「ロボジー」

「ロボジー」映画チラシ■作品基礎データ
「ロボジー」
2012年 日本映画
監督脚本:矢口史靖
脚本協力:矢口純子
出演:五十嵐信次郎 吉高由里子

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家電メーカー、木村電器の落ちこぼれ社員、小林・太田・長井の3人組は、
ワンマン社長から、
流行の二足歩行ロボットの開発を命じられていた。
しかし、ロボット博を目前に、制作途中のロボット「ニュー潮風」が大破!
窮地に追い込まれた3人は、
ロボットの中に人間を入れて急場をしのぐ計画を立て、73歳のジイさん・鈴木が選ばれた。
しかし、この鈴木がとんでもないジイさんで…。
さらには、ニュー潮風に恋をしたロボットオタクの
女子大生・葉子も巻き込み、事態はあらぬ方向へ―。

『ウォーターボーイズ』では男のシンクロ、
『スウィングガールズ』ではビッグバンドジャズを社会的なブームにまで押し広げ、
『ハッピーフライト』では、
今まで見たこともない航空業界の裏側をおもしろおかしく見せるなど、
これまでもユニークなテーマに目をつけ、日本中に笑いと感動を届けてきた矢口監督。
その矢口監督が次に選んだのは…、「ジジイとロボット」!
またしても、今まで誰も見たことがない映画がここに誕生します!

主人公・鈴木重光を演じるのは、シルバー人材センターで働く
リアルなおじいちゃんを含め100人を超えるオーディションで、
73歳にして主役の座を射止めたシンデレラボーイ、五十嵐信次郎。
木村電器のロボット開発部トリオには濱田岳&川合正悟&川島潤哉。
そして本作のヒロイン、ロボットオタクの女子大生・葉子には、
現在、若手NO.1の人気・実力を誇る女優、吉高由里子。
フレッシュで強烈でダシのきいた俳優陣が、新たな矢口ワールドを展開します。


「ロボジ-」見ました。

矢口監督のこれまでの作品、「ウォーターボーイ」「スウィングガール」「ハッピーフライト」は
いずれもモデルがあって、そのモデルを冒涜するような描きかたはできないので、
どうしても毒のないドラマになってしまう。

「ロボジ-」には気を使わないといけない相手がいないので、やりたい放題。
ロボットの中味が人間、というのが人を喰った話で昨今のロボット開発競争事情等が出て来ますが、
監督は企業間のバトルには興味がなかったようにで、
ドラマはロボットの中身をやる羽目になる爺さんの暴走、というかわががまに焦点がおかれています。

子供達からも老人ホームでも誰からも相手にされない孤独な老人が、にわかに脚光を浴びて有頂天になる。

爺さんに振り回される木村電気の開発者三人組が面白い。

ロボットオタクの女子大生(日高由里子)。
オバカなお姉ちゃん、と軽くあしらい、お金欲しさにのこのこ大学に行くとバリバリの理工学部で、
三人の方が危うく化けの皮を剥がされそうになる。

 実際の露見はそれとは別の方向なのだけれど、女子大生が”かわいさ余って憎さ百倍”になって
全力でロボットの正体を暴こうとするところが、怖かわいい。

コスプレの若者達との絡みもオチまで考えると上手くあしらっています。


話が全体に小ぶりで、オチはきっちりとついているのですが、過去の作品群のような、
青春でもビルディング・ロマンでもないので”笑えるけれど感動はない”という弱点はあるだろうと思いますね。


芸名だけでなくイメージも一新し今作に臨んだミッキー・カーチスこと五十嵐信次郎、
若手演技派・吉高由里子との邂逅(かいこう)の軌跡について、矢口監督が語った。

今作は、弱小家電メーカーの社員3人が、
社長からの厳命により企業広告を目的としたロボット開発を強いられるところから始まる。
ロボット博での発表を1週間前に控えながら、大破させてしまう。
保身でロボットの中におじいちゃんを入れて出場したところ、
見たことのない動きが評判を呼び、一躍人気者として注目を浴びることになってしまう。

