「シャーク・テイル」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「シャーク・テイル」 2004年 アメリカ映画 監督 ビボ・バージェロン ヴィッキー・ジェンソン ロブ・レターマン 脚本 ロブ・レターマン マイケル・J・ウィルソン 出演 ウィル・スミス |
ディズニーの「ファインディング・ニモ」に対抗し、
ドリーム・ワークスが挑む“海もの” CGアニメ『シャーク・テイル』。
元々この映画の原題名は“シャークスレイヤー
sharkslayer 〔サメ殺し〕”だった
のですが、全米公開の一年前に製作総指揮のジェフリー・カッツェンバーグが
“家族向きでない“として、『シャーク・テイル(サメ物語)』と変更させて
います。
内容的には海が舞台でお魚たちが登場人物の、あっと驚く“マフィア映画”なのですよね。
海の底に広がる美しい大都会リーフシティ。
人気レポーターがサメ警報の解除を高らかに伝えた途端、
身を潜めていた大小様々な魚たちが泳ぎ始める。
多発するサメの出現でリーフの世論調査では過去最高の恐怖度を記録、
ヒーローを待ち望む声が叫ばれていた。
フグのサイクス(声:マーティン・スコセッシ)がオーナーのクジラの洗鯨場
“ホエール・ウォッシュ”で働くホンソメワケベラのオスカーは、
(声:ウィル・スミス)日々クジラの口の中を洗っている。
歌ったり踊ったりしながら働く毎日、
いつかは金持ちになりリーフシティのトップに住むことを、オスカーは夢見ている。
人気者だが調子いいオスカーはトラブル続き、
好意を寄せるエンゼル・フィッシュのアンジー(声:レニー・ゼルウィガー)は
いつもハラハラ。
一方、大ボス鮫ドン・リノ(声:ロバート・デ・ニーロ)の
息子レニー(声:ジャック・ブラック)はベジタリアンの優しいサメで、
ドン・リノや乱暴者の兄フランキー(声:マイケル・インペリオリ)に
いつもハッパをかけられている。
サイクスに多額の借金があるオスカーが、
5000 ドルの返済を求められた時、アンジーは母の形見のピンク・パールをオスカーにあげた。
オスカーはそれを売るが、その後、サイクスにお金を返すために行った競馬場で、
馬(というか、タツノオトシゴ )にそれを賭けてしまう。
オスカーが賭けた馬は負けてしまった。窮地に陥ったオスカー。
サイクスの手下であるラスタファリアンなクラゲ、
バーニー(声:ダグ・E・ダグ)と
アーニー(声:ジギー・マーリィ)は、オスカーを痛めつけるために連れ出した。
一行はフランキーとレニーに出くわした。
タフ・ガイなフランキーは殺し方をレニーに教えることになっている。
オスカーは、フランキーに狙われるが、
フランキーは大きなイカリに刺さって死んでしまう。
その次第を見た二匹のクラゲは、オスカーが殺したものと勘違い。
その機に乗じてオスカーは、“シャーク・キラーのオスカー”と名乗り始める。
魚仲間たちはオスカーの話を丸ごとすっかり鵜呑みにし、
嘘をついたおかげでオスカーは意外にもヒーローとなり、
ついに名声と富を手に入れる。
サイクスがオスカーのマネージャーとなり、
セクシー美女のローラ(声:アンジェリーナ・ジョリー)が
お金目当てでオスカーに言い寄ってくる。
ビッグになるという夢が実現したオスカーは、上流生活を楽しみ、全ては順調。
しかし、“サメ殺し”を探してサメたちがやって来ると雲行きが怪しくなる。
その頃、父ドン・リノや他のサメたちのように捕食者になれないレニーは家出をする。
レニーとオスカーはお互いの問題を解決する計画を考えた。
オスカーがレニーを殺すふりをすれば、サメたちはオスカーを恐れ、
オスカーを捕まえようとはしないだろう。
それでレニーも新しい生活を始めることができる。
さて、レニーは白昼のリーフシティに殴り込むふりをして、
公衆の面前でオスカーと華々しく戦って見せるのだが…。
この作品のウリはなんと言っても声のキャストです。
オスカー役のウィル・スミス
『アリ (2002) 』< 2002 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
『アイ,ロボット(2004)』、先日地上波で放送があった「メン・イン・ブラック」シリーズ
で知られていますが、オスカーは、早口の小さな底魚という設定です。
底魚(そこうお)というのは、海底または海底に近い所にすむ魚のことで、
カレイ・ヒラメ・タラ・アンコウなどを言います。底棲魚とか、沈み魚などとも呼びます。
底魚という意味の英語bottom feeder/ bottom
fish には、
最下層民、ゴミ漁り(のような連中)、
低俗な本能に訴える人という意味があるんだそうです。
