「愛を読むひと」
■作品基礎データ 「愛を読むひと」 2008年 アメリカ映画 原題:The Reader 監督:スティーブン・ダルドリー 原作:小説/ベルンハルト・シュリンク著「朗読者 (新潮文庫)」 脚本:デヴィッド・ヘア 出演:ケイト・ウィンスレット |
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1995年のベルリン.
娘ジュリア(ハンナー・ヘルツシュプルング)と離れて暮らす52歳の
弁護士マイケル・バーグ(レイフ・ファインズ)は1958年ノイシュタットを思い出す.
猩紅熱で倒れた15歳のマイケル・バーグ(デヴィッド・クロス)は,
36歳のハンナ・シュミッツ(ケイト・ウィンスレット)に助けられる.
回復したマイケルは路面電車の車掌を務めるハンナの元へお礼に行き,
彼女と関係をもってしまう.
マイケルは足繁くハンナの元へ通い,そして彼女のために朗読を始める.
しかしある日を境にハンナは姿を消してしまう.
1966年23歳になったマイケルはハイデルベルク大学法学部に進学し,
ロール教授のゼミに登録する.
同級生にマーサ(カロリーネ・ヘルフルト)がいた.
彼らは1944年に起きたアウシュビッツ死の行進の裁判を傍聴する.
ユダヤ人の生き残りイラナ・メイザー(アレクサンドラ・マリア・ララ)と
母ローズ・メイザー(レナ・オリン)が証言台に立つ.
マイケルは被告人席にハンナを見つける。
彼女は戦時中の罪に問われ、ある秘密を隠し通したために窮地に追いやられ、
無期懲役の判決を受けるのだった。
時は流れ、結婚と離婚も経験したマイケル・ミヒャエル(レイフ・ファインズ)は、
ハンナの最後の "朗読者"になろうと決心し、
ハンナの服役する刑務所に物語の朗読を吹きこんだテープを送り続けるのだった。
愛を読むひとベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「朗読者」を、
「めぐりあう時間たち」の監督&脚本家コンビが映画化。
第81回アカデミー賞でケイト・ウィンスレットが主演女優賞を受賞。
「愛を読むひと」見ました。
しっとりしたラブストーリーが見たくて出かけました。
ラブストーリーには違いないですが、
ぐっと重い話ですね。
甘い恋のときめきを描くのでなくて、贖罪。
前半と後半でカラーが違うのは
監督の演出プランどおり。
15才のひと夏の恋と、
成人後、現在のドラマ。
15才の恋というのは男の子側からのみ描かれているので、
ハンナという大人の女は謎の女です。
15才の少年役の若手俳優もなかなかやりますが、
成人後の主人公をレイフ・ファインが演じています。
そちらもよいです。
この人は「はりぽた」のヴォルデモート卿とか、「レッド・ドラゴン」とか
悪役で目立つ人ですけど、
もともと演技力のある人なので、こうしたまっとうな大人を演じてくれると
嬉しいです。
とはいえ、やはり凄いのはヒロイン、ハンナのケイト・ウィンスレット。
こうした役柄がオスカーに好かれるのは分かっていますが、
それでも30代から老年までの時期(とき)を演じ切って
アカデミー賞受賞はお見事です。
青年期のマイケルを演じたドイツの新進俳優デビッド・クロスと
中年期のマイケルを演じたレイフ・ファインズに、
マイケル役へのアプローチなどを聞いた。
映画出演はまだ3本目だというデビッド・クロス。これからの活躍に期待がかかる
──撮影期間が1年もあったそうですが、集中力をキープするのは大変でしたか?
「1年間ずっとというわけじゃなくて、何度も中断があったから、逆に助かった。
休みの間に撮ったものを見なおして考える時間が持てたから、
深く物語に入り込むことができたんだ。
確かに長い道のりで難しい撮影だったけど、
俳優としてたくさんのことを学んで、素晴らしい経験になったよ」
──脚本を読んだ時、マイケルというキャラクターに共感できましたか?