矢口監督は、1996年にホンダが発表した人間型自律2足歩行ロボットP2に衝撃を受け、
いつかロボットをテーマにした作品を撮りたいと思っていたという。
そして今回、ミッキー・カーチス改め五十嵐信次郎を主演に据え、
ロボット開発に取り組む人々や、
ロボット工学を学ぶ学生たちに焦点を当てることで実現させた。

五十嵐を主演に決めた理由については、
「あの大御所が『どんな格好もするし、どんな芝居もするし、
なんでも言うことを聞くから出させてくれ』と言ってくださったんです」と述懐。
さらに「それに、お芝居ができるおじいちゃん俳優って、
かなりキャリアを積まれた方に限られてくるんですよね。
そんななか、あの方はなんでもやりたいんだ! 
と言ってくれたことが決め手になりました」と明かした。

強い覚悟をもって撮影に挑んだ五十嵐に、
もはや「ロカビリー3人男」として日劇ウエスタンカーニバルで熱狂的なファンを
獲得したミッキーの姿はなかった。
姿勢は常に猫背、歩幅も狭くして謎の老人・五十嵐信次郎になりきり、
多くの関係者に驚きをもって迎え入れられた。
その最たる例として、矢口監督が明かしたエピソードがある。

「(ロケ地となった)北九州で活動している老人劇団の女性のなかに、
かつてミッキーさんと映画で共演したことのある方がいたんです。
そのおばあちゃんが、『あの格好いいミッキー・カーチスが……、がっかり』
とおっしゃったんです。しめた! と思いましたね。
『本当は違うんですよ。ふだんは格好いいのですが、
かなり無理してあんなおじいちゃんに仕立てているんです』
と説明したら納得してくれましたが、老け込んじゃったように見えたんだそうです。
非常にうれしくて、今まで存在しなかった人が、
まるでぽっと生まれてしまったかのような感覚になりました」

主人公・鈴木のモデルになった、具体的な人物はいないそうで、
矢口監督の父親や近所の一人暮らしの老人など
複数のキャラクターを参考にしていったという。
「うちの父親は仕事を引退して、最初は酒ばっかり飲んでいたんですよ。
それがつまらなくなったみたいで、近所でパートを始めたんです。
お金がほしいわけじゃなくて、家でゴロゴロしているよりも
社会とつながっていたいということらしいんですよ」

矢口監督の観察眼は、ロボット業界だけにとどまらず、
老人全般をも網羅していた。
「僕、お年寄りが好きなんですよ。鈴木の場合、
奥さんに先立たれてしまっているから余計そうなんですが、
仕事をやめていきなりご近所付き合いを始められるわけもなく、
今さら生活スタイルを変えられないよっというのがごく自然の形だと感じるんです」。
だからこそ「なぜ、そういう人がドラマや映画に出てこなかったのか。
どちらかというと、若者を手助けしてしまう、
先回りしてしまう人生の達人みたいな人ばかりなんですよね。
憎たらしいけれど、最終的に憎めない老人画主人公の映画って、
なんで誰も作らないんだろうと思っていたので、今回はそれも達成できましたね」

そしてまた、ロボットおたくの女子学生・葉子という異質なヒロインに、
吉高という逸材を配役できたことも今作の大きなアクセントになっている。
本気でロボットに恋をし、喜怒哀楽を爆発させる。
矢口監督自ら、「本人のもつ変態度が尋常ではない。僕の映画にぴったり」
と絶賛しているが、吉高は運命的にも、誰よりも早くオーディションを受けた。

「最初にオーディションに来たのが、彼女だったんです。
脚本執筆時には、『誰も見つからなかったらどうしよう』
という危機感をもって書いていました。
見つかるとは思わなかったんです。それが、本当にぴたっとはまってしまった」

吉高は近年、日本映画界になくてはならない存在として着実にキャリアを重ねてきた。
大作からインディペンデントにいたるまで銀幕を彩る存在は、
過剰なまでのロボット愛ゆえに過激な行動に走る葉子を、
嬉々とした表情で演じている。
「本人とずれがないんです。かわいく見えて、
突然ぶち切れて奇異な行動をとるということを、
オーディションで他の女優さんにもやってもらいましたが、
それはそんな雰囲気のお芝居をしているだけ。彼女は本当にそう見えちゃう。
内面に、そういう素養が詰まっているんですよね」と説明する。

