「ラスト・プレゼント」

「ラスト・プレゼント」映画チラシ★映画基礎データー★
「ラスト・プレゼント」
2001年 韓国映画
監督・脚本:オ・ギファン
出演:イ・ヨンエ キム・サンジン

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コメディアンの夫と彼を支える妻の胸に秘められた深い夫婦愛が温かい感動を呼ぶ、
ラブ・ストーリーです。
不治の病に冒される妻役を『JSA』のイ・ヨンエが好演しています。

不治の病の話ですから、もちろん泣かせる仕組みになっていますが、
絶望しておしまいと言うのではなしに、未来に希望を見出していく話ですので、
むしろさわやかに、後味良く劇場から出ていくことが出来ました。

妻ジョンヨン(イ・ヨンエ)が余命幾ばくもないと知った夫の漫才師、ヨンギ(キム・サンジン)。
未だ芽の出ない彼は心配をかけぬよう病気を内密にする妻の愛に応えるため、
お笑いトーナメントに挑む。同時に彼は妻が再会を望む、憧れの幼馴染みを探し始める。

ビング・クロスビーとグレイス・ケリーの往年の名作「喝采」
(ジョージ・シートン 脚本・監督)に似たバックステージものですが、
(名エンターティナーだったのに今は落ちぶれ、アル中になった夫、
ビング・クロスビーを陰で支える妻をグレイス・ケリーが好演したバックステージもの。
若き演出家との三角関係に揺れ動く女心を体現するグレイス・ケリーが、はかなくも美しい。)
これが長篇デビュー作となるオ・ギファン監督は、
上手い具合に作品を自分のところに引き寄せています。

ハクスとハッチョルという詐欺師二人組が出てきて、
笑わせつつ泣きに引き込むと言う平凡ですが上手い手を使っています。
こいつらは無名芸人に近づいては
「プロデューサーに紹介してやる」などといって”紹介料”をせしめようと言う
小悪党なのですが、
ブルースブラザースのような、いでたちで登場するので
はじめから詐欺師とわかっています。

ねたばれになるので細かくは書きませんが、
この2人組の方が、夫のヨンギより先に、
妻ジョンヨンの病気のことを知ってしまうのですが、
良心にとがめて店の権利書を突き返してしまいます。
ヨンギはふたりに怒鳴りつけられてはじめてジョンヨンの病を知り衝撃を受けます。
病院の医者に怒鳴り込みますが、
「相当苦しんでいる筈、わかからぬ方がおかしい」
と逆に怒鳴りつけられてしまいます。

夫のヨンギが知らなかったのにはもうひとつ理由があって、
ふたりには子供がいたのですが病死しており、
子供の死以来夫婦仲もさめてしまい、寝室を別にしていました。
そしてコメディアンの仕事も上手く行かぬヨンギは、
ジョンヨンが部屋の明かりを消して眠ってしまうまで、
表で時間を潰して家に帰らないようにしていたのです。

子供の墓と言うのは、森林公園のような場所にあって、
墓石と言うのが無くて、周囲を垣根で囲った中に木が植えられています。
あとで出てくるジョンヨンの母親の墓が、
小高い丘の上に土饅頭のように土盛りされた(土葬のため)
伝統的な韓国の墓であるとの対照的ですが、
これが今風の韓国の墓ということでよいのでしょうか?
枯葉のつもった中に立つ木にヨンギが語りかける場面は絵的にも美しいです。

劇中に子供の写真のアップなどは出てこないのですが、
(部屋の写真立ての中に写真くらい入っていたか?)
ジョンヨンは子供服の店をやっており、
子供の姿はなくとも、かわいらしい子供服が山ほど出てくるので、
失われたものの大きさは良く分かるようになっています。

ジョンヨンはうだつのあがらぬ夫をこてんぱんにやっつけますが、
その実、テレビ局にまぎれ込んで関係者にヨンギを売り込むなどしています。
ヨンギとジョンヨンの現在の話だけを進めても、
それなりに盛りあがると思うのですが、
映画ではさらに、ハクスとハッチョルがジョンヨンの初恋の人を探して、
同窓生などの間を探して歩くと言う話が出てきます。
時間軸が現在と過去を行ったり来たりして、ドラマにふくらみを持たせています。
これはヨンギが二人に頼み込むのですが、本来おかしな話です。
「何の関係がある」「でも人を騙すよりいい」
と二人は引きうけてしまいます。
ハクスとハッチョル役のクォン・ヘヒョとイ・ムヒョンは、
本作で大いに評判を上げファンクラブも出来たとか。
なかなかにおいしい役どころとなっています。

ヨンギが比較的豊な家庭に育った苦労しらずのぼんぼんというのが良いです。
芸人を目指したばっかりに、勘当状態にある。
ジョンヨンのこともあって、ヨンギは実家に頭を下げに行く。
親父さんは「馬鹿息子のおかげで死にそうだ」と怒り、
お袋さんは「死ぬに死ねない」と泣きます。

2人組が訪ね歩くジョンヨンの幼馴染には、
「懐かしいが、会いに行けない」と溜息をつく友人があります。
大層大きな夢を語り合ったが、今自分はさっぱりなので恥ずかしくて会わす顔が無い、
というのです。
しかし、この友もひとりジョンヨンを店に訪ねます。

これらのエピソードを通じてしみじみ思うのは、
天涯孤独の様に2人きりで生きているように見えるこの夫婦もまた、
人生のそれぞれの場面で支えてくれた人々があって、今日があると言うこと。

欠点と言う程ではないのですが、
ヨンギの相棒の方がドラマにほとんど絡んできません。
2人がどんな経緯でコンビを組むようになったのかとかが無いのです。
夫婦の話が中心に回る話ですので、
もう一人の方はウエートを下げられているのでしょうが、
聞くところでは韓国のお笑いというのは、一人で笑わせるスタイルが主流で、
コンビで笑わせるのはまだまだ少ないという話です。
せっかく新しいスタイルを出してきているのですから、
それを活かす演出が欲しかったところです。

ジョンヨンが何の病気なのかも伏せられたままです。
日本でしたらいまはテレビドラマでも、ガンとかエイズとか具体的な病名が出てきて、
それに沿った話の展開があるのですが、
心臓停止で病院で蘇生処理を受けたりと過激な場面がある割には、
結局何の病気なのか判らないままです。
上映モラルと言いますか、これは具体名を出さないのが韓国流なんでしょう。

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