「オーバー・ザ・レインボー」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「オーバー・ザ・レインボー」 2002年 韓国映画 監督脚本 アン・ジヌ 出演 イ・ジョンジェ チャン・ジニョン |
この映画のことを知る人はすくないと思いますが、
韓国映画「オーバー・ザ・レインボー」
なかなかの佳作でした。
気象キャスターのジンス(イ・ジョンジェ)は、偶然、交通事故にあう。
大した負傷もなく業務に復帰するが、それから問題が起こる。
8年間、自分が愛していた恋人が誰なのか思い出せない
ジンスは大学の友人であるヨニ(チャン・ジニョン)に助けを求める。
ジンスと同じサークルだったヨニはジンスの友人のサンインと恋人同士だったが、
最近その彼と別れ傷ついている。
彼女にとって過去の記憶はみな忘れてしまいたいが、
ジンスのために彼女は過去の記憶をひとつずつ思い出させることにする。
「イルマーレ」『ラスト・プレゼント』のイ・ジョンジェ主演の
ロマンティック・ラブストーリーです。
監督は本作が長編デビューとなるアン・ジヌ。
共演に『菊花の香り 世界でいちばん愛されたひと』のチャン・ジニョン。
主演男女も日本では無名に近いですし、
監督もこれがデビュー作ということですので東京ではキネカ大森とあとひとつでしか
公開されず、
東京での上映終了後、梅田で公開されています。他の地域での公開はたぶん無し。
きっとプリントが一本分しかないのでしょう。
あらすじだけでオチまで読めてしまいそうなドラマです。
派手さはありませんが、上手く演出されており、
こういう監督には今後活躍して欲しいです。
チャン・ジニョンは元ミス韓国で今年30歳。
美人です。
ツボです。
うぅぅーん、ええわあぁぁっ、です。
事故でまだらボケになった主人公が、
窓際に逆光のシルエットのロングヘアーの女のイメージを思い出し、
それが繰り返し出てくるようになります。
精神科医に相談すると、脳が記憶全体を取り戻そうとしているときに起きる
なんたらいう現象だそうです。
記憶の多層性の話がまともに映画で語られるのを聞いたのは初めてですので、
面白かったです。
ヨニが電話を掛けてきたときも、「なんじゃこいつは」状態でしたが、
出て行ってしまった後のサンインの部屋にジンスが引っ越していたので、
引越しを知らないヨニが“女の未練”で電話をかけてきたことが判らなかったのですね。
この部分は脚本的にかなりオイシイ入り方をしてるんですが、
映画の冒頭近くで、ほぼ前後してジンスの仕事仲間や友人知人がどどっと一斉に出てくるため、
その中に紛れてしまって損をしています。
気が付くとジンスとヨニがふたりして街中を肩を並べて歩く場面の連続になりますので、
謎のシルエットの女が誰かなんて、「そんなの決まってジャン」状態になってます。
ジンスがテレビに出ている天気予報士で、ヨニが名も無い地下鉄の遺失物係りです。
同じ大学を同期で出てるのに、何でこんな差があるのか?
彼女の仕事が格下に見えてしまったのですが、
これには脚本上の意図があります。
彼女は地下にいて人の過去を預かる仕事、彼は地上で空を見上げて明日を語る仕事をしています。
ジンスが記憶を取り戻したいのは、前に進むためであって、
失恋で凹んで引きこもりがちのヨニを引っ張りまわします。
ジンスはヨニに新しい感情を抱くようになる。
そして、ついに過去の記憶をあきらめ彼女と新しい出発を決心する。
ヨニもまたジンスに好意を抱くが、
ジンスが自分を思っているとは分からないまま、ジンスの恋人を探すために努力している。
彼の恋人を探し出すことだけが自分にできることだと思いながら...そしてある日、
ジンスの恋人だったという後輩チェ・ヘヨンが現われるが。
ヨニの凹みっぷりは、前半よりサンインの本心が見えてくる後半の方が
印象的ですが、演出的にはジンスとヨニを半々に描いておいたほうがよかったのかも、です。
ええと、ここいら辺は配役のこと知らなすぎたので、
二度見ると考えが変わるかもしれないです。
ちゃんと張るべき伏線は張ってあったようにも感じます。
後輩チェ・ヘヨンを含め疑わしい女性の人数が多すぎます。
もう少し人数を減らしてじっくり描きこむべきでした。
どっちみちこのドラマはジンスとヨニのふたりの話だというのはバレバレですから。
泣きより笑いの多い映画です。
傘をさして街頭で『雨に唄えば』を歌って踊るジンスが唐突に出てきます。
で、やおら「ソウルは雨」とそれが天気予報の一部であるとわかる場面は、
悲鳴を上げるほどおかしい。
「番組を面白くしろ、とは言ったが意味が違う」とカンカンのプロデューサーに二度笑いました。
ヨニが自分のアパートで友達と一緒にその天気予報を見ていて、
ヨニ「悪乗りじゃない?」
友達「そう?結構おもしろいわよ」。これも笑ったなーっ。
そのあとでヨニがひとり掃除機をかけているところが出てきますが、
『雨に唄えば』のCDを流していて、いつの間にか彼女も踊ってます。
どんどんのりが良くなって、終いにぴょんぴょん跳ねだします。
そこへ友人が帰ってきて「ナニ踊ってんの」。
ミュージカル風で楽しい場面です。
ぴょんぴょん跳ねるチャン・ジニョン。
ええわあぁぁっ、ええわあぁぁっ、こればっか。
クライマックスでジンスが実は大学時代に入隊を逃げ出そうとしたエピソードが
出てくるのですが、どうも意図的に山場をこさえたように見えてあんまり好きじゃありません。
これは結局、ヨニとサンインの秘めた事情が明らかになるところに繋がっていくのですが、
もっと別の話にした方が良かったと思いますね。
こう見てくると、結構いろいろ注文をつけてますが、
よく出来た佳作だけに今一歩工夫すると傑作になりえたでしょうから、
ついあれこれ言いたくなるのですね。
余談ですが、冒頭近くでジンスとサンインが飲み屋で他の友人を交えて
飲み会をしてますが、これがどう見ても日本の居酒屋です。
システムも居酒屋そのもので、驚きです。
あとホテルのロビーでお茶するときの感じとか、
都内のシティホテルでロケしているようにしか見えません。
ついでにジンスとヨニが屋台でラーメンだかおでんだかを食べてるところでバックに、
コンビニのMINI SYOP が映りこんでます。
あれはロッテみたいな韓国系チェーン店だったんでしょうか!?
文化開放はまだまだの筈ですが、十分風俗の近い国なんだと
確認できます。