五十嵐、吉高だけではない。ロボット開発を命じられる3人組を、
濱田岳、川合正悟、川島潤哉がありったけの熱情を放出しながら演じている。
田畑智子、和久井映見、小野武彦……、それぞれが適材適所を見事に担ったことで、
“矢口ワールド”は新たな境地に突入することになる。

矢口監督は、公開に向けたキャンペーンでいち早く東北へと向かった。
そして、東日本大震災という未曾有の災害に見舞われた人々が鑑賞後、
満面の笑みを浮かべていることに心を打たれた。

「皆さん、ニッコニコなんですよ。
これまで、そんなに意識はしてこなかったけれど、
映画は娯楽でさえあればいいと思っていた。
それなのに、精神的にも肉体的にも疲弊した人たちが元気になる、
エネルギーを充電するということが、
映画で可能なんだということを具体的に見てしまった。
すごい仕事をしているんだと責任を感じたんです。
東北からキャンペーンを始めて、本当に良かったと思います」

それだけに、今後の活動にはが然、関心が集まるところだが
「今は完全にゼロになりました。かなり前からロボットが好きで、
何年にもわたってロボット展などにも行きました。
『スウィングガールズ』や『ハッピーフライト』の間も動いてきたので、
長年の夢がかなって何も考えられない状態。
次に何をしようか考えるのは、『ロボジー』の公開後になってからですかね」

五十嵐信次郎と吉高由里子。
撮影以来、すっかり仲よしの二人が、爆笑トークを繰り広げた。

Q:お二人は初共演ですね。お互いの印象はいかがですか?

五十嵐信次郎(以下、五十嵐):由里子は、楽しい女の子です。一緒にいて飽きない。

吉高由里子(以下、吉高):わたしも楽しいです。すごくファンキーな方で。
試写会の時も「イエイ!」とか「ウオウ!」とか言いながら舞台あいさつに出ていらして、
ライブみたいに観客をあおりながら登場する人って初めて見ました。
それは、昔からロックをされているミッキーさんだからできることですよね! 
わたしがやったら、「大丈夫?」と思われてしまうかもしれない……(笑)。

五十嵐:ちょっと由里子、(自分を指差して)ミッキーじゃなくて五十嵐です。

吉高:あっ、そうでしたー! ガッシーさん。

五十嵐:新しい呼び名が出てきたな(笑)。

Q:お二人は、ちょうど50歳差なんですよね? 誕生日も1日違い。

五十嵐:えっ、知らなかった。7月23日生まれだけど?

吉高:わたし22日です! でも星座は違いますね。
ちょうどかに座と獅子座に分かれる境目だから。あと干支は辰年です。

五十嵐:辰年の女は強いんだよなあ。おれ、獅子座の寅年なんだよ。

吉高:寅年の男も強いです。わたしのお兄ちゃんがそう。

五十嵐:強い者同士だね。しかし73歳と23歳か……。
それ聞いただけでうなだれちゃうねー。

吉高:そんなー! 元気出してください。

Q:それにしてもこの映画、おじいさんが中に入ったロボットに、
理系の女子大生が恋しちゃうって、すごい設定ですよね?

五十嵐:まず発想が面白いよね。おれは矢口史靖監督の映画が大好きで、
公開作は全部観ている。日本では数少ない本物のコメディーを撮れる映画監督だと思うよ。

Q:今回の役はオーディションでの選出だったんですよね?

五十嵐:映画の中にもオーディションシーンがあるけど、あれと同じように、
おれもほとんど何も知らずに行ったんだよ。主役だってことも知らなかった。
まさか自分がロボットの中に入るハメになるとは思わなかったな。
矢口監督いわく、
「最初に本当のことを言うと、逃げられるんじゃないかと思ったんです」って。

吉高:わたしもよく知らないままオーディションに行きました。
それでいきなり、「はい、ロボットへの愛情の熱で爆発しちゃう女の子やって」
とか言われて、「何それ(笑)」とか思って……。