「うん、よく理解できた。
自分がマイケルだったらどうしただろうって自分なりの答えを見つけようとしてみた。
難しくて答はみつからなかったけど、でも、マイケルの気持ちは理解できた」
──一番苦労したシーンはどこですか?
「裁判のシーン。ハンナと出会った時よりも成長しているわけだし、
彼女のことを知るシーンだから、観客がマイケルの目を見ただけで、
彼の感情が全部分かるようにしなければいけなかった。
僕にとっては一番難しい演技だった」
──ベッドシーンはどうでしたか。
「ヌードになることには抵抗もあったし、最初はものすごく緊張してしまった。
ケイトが親切に助けてくれたし、僕が大丈夫なようにみんなが気を使って、
現場の空気を和やかにしてくれたんだ。
それにスティーブン(・ダルドリー監督)は自分の撮りたい映像を
事前に細かく決めていて、曖昧なところが全然ない。
何よりも動きを優先させていたから、ダンスの振付に近かったかもしれない。
だからすごく演技しやすかった。もちろん感情はこめなきゃいけないけど」
レイフ・ファインズは「イングリッシュ・ペイシェント」で組んだ
故アンソニー・ミンゲラ(本作ではプロデューサー)から原作を渡されたという
以下はレイフ・ファインズのインタビュー
──2人1役の難しい役ですが、出演を引き受けた理由は何ですか?
「数年前にアンソニー・ミンゲラから原作を渡された。
その時は映画化されるかどうかも、
自分がマイケル役に合っているかもわからなかったけど、
デビッド・ヘアの脚本にとても感動したんだ。
人間がよく描かれていて、どの登場人物にも簡単には判断を下していない。
大人のマイケルも、自分の過去と折り合いをつける重要な役として書かれていた。
マイケルが本を読みカセットを送るところにも感動したね」
──ナチスの犯罪に対する裁判が重要なポイントになっていますね。
「ホロコースト映画だと言われるかもしれないが、
それは物語の背景に過ぎないと僕は思う。
むしろ、恋愛や裁きに直面し、心をかき乱される1人の男の人生を描く物語だと思う。
そう言ったシーンを通して、“人をどう裁くのか”という問いかけを投げかけてくる。
その問いかけを前にしたマイケルの“ためらい”が描かれるんだ。
人はためらうもの。ためらわなくなったら危険だと思うよ」
──デビッド・クロスの後でマイケルを演じるのはやりにくくなかったですか?
「デビッドとスティーブンと3人でマイケルの人生についてかなり話し合って、
2人の演技に共通点を持たせるようにいろいろやってみた。
普通、あるキャラクターを演じる時は、
物語がスタートする時点までのキャラクターの人生をあれこれ想像しなくちゃならない。
でも今回はそれまでのマイケルの人生がきれいに盛りつけされた状態で、
はいどうぞと差し出されている。
撮影に入る前にデビッドのシーンを見ることもできたし、
他の役と比べて難しいということはなかった」
スティーブン・ダルドリー監督のインタビューよりメイキングの関する部分を
再録します。
<スティーブン・ダルドリー監督のプロフィル>
1961年、英国生まれ。シェフィールド大学卒業後、舞台演出家となる。
英国演劇界では最も優れた演出家として知られ、
92、93年にローレンス・オリヴィエ賞を連続受賞、
94年には、米演劇界最高の栄誉とされるトニー賞を獲得。
00年の「リトル・ダンサー」で初めて映画を監督し、
02年の「めぐりあう時間たち」ではニコール・キッドマン、
3作目となる今作では、ケイト・ウィンスレットに
米アカデミー賞主演女優賞をもたらした。
なお、自身の監督作「リトル・ダンサー」のミュージカル作品「ビリー・エリオット」が、
このほど発表された第63回トニー賞ミュージカル部門で作品賞など
主要10部門に輝いた。
