「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」 2004年 アメリカ映画 監督脚本 ケリー・コンラン 出演 ジュード・ロウ |
時は1939年、ニューヨーク万国博覧会の年―。
ニューヨーク市のはるか上空を遊泳しながら、
世界一高い寄港地であるエンパイアステートビルの頂に、
巨大な飛行船ヒンデンブルグ三世号が停泊した。
この新たな科学のシンボルが雄姿を現し、雷鳴が轟く中、
危機を予感させるニュースが報じられる。
またもや著名な科学者が、謎の失踪を遂げたのだ。
カメラ片手に第一線へと飛び出し、
スクープをものにするNYクロニクル紙の敏腕新聞記者
ポリー・パーキンス(グウィネス・パルトロウ「恋に落ちたシェイクスピア」)は、
この“科学者連続失踪事件”の調査に独自で乗りだしていた。
監督・脚本に抜擢されたのは、若干 29 歳のケリー・コンラン監督。
今回が初監督・脚本作品となります。
コンピュータ・プログラマーのコンラン監督は
4年かけてひとりで6 分間の CGI 作品を自作しました。
そのニューヨークの町を踏み潰すロボットの映像を偶然目にした、
プロデューサー、ジョン・アヴネットはその世界観に深く感激し、
長編映画にしようと企みます。
無名の新人監督の下にジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、
アンジェリーナ・ジョリーの三大ハリウッドスターが参集し夢の冒険活劇が
誕生しました。
ポリーの目に信じられない光景が飛び込んでくる。
世界中の大都市に奇妙な巨大ロボット軍団が飛来し、人間を襲い始めたのだ。
逃げ惑うニューヨークの人々を尻目に、
ロボットたちはストリートを破壊、車を踏み倒し、ビルを押しつぶしていく。
無謀にも現地の模様をカメラに収めようとするポリーだが、彼女にも危機が迫る。
そして完全にパニックに陥った街に、警報が響き渡った。
「緊急指令、緊急指令! スカイキャプテン出動せよ!!」
無線はヒーローに助けを求める。
たった一機、戦闘機で駆けつけた傭兵のエースパイロット、
スカイキャプテンことジョー・サリバン
(ジュード・ロウ「コールドマウンテン」)は
超一流の飛行技術と、危険を顧みない勇気でロボット軍団を蹴散らし退散させる。
(でも雇い主は不明。笑)
ポリーの追っていた科学者連続失踪事件と、
今回の巨大ロボットニューヨーク襲撃事件。
この2つの事件に関連を見出したスカイキャプテンは、
元恋人でもあるポリーと共に調査を始める。
失踪した科学者たちは前の大戦で同じ研究プロジェクトのメンバーだった。
彼らは何を研究していたのか。
また、ロボットたちは誰によって何のために作られたのか?
プロジェクトの六人の科学者がさらわれ、残る一人は失踪中。
事件の鍵は天才的な頭脳を持ちながらも世間から孤立した失踪中のドイツ人科
学者
トーテンコフ博士が握っているらしい。
そこまで突き止めるスカイキャプテンとポリー。
だがロボット軍団はスカイキャプテンの秘密基地を襲い、
キャプテンの片腕・天才技師デックス
(ジョヴァンニ・リビシ「ロスト・イン・トランスレーション」)をさらって
いく。
デックスは基地襲撃のさなか、ロボットたちを操る怪電波が遥かネパールから
発信されていたことを突き止めていた。
スカイキャプテンとポリーはネパールへとむかう。
途中、大英帝国の空中空母、女艦長フランキー・クック
(アンジェリーナ・ジョリー「トゥームレイダー」シリーズ)の助けを借りつつ、
次第に明らかになっていく“狂った天才”トーテンコフ博士の恐るべき
「明日の世界計画」に、スカイキャプテンとポリーは
地球滅亡への危機感を強める。
(ハリウッド映画の筈なのに大英帝国を素直に正義の味方にしているのは
異色といえば異色。
ナチス、ローマ皇帝とユニオン・ジャックはハリウッドの永遠の敵役ではなか
ったか?)
この作品では、コンピュータで作られたキャラクター以外は、
全てブルー・スクリーン撮影されたミニチュアのようです。
創造されたデジタル映像は、空想上の1939年のN.Y.にレトロなロボット
兵団が
飛来するというファンタジックなものです。
予告編ではモノクロのように見えますが、実際には一部に色が付いていたり、
画面全体を退色させたように見える場面などもありナカナカに凝ったものです。
最近のハリウッドの製作現場の企画貧困に業を煮やしたか? はたまたやけくそか?