Q:ロボットオタクの女の子という葉子の役柄って特殊ですもんね。

吉高:はい。わたし、無趣味な人間なもので、
オタク役というのもあんまり例がないことですし。
周りにロボットを研究している人もいないですし、セリフは聞き慣れない言葉ばっかりで。
「はあ……」と思いましたね。
しかも難しいことを結構早口でしゃべらなきゃいけないんですよ! 
ハキハキしゃべるのが本当に苦手なので、苦労しました。

五十嵐:でもさ、あとで監督から聞いたんだけど、オーディションで、
「これやって」と言われた以上のことを由里子はやったんだって。
周りに対してサービス精神満点なんだよね。

吉高:いやいや(照)。

五十嵐:やり出したら止まらない。それは、
ネジを一本なくしたロボットみたいでもあるね(笑)。

吉高:あはは。それならネジを捜さなきゃ!

Q:五十嵐さんは「ニュー潮風」のロボットスーツを実際装着しているんですよね?

五十嵐:着けているよ。総重量30キロ。全部ネジ止め。
装着するのは毎回小一時間掛かって、外すのに40分くらい。
着けている間は身動き取れないし、トイレも行けないし、とにかく寒いんだよ! 
撮影期間が真冬だったから。

吉高:1月から2月でしたもんね。横殴りの雪とか降ってきて。

五十嵐:「(ロケ先の)九州は暖かいから」って期待して行ったら、
実際はマイナス2度だよ! 
それで、おれの体に合わせてギッチギチに作ってあるから、
下にはカイロも入れられなかった。

吉高:鉄だからどんどん冷たくなってくるんですよね?

五十嵐:そうなんだよ! 風が吹くと冷えてくる。
しかもおれ、本当に寒いのが嫌いなんだ(笑)。

吉高:わたし、ロボット役じゃなくて本当に良かった(笑)。

五十嵐:この役におれを選んだ理由の一つに、やたら健康っていうのもあると思うよ。

Q:ロボットになる前の鈴木重光も「普通のおじいさん」で、
“ミッキー・カーチス”というイメージからすると完全に異色ですよね。

五十嵐:全然違うよね。ヒゲもそったし髪も切ったし。
でもやったことないことをやるの、楽しいじゃないですか! 
おれ、「やったことないこと」ばかりに手を出している人生だからさ!(笑)

吉高:わたしも、ロボットに恋する役はやったことなかったですよ。
最初は「どうしよう」と思ったけど、「ニュー潮風」の顔を見たら、すっごくかわいかった!

五十嵐:かわいいよね。

吉高:動きも、滑らかじゃないところがいいんですよね。“初期”な感じがして。

五十嵐:それは……あの動きが限界なんだよ! でも、手作り感とレトロ感が良かった。
CGなしってのがさ。

Q:お二人とも矢口監督の作品に出演されるのは初めてですが、監督の印象は?

吉高:ブレない時間軸を持った監督さんでしたね。
誰にも入ることのできない絶対領域があるというか。

五十嵐:バリアみたいなね。最初、この監督、
何を考えているのかわかんないなって思わなかった?

吉高:思いました! だから、「とりあえずこの監督とは握手から始めよう」と思って、
いつも撮影が終わったら、どんなに遠くにいても監督の手を握りにいきました(笑)。

五十嵐:取っつきにくいわけではないしね。
たぶん、目の奥の方で何かを探っているんだよ。
しかし、本番直前に耳元でささやくのには、参った! 
例えば、「ちょっとコケてみてください」とか、脚本にないことを突然、
スタッフにも知らせずにささやくんだよね。

吉高:Sですよね! 難しいセリフを言わされたり、ロボットの中に入れられたり(笑)。見た目はかわいらしい監督なんですけど。

五十嵐:そう、見た目はロボットそっくり。

吉高:本当だ! 「ニュー潮風」は監督自身なのかも……!?

Q:さて、これから公開に向けて、観客にはどんなふうに届いたらいいと思いますか?

五十嵐:今、日本は大変なときなので、新年をこの映画でとりあえずスタート
させてほしい。いっぱい笑って、ちょっとホンワカしてね。
『ロボジー』で2012年を乗り切ろう!

吉高:ロボジーってスーパーおじいちゃんだから、
この映画をきっかけにシニアさんが積極的に映画館でデートするようになったらいいのに
なって思います。若い人たちと混じって、みんなで盛り上がってほしい!


