「ソウ/SAW」

「ソウ/SAW」映画チラシ★映画基礎データー★
「ソウ/SAW」
2004年 アメリカ映画
監督脚本 ジェームズ・ワン
原案脚本 リー・ワネル
出演 リー・ワネル

mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス

明かりの灯っていない、古くて不潔なバスルームの中。
二人の男が風呂場の配管に足首を鎖で繋がれている。
一人はアダム(リー・ワネル)という若い写真家、
もう一人は外科医のドクター・ゴードン
(ケイリー・エルウィズ『ツイスター』『ライアー・ライアー』『コレクタ
ー』)。

明かりがつくと、
二人の間に、頭を拳銃でふっ飛ばし血の海に倒れた死体が一体転がっていた。
死体が手にしているのは、右手に拳銃、左手にテープレコーダー。
  ふたりは連続殺人犯‘ジグソー’に拉致されたのだと知る。
‘ジグソー’はどこかに仕掛けられたスピーカーからゲームの開始を宣言す
る。
‘ジグソー’は、ゴードン医師が
時計の長針が6時を打つまでにアダムを殺せと要求する。
さもないとゴードン医師自らと家族が死ぬことになるというのだ。

映画サイトなどの宣伝を見ても、ほとんど無名の配役ですし、
もげた片足のスチール写真が出ていたりで、“三流スプラッター”と
決め付け、まったくノーマークでした。
が、映画情報番組等で絶賛されており、映画掲示板の書き込み反響も上々です
ので、
慌てて見に行きました。
無名のオーストラリアの映画学校出身の若手ふたりが脚本を書いてハリウッド
に売り込み、内容の面白さで映画化が即決。
サンダンス映画祭で注目され、
カンヌ映画祭でバイヤーが配給権のはげしい争奪戦を繰り広げただけあって、
なかなかに面白いフィルムでした。

「ソウ/SAW」の監督・原案はジェームズ・ワンという新人監督。
友人のリー・ワネルと組んでこのインディペンデント映画を作ったのですが、
共同原案・脚本・出演のリー・ワネルは『マトリックス リローデッド 
(2003)』
の端役で出演している俳優でもあります。
ふたりは長年の友人同士で、お互いの意見を信頼し合う間柄だそうで、
書き上げた脚本を売り込むため、ワンシーンを撮って8分ほどのパイロットD
VDを
自作しハリウッドのエヴォリューション・エンターテイメントに売り込んでま
す。
全編は「メメント」の記録21日間より短い18日間で撮影されたそうです。
最近のハリウッド映画は複数のラストを撮影し、
試写会反響などで公開バージョンを決定することも多いのですが、
ソウについてははじめからラストは一つしかなく、
そのラストに向けて一気呵成に制作されたのでしょう。

テーマに深みはありません。極限状態に置かれた人間の肉弾戦です。
刻々と変化するシチュエーションを如何にクリアするか、
それを映画的にどう面白く見せるかがすべてです。
人生の深みを味わう作品ではありません。
割り切って見ればとことん楽しめます。
劇場は若いカップルで盛況でした。
こちとら野郎ひとりで怖がって見ているのが馬鹿臭いほどです。
しかしどうなのでしょう? 後味の悪さがウリになってるような映画です。
こういうの本来デートムービーに向くんでしょうか?

10月8日に決まっていた全米1500館の公開が突然延長され、
10月30日に日米同時公開されています。
サンダンス映画祭、カンヌ映画祭で上映されたオリジナルは、
「一般映画」として公開するには問題あり、
との判断でレーティング(年齢制限)がかけられ、
内容も再編集されたものが、全米2000館で公開されています。
10月10日の東京ファンタスティック映画祭の上映は、
映画祭の趣旨からオリジナル版が上映されたようです。
公式サイトではこの上映を誇らしげに「全米中止バージョン上映」と呼んでい
ます。
日本での一般公開は、全米公開バージョンと同じものだそうです。
(経過については公式サイトに詳しく出ています。)