ダルドリー監督は「友人に送ってもらった原作に心を揺さぶられた。
少年時代、ドイツに住んでいたこともあり、ぜひ映画にしたいと思った」と振り返る。
原作のシュリンクさんは1944年生まれ。
ダルドリー監督は「シュリンク氏は(自分と同じ世代の)マイケルを通して、
自分たちの世代と、親や教師たちの世代との関係を描こうとした」のであり、
親の世代が過去に何をしてきたのかを知り、
「書くことによって罪の意識と対峙(たいじ)しようとしたのではないか」と考えている。
それが具体的に表れるシーンがある。
裁判の中で、ハンナが判事に、過去の行為について、
「あなたならどうしましたか?」と問いかける場面だ。
「シュリンク氏が、戦争にかかわった世代の人たちに突きつけた挑戦だった」というのが、
ダルドリー監督の解釈だ。
ハンナが、ナチスの親衛隊員であったこと、
それを演じたウィンスレットさんがオスカーを獲得したことによって、
見ている方の意識が“ナチスが犯した罪”に向きがちだが、
ダルドリー監督は、「確かに我々はこの作品で、
ナチスの戦犯として彼女(ハンナ)をはっきりと断罪している」としながら、
「物語の本質は別のところにある」という。
「自分が愛した相手が、何かの犯罪にかかわっていたと知ったとき、
その相手に対する愛の価値は損なわれるのか。
だからこれは、本質的にはハンナの物語ではなく、マイケルの物語なのです」と語る。
ベストセラーの映画化が相次いでいる。
ダルドリー監督は、前作「めぐりあう時間たち」(02年)でも小説を映画化した。
その一方で、オリジナルストーリーの「リトル・ダンサー」(00年)も手がけている。
小説の映画化のだいご味はどこにあるのか。
「原作本と脚本の両方からインスピレーションを得られる。
二つの源泉があるということにやりがいを感じる」という。
「愛を読むひと」の場合、その源泉が三つになった。
「シュリンク氏の自叙伝的要素が強かったために、
彼と話し合える時間を多く持てて、さまざまな情報を本人から得ることができた」
と明かす。
三つの源泉が混じり合った愛の物語は、
複雑な要素を持ち、心がかき乱される作品となった。
「観客の皆さんが、最後に救いを感じてもらえることを祈っています」と力強く語った。
最後はもちろんケイト・ウィンスレットのインタビューです。
Q:この役でいくつ賞を取ったか、覚えていますか?
ええ、覚えているわ。素晴らしい経験だもの。
以前に何度も賞シーズンに参加してきたけど、ほとんど受賞できなかった。
だから、まったく違う感覚なの。
封筒が開けられ、自分の名前が呼ばれる。とてもワクワクする瞬間だわ。
Q:ゴールデン・グローブ賞でダブル受賞されたときはいかがでしたか。
衝撃的だったわ。本当にショックだったの。
会場に向かうときは、あの素晴らしい候補者たちの間で、
どちらか一つを受賞できればラッキーだと思っていた。
それが2つも受賞できるなんて、誰が予想できるかしら。特にわたしにはね。
2つも受賞するなんて、起こるはずのないことだわ。
だから本当に感激した。素晴らしい出来事に、まだ興奮状態から抜け出せないの。
Q:ハンナはとても複雑な女性で、簡単には理解できないところがあります。
彼女をどのように分析されますか。
最初のころに気付いたことは、ハンナを理解することが不可欠だということだった。
必ずしも彼女を好きになる必要も、共感する必要もないと思ったわ。
でも、彼女を理解しなくてはならなかった。
それにとても強く感じたのは、わたしが思う彼女を、
ほかの誰とも共有したくないということだったの。
みんながハンナ・シュミッツに対する意見を持っている。
彼女は意見を呼び起こすキャラクターだわ。
小説の読者も、この映画のスタッフも、脚本家も、監督も、
全員がハンナに対して違う意見を持っている。