日本が世界に誇る研究分野のひとつであるロボット工学。
工場で正確な作業をしたり、医療現場で介護をこなしたりする実用的ロボットも
もちろん素晴らしいが、何と言ってもサッカーやダンスをしたり、
走ったりおしゃべりしたりする精巧なヒト型の「ASIMO」の登場は、
かつて見たロボットアニメやSF映画がもはや絵空事ではないのだと実感させてくれた。
そして、その姿を見るたび「まるで人間が入っているみたい」と思ってしまう
人も多いのではないだろうか。
本作「ロボジー」の生みの親・矢口史靖監督も、そんなことを感じた一人だったとか。
矢口監督(以下「矢口」)「この映画のストーリーを思いついたのは、
僕がロボット好きだったからなんですが、
そもそもロボットに興味を持つようになったのは、
96年にHONDAの“P2”というロボットを見てからでした」

吉高由里子(以下「吉高」)「P2ですか?」

矢口「世界で初めての二足歩行ロボットで、今のASIMOの2世代前のモデルなんです。
最初にP2を見た時は、いきなり現れた二足歩行のロボットに衝撃を受け過ぎて、
その時は映画の題材にするなんて考えもしませんでした。
でもその後10数年経ってASIMOの進化ぶりを見た時に
“まるでヒトが入ってるようだ、いや、きっと子役が入ってるに違いない”
とちょっと意地悪な発想が浮かんだんです。
その時に初めて“これは映画になるかもしれない”と思いました。
しかも、ロボットを上手に作るエリートたちの物語じゃなく、
作り損ねたダメな連中が苦肉の策でロボットの中にヒトを入れちゃえ!って考えて…。
それも中に入ったのが、
ゆっくりしか動けなくてワガママばっかり言うお爺ちゃんだったら…という、
基本のストーリーが浮かんで一番最初のシナリオを書いたのが2006年のことでした」
そして2011年、製作に入った本作でロボットの中に入ることになったおじいちゃんに
扮したのは、200人の候補者の中から選ばれた五十嵐信次郎さん。
ミッキー・カーチスの名ではミュージシャン、落語家としても長年活躍し、
映画出演も130本以上を超える経験を持っているものの、
主演は本作が初めてであることから「初心に戻るつもりで」と
本人考案の芸名での出演となった。
矢口「ベテラン俳優さんだけに、台本に書いておいたり、
事前に色々と指示をしたりしてしまうと、
あれこれ深く考え過ぎてしまうのではないかと思って、
撮影現場で直前に“こう演じてください”とか“こんなふうにやってみましょうか”
と言うようにしました」

吉高「“転べ!”とかね」

矢口「そこまで、言ってないよ(笑)」
吉高さんも監督の演出法について
「監督の頭の中には絶対に完璧な絵コンテが出来ているはずなのに、
最初にそれを私たちには言わず、まずは好きに演じさせるんです」と語る。
矢口「まぁ、やってみないと分からないですからね。
やってダメだったらその時に指示すればいいし。現場で突然指示を出すのは、
できるだけ自然に見せたいから。
準備万端だとどうしてもダンドリぽくなっちゃうので、心の準備がないくらいが丁度いい」

吉高「なんかイイですよね、撮影現場で監督と自分だけが知っていて、
こっそり仕掛けるハプニングって」

矢口「スタッフは困ってたけどね(笑)」

吉高「五十嵐さんは、3行以上の長いセリフも完璧に覚えて来て、スゴイと思いました。
私なんて23歳ですでに2行が限界なのに(笑)」

吉高由里子さんは、そんなおじいちゃん入りのロボット「ニュー潮風」に恋してしまう
ロボットオタクの女子学生・佐々木葉子に扮している。
吉高「葉子は、感情のベクトルがハッキリしていて演じるのが楽しかったです。
実は、素の自分を出して等身大のキャラクターを演じてって言われるほうが難しくて、
突き抜けた役柄の方がやりやすいんですよ。
でも、オーディションでは、“ロボットの映画”としか聞かされていなくて苦労しました。
2シーンくらいのセリフを読むように言われたんですが、私がすごく怒っているシーンと、
ひたすらロボットを愛してると言うようなセリフがあるシーンで。
あまりにもザックリし過ぎていて内容が分からず、本当に戸惑ってしまいました(笑)。
それに矢口監督の映画はこれまで何本も観ていますけど、
監督ご本人とお会いするのはオーディションの時が初めてで、
しゃべって動いている監督を見たら物凄く緊張しちゃったんですよ。
それで、何とかその日はお話するだけでセリフを読まずに終わらせたいと思って…」