彼は、リーフシティのスラム街に下宿し、
シティの天井にそびえる高級住宅のビルを見上げ、
「いつかあそこに住んでやる」などとアンジーに語る場面があります。
この映画の中では一番の悪役ドン・リノには、ロバート・デ・ニーロ。
言わずと知れた代表作は 『 レイジング・ブル (1980)』
<1981 年アカデミー主演男優賞受賞>『未来世紀ブラジル (1985)
』
『レナードの朝 (1990)』< 1991 年アカデミー主演男優賞ノミネート>
『RONIN (1998) 』と。
ホオジロザメ一味は、海底に沈没した客船に住んでいます。
劇中ではこの船は「タイタニック」と呼ばれてますけど、
本当に北大西洋のタイタニックという設定かどうかわかんないです。
ドン・リノの頬には、声を務めるロバート・デ・ニーロのようなアザがあります。
アンジー役のレニー・ゼルウィガーは『ブリジット・ジョーンズの日記 (2001)
』
< 2002 年アカデミー主演女優賞ノミネート>
『シカゴ (2002)』< 2003 年アカデミー主演女優賞ノミネート>
『コールド マウンテン (2003) 』< 2004 年アカデミー助演女優賞ノミネート>
のあのレニー・ゼルウィガーなのですが、
アンジーはエンゼル・フィッシュという設定ですね、別の魚かと思ったけど。
これはルックスというより、取るに足らない魚のオスカーを愛し、
インチキヒーローを演じているオスカーを見て心底心配する、
本当にエンゼル〔天使〕のような存在である、というところから
きているのでしょう。
レニー役のジャック・ブラックは『スクール・オブ・ロック (2003)
』
の教師役で一躍売り出した(?)人ですが、
映画の中盤、捕食生活から完全にドロップアウトし、
隠遁生活であっというまに下腹が出てるのですが、
ひれは当人をモデルにしたと言われて、「そんなに出てないよ」と不満げだったとか。
ドン・ファインバーグという初老のホオジロザメ役で“刑事コロンボ”の
ピーター・フォーク が声を聞かせていますが、
日本のファンは吹き替え版しか知らないので、わかんなくて当然ですね。
『タクシードライバー (1976)』< 1976 年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞>
『ギャング・オブ・ニューヨーク (2001)』<
2003年アカデミー監督賞ノミネート>
『アビエイター (2004)』等の監督で知られるマーティン・スコセッシが
オスカーの雇い主サイクス役で登場しています。
太い眉毛がマーティン・スコセッシ監督にそっくりです。
熱い空気で膨らむフグ puffer fish 〔ハリセンボン
porcupine fishっぽく見えるけど〕。
この魚は “ホエイル・ウォッシュ〔クジラ洗い〕社”のオーナーなのですが、
金貸しもしているとか、なんか怪しいやつですね。
『17歳のカルテ (1999) 』<2000 年アカデミー助演女優賞受賞>
『トゥームレイダー2 (2003)』『アレキサンダー (2004)』の
アンジェリーナ・ジョリーが演ずるローラというお魚は野心満々やる気満々の
ドラゴン・フィッシュであります。
分厚い唇でゆさゆさ髪を揺さぶり、眠たげにセリフをしゃべる姿は、
とってもエッチです。(爆笑)
彼女が欲しいのは、礁のニュー・ヒーローであるオスカーです。
三下のオスカーには鼻も引っ掛けずで、
へんな夢を見たオスカーを煽る、こまったねーちゃんの役どころです。
ギャングのサメたちにイタリア系の名前が付いていたり、
彼らの台詞の中にイタリア語が使われていたりと、極悪なサメたちのモデルは、
イタリアのマフィア・ファミリー。
それ対してにイタリア系の市民団体がイタリア人=マフィアというイメージを広めているとしてブーイング。
ドリーム・ワークスに映画内のそういう箇所を削除することなどを求めているという話を
聞いています。
海の描写は「ファインディング・ニモ」に拮抗します。
やや3Dっぽい立体感に勝りますが、
色彩設定、声を担当する俳優たちの顔に似せたキャラクター設定などは
好き嫌いが分かれるのではないでしょうか?
(はっきりいって私しゃ嫌い…、というより苦手ですね。どきつくて)
テンポの速いギャグがウリですが、日本人には生理的に早すぎるのでは?
劇場公開の時、画面中がおおはしゃぎなのに対して、客席は静かなものでした。
(つまりひいてるってことです。)
着想そのものは悪くない話ですが、なんか単純ですね。
いえ、単純なのは承知の上ですが、もうちょびっと面白く見せるストーリー上の
創意がほしかったです。無いものねだりかも知れませんが。
トップページ(映画の日特選、小説と脚本の比較レビュー)に戻る。