「I am sam/アイ・アム・サム」DVDレビュー
★映画基礎データー★「I am sam/アイ・アム・サム」 2001年 ワーナー映画 133分 監督・脚本:ジェシー・ネルソン 出演:ショーン・ペン、ミッシェル・ファイファー |
「I am sam」見ました。
私も泣けて泣けてなみだぼろぼろ…、
ハンドカメラの不安定にゆれる画面と、かちゃかちゃ切り替わるカットにすっかり目をやられて、という映画でした。
決して悪口ではなく、これは不安な主人公サムと幼いルーシーの心情描写にすぐれた演出方法なのですが、DVDを見るとき暗い部屋で画面に接近して見ちゃ駄目と言う警告です。
「マジェスティック」が時代を超えて不変のものを描いたならば、
「I am sam」は現代アメリカの抱える問題そのものの映像化です。
理屈で考えると辻褄の合わないシーンがあるのですが、とにかく感情に訴えて大いに泣かせます。
「クレイマー・クレイマー」泣けた人なら確実に泣けます。「クレイマー・クレイマー」がつまらなかった人には退屈な映画かもしれません。
余談ですがうちの母上は「クレイマー・クレイマー」のことを「特にどうと言う事の無い映画」と言っています。「子育てが大変なのは当たり前」だそうです。
手厳しい指摘ですけど、「I am sam」を見て泣いていたのは大抵若いカップルや女の子のグループで、子育てを経験した世代ではありませんね。
お子さんがいらっしゃる方の感想を伺いたいです。
私は「I am sam」はファンタジーだと思ってます。
知的障害を持つサム(ショーン・ペン)は7歳になる娘ルーシーとふたり暮らし。ある事件によって福祉局は彼から親権を取り上げ、ルーシーを施設に送る。サムは愛娘を取り返そうと、やり手の女性弁護士(M・ファイファー)を訪ね、弁護を頼むのだが……。
ホームレスの母親は女の赤ん坊を出産後、すがたを消し、以降7歳になるまでルーシーはサムによって育てられています。
彼の知性が7歳ならば、赤ん坊をおしめがとれるまで育てること自体不可能な筈です。夜昼構わず2時間おきに授乳が必要で、快・不快の意志を伝えることが出来ず泣くか笑うかするしかない赤ん坊を育てることは容易ならぬことです。
リアリティでこの作品を評価するなら、最初の10分ほどで落第点。
しかし、映画と言うものはドキュメンタリーでは、もともとありません。
現実の断面を切り取り、創作することで人生なり社会なりの真実に迫るものです。
7歳のルーシーは父親との蜜月の時代を終えて、社会と向き合う様になります。
そこで自分の父親が世間の父親と、"やっぱりちがっている"ことを思い知らされたり、自分の知性が父親を超えようとしていることを実感したりします。
更にサムの隣人たち、登場する女弁護士それぞれに問題を抱えており、ドラマに深みは無いのですが良いアンサンブルを奏でています。
ですから"嘘から真実を描き出そうとする"映画として良く出来ている作品といってよいのではないかと考えています。
「レインマン」の時もそうでしたが、ハンディキャップのある人を悪く描くことは許されないので、どうしても「実は彼は天使のように清らかな人でした」と性善説的に描かざるを得ないところがあります。「知的障害」というキャラクターに全てが収まってしまい、むしろ没個性的に描かれがちです。彼らだって善玉悪玉両方いて、それぞれに個性があるでしょうに。
とはいえ、法廷でサムが皆を黙らせるような立派な事を言ったと思ったら、「クレイマー・クレイマー」からの引用だったとばれる(しかも仲間内から)くだりとか、この聖人説を軽くいなしているような場面などあって脚本はなかなかに達者です。
それとハリウッド映画にしては物を食べるシーンがとても多かったです。
"消えもの"を扱うことは本当に珍しいと思います。ブラピやトム・クルーズが物食ってるシーンなぞおよそ見たこと無いのですが、(酒飲んでるシーンとかはある。テーブルの上にご馳走が並んでいても口もぐもぐのシーンはまず無い。)、ミシェル・ファイファーもショーン・ペンも本作では実によく食べてます。それもファミレスとかピザやヌードルのアウトレットとか安物ばっかし。 ^_^; ミシェル・ファイファーが自宅のキッチンでマシュマロをほお張る場面は、テーマにも関わる重要なシーンです。
監督のジェシー・ネルソンと言う人は舞台女優をやっていた人で、食えない役者時代のウエイトレス経験をもとに脚本を執筆したのが映画界との関わるきっかけだったそうですがその時、映画製作における脚本家の権限の低さに驚き、監督術を学び、本作では制作・脚本・監督の三役で活躍しています。ライターとしてはジュリア・ロバーツ、スーザン・サランドン主演、クリス・コロンバス監督の『グッドナイト・ムーン』、ロブ・ライナー監督、ブルース・ウィリス、ミシェル・ファイファーが主演の『ストーリー・オブ・ラブ』等を執筆しています。年齢は判らないのですが(女性はプロフィールに歳の無い人が多い)才能のある人が良い役者を得てヒット作を世に送り出すと言うことは、まだまだ男性上位のハリウッドにおいて、結構なことだと思います。
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