矢口「そんなワケないでしょ!(笑)」

吉高「とにかく(オーディション演技を)やりたくなくて。
ぐずぐず、うじうじしていたら“じゃあ、いいよ、今日はこれで終わりにしよう”って
監督が言ってくれないかなぁとずうっと思ってたんです。
なのに“はい、話はこれくらいにしてセリフを言ってみて”と冷静に言われて…」

矢口「そりゃ、そうだ」

吉高「監督は最初、ジロリと私を見て、ひと言ふた言ボソボソッと
指示するだけだったので、怖い人なのかなと思ったんです。
でも、しばらく話すうちに“何て優しくて柔らかい雰囲気の方なんだろう”と
思うようになってホッとして」

矢口「柔らかいと言えばさ、アナタのことを“こんにゃくみたいだね”って
言ったような気がするな」

吉高「そう、“アナタは何だか軟体動物みたいだね。骨はちゃんとあるの?
いったい何を食べたらそんなふうになるんだい”って言われました」

矢口「そこまで言った?まったく覚えてないなぁ(笑)」
そんな吉高さんがヒロインの座を射止めることになったのには、
監督のどんな思いがあったのだろうか。
矢口「今回、葉子役のオーディションにはたくさんの女優さんに
来ていただいたんですが、吉高さんとはわりと最初の方にお会いしているんですね。
で、その時に“おかしな子だなぁ”“ここまで演じるか”という印象を持ちました。
そして、その後、何人会っても、彼女のような演技をする人も、
彼女を超える演技をする女優さんもいませんでした。
普通、女優さんだったらあんなに壊れないっていうか(笑)、
もっと綺麗に見られたいという計算が働くハズなのに、
吉高さんはそのリミッターが壊れてるみたいで(笑)。
演じさせたらとことん遠いところまで飛んでいく人なんだと感じました」

吉高「そんなこと思ってたんですね~(笑)」

矢口「葉子という役は、物語の前半は可愛らしいヒロインなんですが、
後半では豹変するので、一歩間違えると漫画チックなキャラクターになってしまう。
そこで、オーディションではその豹変部分を演じて貰ったんです。
普通の女優さんだと、自分が可愛く見える範囲内で
“可愛い女優が面白いことをやっている”という演技をしてしまうんですが、
吉高さんの場合は可愛くないところまでやりきるし
“お前、そこまでやったら怖いぞ”というレベルにまで達していて。
この役が出来るのは、もう吉高さんしかいないと思いました」

吉高「あの日はアガってたんです、正直言って」

矢口「いや、そうは見えなかったなぁ。だって、可愛く振舞おうとか思って
なかったでしょ?」

吉高「もう、そんなことも考えられなくて緊張しまくってましたけど、
とにかくやらなきゃ帰れないからと思って…」

矢口「帰りたかっただけかい!(笑)。でも、これだけキャリアがある女優さんなら、
美しく見られようと言う欲があって当たり前で、
それが仕事をしていく中で自然と身についてしまうものなのに、
それがまったく感じられない人なんですよ、
この人は。写真ならそういう気持ちがあってもいいと思うんですが、
映画の場合は、自分の美しさを意識するリミッターは無いに越したことはないわけで。
こんな人も本当に珍しいです」

吉高「そんな、見ちゃいけない人みたいな言い方じゃないですかぁ(笑)」

矢口「今、あのオーディションの時の映像、もう一回見ようか?」

吉高「やめて下さい(笑)~!」

矢口「この映画で公開される演技のほうが何倍も恥ずかしいことになってるでしょ」

吉高「あ、そうですね(笑)。でもね、矢口監督って、恥ずかしいと思う気持ちを
はがして、ふっと忘れさせてくれる監督なんですよ。
恥ずかしいと思いながら演じる方が恥ずかしい…と思わせてくれたんですよね」