おたくプログラマー自作プロモーションビデオに
大枚はたいて大作映画を作ってしまうという制作過程そのものが
浪漫を感じさせます。
私は『スカイキャプテン』という題名が先で、
『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』は、
「スカイキャプテン第一話“明日の世界”」という具合に
構想が膨れ上がったものと思っていたのですが、
実際には
当初“ THE WORLD OF TOMORROW (ザ・ワールド・オブ・トゥモロウ)”
という題名だったのが、
『デイ・アフター・トゥモロー (2004)』と
カブッてしまうということで、変更されたようです。
当初から続編狙いというのは誤解だったんですけど、
でもフィルムを見れば、
制作当初はともかく製作過程でやっぱりシリーズものを目指すようになったのは
明々白々です。
軍服にアイパッチのアンジェリーナ・ジョリーや、
飛行服姿のジュード・ロウはかっこいいったらありゃしないのですが、
見た目の華やかにさにくべて、割と平凡な活劇ヒーローです。
別にこれといって欠点は無いのですが、逆に
“ここが面白い”
と強くアピールできるものが無い…。
どんなに綺麗に撮影されていてもコクピットはセットに違いないのは一目瞭然
ですし、
戦闘機のアクションはCGとミニチュアで出来ているのははじめから
分かっていることですので、
如何にもヒーローが自分の汗をかいてなくて、
いくらアクロバティックな空中戦で摩天楼を縦横に駆け抜けても
「いまさらスターウォーズ?」でかたづけられてしまう不幸があります。
人物よりメカを描きたかったのかな、という風にも取れます。
キャプテンの乗る戦闘機は単発のレシプロ(プロペラ)機ですが、
潜水艦にもなるというシロモノ。
クック艦長が乗る空母は飛行船などではなくて飛行甲板付の巨大ヘリコプター。
また敵側も羽ばたきながら機銃掃射を浴びせる戦闘機などが登場します。
またメカの見せ方もとても上手く、
冒頭のロボット兵団の来襲場面では、
カメラを手にしてロボットの足元を走り回るポリーと
自動車を踏み潰しつつ前進するロボットの巨大さを誇示するショットは
ハリウッド版ゴジラより数段上です。
…年数がたってるので上でないと困るといえば困りますが。笑
(日本のゴジラを2004年でファイナルにしたのは、
既に興行投資の回収が出来なくなっているのが直接の理由ですが製作現場でも
「スーツメーションでできることはやりつくした」という意見もあり、
スカイキャプテンをみるとその意見も正しいと断じざるを得ません。)
既に「トゥームレイダー」で活劇づいているアンジェリーナは別ですが、
ジュード・ロウとグウィネス・パルトロウは
今までとは別の役柄開拓を狙っていた筈ですが、
互いに知性が邪魔をしたのか、あまりにお上品過ぎてつまらないです。
どちらも冒険志向の人物の筈ですが、設定範囲をセリフでなぞっているだけです。
脚本はわざとクラシカルなセリフのギャグパターンを使っているようですが、
トロ臭いです。
活劇の合間に設定をセリフで説明しているのですが、ギャグまで段取りをセリフで
語ってます。
クックとキャプテンは上海で一緒に戦い、
どうやら男女の仲のようでそれをポリーが嫉妬してます。
映像は出てこずシリーズものとして「スカイキャプテン2」を
売り込みたい気配を感じますが、セリフでだらだらしゃべられても
それがどうした?で敵地突入の直前の割には
ドラマ的緊張感とは無縁の場面です。
パターンのストーリーがだめということは無いのですが、
「ハムナプトラ」シリーズのようにパターンから人物がはみ出す面白さがないと。
トーテンコフ博士に
頼むから“世界征服”だなんていいださないでおくれよ、と祈ってましたが、
これはどうやら免れました。
以下、ネタばれ改行です。
「あと二枚しかないわ」
博士の島でいきなりジュラシック・パークしてしまうのは面食らいました。
おかげでトーテンコフ博士の専門分野は分からずじまいです。
なんでもありの天才に設定してしまうと、
映画としては“何にもできない人”と一緒になってしまいます。
こういう設定は諸刃の剣なので止めといた方がよいのだけどな。
ヒミツ基地は、ま、あんなものでしょう。
反重力駆動のようなメカも出てくる。
しかし、機械たちだけが野望の実現に動き回っていたというのは、
やっぱりつまんないですね。
結局、悪役側に語るべきドラマを用意できず、
マシンを繰り出して逃げてます。
というより監督は悪玉には始めから興味なかったのでしょうね。
出てきたマントの女、あれはクック艦長と同一人物かな?
それでどんでん返しになるのかな?
と期待していましたが、ただのアンドロイドでした。
ラストでどどーんと上昇していくロケットからだだだーーっとカプセルが
落下して、
島の周りに無数の落下傘が舞い落ちて、
そこから動物たちがカプセルの上に姿を見せるというエンディングは
絵になっています。
空中空母が大艦隊で現れるのも、かっちょええ。
絵にこだわりすぎてドラマがなくなっちったというのは、
ラストに限らず全編にいえることですが。