 映画『 ソウ』の原題の英単語「 saw 」には、
      (1) see (見える)の過去形
      (2) 格言・ことわざ
      (3) のこぎり   …という三つの意味があり、
本作は、「のこぎり」の意味だと思われます。
劇中に登場する連続殺人鬼を警察では‘Jigsaw’と呼んでいますが、これは
‘ジグソーパズル jigsaw puzzle ’のことでjigにsawが入っています。
それと映画『ソウ』の英語キャッチコピーの一つが
‘ Every piece has a puzzle. (「どの断片にも謎がある」)’といって、
ストーリー自体がジグソーパズルのような構造になっています。
  冒頭近くで囚われの身のふたりが、弓のこ hacksaw ’を見つけますが、
これものこぎりの‘-saw’ですね。
この弓のこでは鎖は切れません。
「足を切れというのか?」アダムとゴードンは震え上がります。

アダムとゴードン以外の配役は犯罪学者の役にディナ・メイヤー
(『スターシップ・トゥルーパーズ (1997) 』『ネメシス/S.T.X 
(2002))、
ゴードン医師の妻ダイアナにモニカ・ポッター(『パッチ・アダムス (1998) 
P 』)、
連続殺人鬼‘ジグソー’を追っている刑事タップにダニー・グローヴァー
(『リーサル・ウェポン4 (1998) 』『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 
(2001) 』)と
中国系の相棒刑事シンにケン・リョン(『スパイ・ゲーム (2001)』『レッ
ド・ドラゴン (2002)』)となっています。
キャスティングに当たっては、監督ジェームズ・ワンがロサンゼルスに戻るの
に、
カナダのオタワでビザの処理が遅れて足止めを食い、
製作前の貴重な時間をとられてしまったため、
製作までたった一週間という短期間で急いで配役を決めねばならなかったのだ
が、
配役担当のエイミー・リペンズがよくやってくれたという
ワン監督の後日談が伝えられています。

ゴードンはタップとシンに容疑者として取調べを受けており、
その時、知りえたいきさつから、自分たちが‘ジグソー’の虜になったのだと
知りますが、
タップ刑事もまた、‘ジグソー’を追ううちにシンを惨殺され、
自分もあやうく殺されかける体験をしたので、
復讐の意味もあって逮捕に躍起になっています。
 タップとシンの捜査は、アダムとゴードンの戦いとシンクロしており、
正確には時間軸が前後しているのですが、
映画的な見せ方が上手いので、同時並行して戦っているように見えます。
では単なる騙しのテクニックで同時のように見せているだけなのかというと
そうではなくて、
クライマックスにしっかり合流し、怒涛の展開を見せています。
 タップは警察の駒として登場するだけでなく、
事件によってトラウマを抱え、半分人格が壊れていながらなお、
彼なりの正義感から犯人を追いかけるという役どころです。
その姿は怖く、かつ哀れで、この映画の脚本が一筋縄のしろものではないこと

証明しています。
 
犯人の正体、というのはこの作品ではさして重要ではありません。
むしろ重要なのは犯行の目的です。
‘ジグソー’は繰り返し、“生きていることに感謝する者がひとりもおらん”

怒りの声を上げており、
“命を粗末にする奴”に制裁を加えるため、過酷なゲームを仕掛けているのだ

公言しています。
 彼のゲームに投げ込まれた犠牲者たちは、
そのほとんどが奇怪な死に様を遂げていますが、唯一、
麻薬中毒だった女性が生き延びており、
彼女はその恐るべき体験から麻薬を絶ったと警察で証言しています。

ドクター・ゴードンやアダムたちに自分自身の命を認識して感謝させることが
彼の狙いなのですが、
何故、ゴードンが選ばれたのか、アダムが選ばれたのか、
ゲームがどのような結末を迎えるかは
映画館で確認されるようお勧めします。

ワンとワネルの第2作もホラーの予定で、
タイトルは『Shhhh (シーッ!)』。大手ユニバーサル映画配給です。
若い男が帰宅すると、舌を抜かれた死体がゴロゴロ待っていた、
というプロットだそうです。


トップページ(映画の日特選、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。