矢口「おっ、いいこと言うねぇ(笑)」

矢口監督が大絶賛する演技を見せた吉高さんは、コミカルシーンだけでなく、
ロボット工学にどっぷりハマっている学生役らしく、
スラスラと難解な座標や数式をホワイトーボードに書きながら会話をしたりする場面も
スマートにこなしている。
このインタビューの前には「手が覚えている」と、その座標や図解を書いて見せてくれた。
矢口「まだ覚えてたの? 凄いね」

吉高「そう、さっきボードにロボットの図面を書きながら数式を言ったら、
みんなに褒められました(笑)」

矢口「実際の理工学部の学生さんたちが使用しているリアルな図面を使って、
ドイツ人の大学の先生に用語や図の書き方を教わりながら撮影したんですよね」

吉高「はい。そういう点では、初めて経験することが多かった撮影でした。
外国の人ってすぐ褒めてくれるんですよ、“出来てるよ!”って(笑)。なので、
すぐに“ホントにぃ?”なんて、その気になって面白がりながら撮影出来ましたね」

さらにお2人に撮影の思い出を伺ってみた。
吉高「スクーターに乗るシーンがあるんですが、私、スクーターに乗るのが
大好きなので、スクーターを操らせたら吉高を超える女優はいない、
と言われるような乗りを見せたつもりです!」

矢口「アナタが突然、スクーターから投げキッスをする場面は、
いきなり本番でアドリブでやられたからビックリしたよ」

吉高「あれ、本当はNGだったんですよね。私、監督に怒られましたもん」

矢口「だってファーストテイクであんなことされたらビックリするよ!
 先に言っておいてよ(笑)。
ハラハラして“ダメだよ、もう一回!”って撮り直したんだけど、
のちのち編集室で見てみたら、
その投げキッスのテイクが一番良かったから結局採用しちゃったんだよね。
怒って損した気分です(笑)」

吉高「私は“あ~あ、あんなことしちゃダメだったんだ…”って
ちょっと落ち込んでたのに、怒られて損した(笑)」

矢口「今回の作品では、どのシーンもアナタは最初のテイクが最もいいって事が
多かったかな。最初にやる芝居が一番ハジけてたから、それを生かして編集しました」
劇中、ロボットに“萌える”人々が多数出てくる本作。
好きなものについて語り出したら止まらない、
そんなアツい人たちがキュートに描かれている。
矢口「僕自身は、今、「ロボジー」に“萌え”てます(笑)。
僕は自分が作った映画が無事に公開されるまで、そのことだけになっちゃう性格なんです。
同時進行で他の事やモノに“萌える”事も出来ないし、
他の企画を考えることも出来ないんですよね」

吉高「素敵ですよね。監督って、言葉は少ないんですけど、
すごく信用できる方だと思いました」

矢口「いい事を言ってるのに、背中をポリポリ掻きながら言うなよ(笑)」
最後に、監督と出演者から見た、本作の魅力について語って頂いた。
矢口「今までの映画やドラマで見てきた吉高さんはニセモノで、
この映画が彼女の素に一番近いと断言します(笑)。
可愛いところも可愛くないところも存分に見せたブッ飛んだ吉高さんの名演技が
堪能できます」

吉高「監督って、無垢な変態って感じですよね(笑)」

矢口「あ、逆襲してきた(笑)」

吉高「そんな監督の人を見る観察力の細かさがこの作品に反映されていると思います。
感動しろ、とか、泣きどころはココ!
とか、ここが面白いよ、とか押し付けたりしていないのに自然に笑って泣けて、
構えずに純粋に楽しめる映画なんです」

矢口「コメント、長いなぁ」

吉高「何かね、話してるうちに自分でも、途中で話の着地点が見えなくなることが
あって(笑)」

矢口「うん、時々感じるわ、それ(笑)」

吉高「あと、こうやって長々と話すふりをして、写真撮影の時間を短くしようと
してるんです」

矢口「なんでだよ(笑)」






以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
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にて「ロボジー」の頁をご覧下さい。



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