見への挑戦」を裏切ってしまう…。
ところが、シマウマ調教の第一人者、スティーブ・マーティンだけが
“できるかもしれない”と考え、賭けに打って出てくれた。
口パクで言葉をしゃべるところはアニマトロニクスですが、
“シマウマが少女のジョッキーを乗せて競馬場をサラブレッドの群れを掻き分け疾走する”
そのクライマックスは実写で撮影が実現されています。
そして撮影現場で一番割りを食ったのがほかならぬ
ノーランの娘チャニング役のヘイデン・パネッティーア本人でした。
彼女はもともと乗馬にたけている人だそうで、
どうやら現場入りするまで、シマウマに乗ることはさほど困難ではないと思っていたようです。
「でも、ロケ地へ行ったらすぐに、それは間違いだったって気付いたわ!
性格がまるで違うのよ」
パネッティーアは撮影に入る前に6週間の特別乗馬訓練を受けました。
撮影隊がカメラで彼女を追う時、意図した画像が撮れるように、
ちょうど良いスピードで動物が走るよう、彼女自身がコントロールしなければならなかった
ためです。
本来シマウマの最高速度は時速28マイル(約45キロ)で、
最高速度が時速37マイル(約60キロ)にもなる競走馬にはかなわない。
それが競り合っているように見せるための演出・振り付けが必要だったわけで、
いろいろ工夫はあったものの最後には主演女優本人に
一番大きく負担がかかってしまったのです。
かつてない撮影に如何にこの若き女優さんが挑み、どれほどの画期的成果を勝ち取ったかは、
是非スクリーンであなた自身の目で確認してください。
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