でもわたしの意見は、人と食い違うことが多かったの。
だから胸の内に収めておく必要があった。
いつもとは違う体験だったわ。
普段は話し合って、みんなと共有し、協力し合う方が好きなの。
だから彼女を演じるのは、ある意味孤独な作業だった。
人と距離を置かなくてはならなかったから。
Q:この映画をラブストーリーと考えていらっしゃるということですが、
ハンナとマイケルの長い時を重ねた関係の変化をどのようにとらえていますか。
二人の強烈な関係、互いを満たす二人の愛、彼女がどれほど彼を必要としているか、
二人の関係が彼の世界にどれほど大きな影響を及ぼすか、物語はそれを描いていく。
二人は互いのきずなを手放すことができないの。
彼女はいつも期待している。
「彼が刑務所に会いに来てくれるかもしれない。
まだ二人には何かが残っているかもしれない」。
そしてマイケルはハンナとの関係以後、どんな関係もうまくいかない。
だから長い時を隔てた、素晴らしいラブストーリーだと思う。
もちろん物語を通して、劇的な変化があるわ。
そして、わたしにとっても、まさにラブストーリーなの。
Q:この役でヌードになることに、ちゅうちょしませんでしたか。
ないわ。一瞬たりとも、なかった。わたしはシャイではないの。
かなり強い人間だわ。この仕事は、勇気のいる仕事なの。
時には、演じるのが難しいシーンもあるわ。撮影が難しいシーンもね。
でもわたしにとって重要だったのは、
一連のシーンでデヴィッド・クロスを心地良くしてあげることだった。
彼には一度もああいうシーンの経験がなかったから。
わたしも若いときに同じ経験をしたから、どれほど恐ろしいか、よくわかっている。
だから彼を快適にしてあげることに心を砕いたわ。
幸運にも、そうなった。二人で笑い飛ばしたわ。しょっちゅう、大笑いしていたの。
Q:スティーヴン・ダルドリーは当代で最も優れた監督の一人ですが、
俳優とどのようなかかわり方をする監督ですか。どんな特徴がありますか。
スティーヴンの特徴は、みんなを巻き込んでいくことね。
そしてみんなを愛してくれる。とても心が大きい人なの。
自分が彼の家族の一員だったら、さぞ素晴らしいだろうと思うわ。
とてもオープンで、偏った判断をしない。
そして俳優のグループに入ることが大好きで、楽しんでいる。
彼はいつも、考えを共有しようとしてくれるの。
「君はどう思う? 僕は間違っているかな?
僕のアイデアはこうだけど、君はどう思う?」と誰かのアイデアの方がいいと思えば、
自分を変えることを恐れない。撮影現場はいつもそんな感じだったわ。
わたしたち全員で取り組んだの。
それはスティーヴンがそういう環境を作ってくれるからできたことよ。
本当に優れた監督はそういう環境を可能にしてくれるし、
そこがスティーヴンの抜きん出ているところだわ。
Q:7時間にも及ぶメークで、撮影中は睡眠不足だったそうですが、
そういった環境は撮影にどういう影響を及ぼしましたか。
面白いことに、映画作りって、毎日軍隊の訓練キャンプにいるようなものなの。
大変になることはわかっている。でもそれをすり抜けなくてはならないの。
ライフルを置いて座り込み、あきらめることはできない。前進しなくてはならない。
だからある意味、超人的になる必要があるわ。撮影はそういうものなの。前進あるのみ。
もちろん、疲れるわよ。わたしだけじゃなくて、みんな疲れている。
でも全員に一体感があるから、みんなが世話し合い、相手を気遣う。
この映画にはそれがあった。だからこそわたしにとって特別な映画なの。
全員が常に互いを気遣い合って…
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
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