「バレエ・カンパニー」DVD脚本レビュー
| ★映画基礎データー★ 「バレエ・カンパニー」 2003年 アメリカ ドイツ映画 監督脚本 ロバート・アルトマン 出演 ネーヴ・キャンベル |
巨匠ロバート・アルトマン監督の待望の最新作「バレエ・カンパニー」。
原題はシンプルに「THE COMPANY」ですが、それじゃ企業ドラマみたいですから、
邦題では分かりやすく「バレイ」と。笑
シャーリーズ・セロン、パトリック・スウェイジなど、
ジャンルを問わず優れた才能を輩出してきている
アメリカの名門バレエ・カンパニー「ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ」を
舞台に
ダンサーたちの光と影に迫り、
臨場感あふれるドキュメンタリー感覚の作劇が繰り広げられます。
主演のネーヴ・キャンベルを除き、
すべてが同バレエ・カンパニーの現役ダンサーで、
国際的な振付家も本人役で出演しています。
迫力あるダンスシーンのために、
アルトマン監督が初めてHDビデオを撮影に用いた作品でもあります。
私は不勉強者ですのでアルトマン監督、と言われても『M★A★S★H』「ナッシュビル」
くらいしか思いつかないです。群像劇の名手? ふーん、そうですか。
製作のキラー・フィルムズに本作の企画を持ち込んだのは、
「スクリーム」のネーヴ・キャンベル本人です。
ホラーのヒロインで名をはせた彼女ですが、
6歳の時からダンサーとして活動し、
ハリウッドで女優デビューをする前にはナショナル・バレエ・オブ・カナダで
バレエ・ダンサーとして活動していた時期もあるそうです。
ネーヴは、
かねてからバレエ・カンパニーの世界を確固として視点で描いた作品を撮りた
いと考えており、
脚本家のバーバラ・ターナーとネーヴは
2年以上ものあいだジョフリー・バレエに密着、リサーチと脚本執筆を進めてい
たそうです。
で、この売り込み用の脚本はアルトマンがメガホンを取ることを想定して書か
れたもので、
ネーヴ・キャンベルは出演作の共演者のつてを頼ってアルトマン監督に接触、
売り込みをかけたのですが、アルトマンは「バレーは門外漢だから」と
躊躇していましたが、結局口説き落とされて
新しいことへチャレンジしています。
もちろん人の書いた想定脚本どおりにカメラを回すような素直な人ではないので、
アルトマンは時間をかけてダンサー各人と直に面談し、彼らの真実の姿を掴もうと
リサーチのやり直しから着手し、
彼らが自分自身で存在すること、それによる真実を描く、というコンセプトを
決めて、
そのためプロの俳優たちにも実在の人間に見えるように演じさることに腐心し
ました。
んー、分かりにくい?
ドラマドラマした登場人物でなくて、ドキュメンタリーの手法を使って
実在の人物のように登場人物を演出したということです。
ただ、HDビデオは使っても、カメラそのものを手カメラで振り回して撮ったりは
していませんので、むしろ脚本上でドキュメンタリーっぽくしています。
ダンサーとしてひたむきに生きるライ(ネーヴ・キャンベル)は、
ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴの一員として、順調にキャリアを積み上げ
てきた。
今年のシーズン開始早々、ライは同僚でもある恋人の裏切りを告げられる。
しかし一方、外部から招いた世界的な振付家ラー・ルボヴィッチ(本人出演)
の新作では、
本役の怪我により、代役から抜擢、嵐のなかの野外公演では大成功をおさめる。
芸術監督のミスターAことアルベルト・アントネッリ(マルコム・マクダウェ
ル)にとって、
ダンサー各人は大切な子供のようなものだが、
バレエ・カンパニーを成功させるためには、ダンサーの意向にかまっていられない。
公演に観客をよぶために著名な振付家に作品を委託したいが、
そのためには予算が必要であり、スポンサーに会って説得しなくてはならない
バレエ・カンパニーにはさまざまな事情を抱えた、多くのひとがかかわっている。
ベテラン・ダンサーのデボラはもっと規範正しくあるよう注意される。
新人のジョンはロッカーでもバーレッスンでも自分の場所を見つけられない。
結婚したばかりのスザンヌはリハーサル中にアキレス腱を切ってしまう……。
毎日、繰り返されるバーレッスン、
新作のレッスン、リハーサル、本番。
ダンサーとして大きく飛躍する局面にさしかったライは、
私生活でも暖かな人柄のレストランのシェフ、ジョシュ
(ジェームズ・フランコ 「スパイダーマン」シリーズ)と知り合い、
彼の存在にささえられるようになる。
クリスマス、新年と、シーズンも後半にさしかかり、
ライはふたたび大きな役をキャスティングされる。
あらすじをこんな風に紹介しますと、
普通の賑々しい群像劇のように感じますが、
ヒロインの恋愛の部分などもごく淡々と描いていて、
大勢の中の一人という感じになってます。
淡々としすぎて眠気が…。
映画の掲示板を見ますと、こっぴどく叩いたものは見られませんが、
映像が美しいわりにドラマが希薄、と書かれたものが多かったです。
バレエ団の団員達もみなプロのダンサーなので表現力もあり、
身体も美しくダンス公演シーンはそれなりに見ごたえがあり悪くないと思うの
ですが、
昼はレッスン、夜はバイト、ある日恋人が出来る、
また次の日にレッスン、そして公演がありまたレッスン、バイト・・・。
「ダンサーの日常のロードムービー」と言えば聞こえがいいのですが、
登場人物たちからバレエに対する情念立ち上る雰囲気があまり感じられず、
ドキュメンタリーとしても娯楽映画としても中途半端です。
劇中で半年以上の時間経過があるにもかかわらず季節感の乏しいのも
残念ですし、
あと、カンパニーの人たちにとっては当たり前すぎる組織の役割分担が
観客に理解できないところが見受けられます。
組織内の演出家と、他所から雇う振り付け師の違いとか、
カンパニーとユニオン、ダンサーの三角関係等等。
こだわっても仕方の無いあたりではありますが、
説明に見せないで上手く情報を伝える方法はなかったのでしょうか?
金返せ映画ではありませんが、深みは在りません。
登場人物に魅力を感じるというところまで踏み込んでいないのです。
ヒロインは昨日も舞台にいて、明日もまた舞台に立つべくレッスンに励むでし
ょう。
でもそれがどうした? 映画の幕が下りるとき、観客に
「興味ない」と感じさせてしまっては、
映画としてはまずいのではないでしょうか。
ああ、思ったより辛らつな文章になってしまいましたね。
決してデキの悪い作品ではないのですが、
あれだけ材料を揃えて料理の仕方も一流なのだから、もうちっと
面白くてしかるべきだろうと思えてしまったのです。
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