「タイムライン」DVD脚本レビュー
★映画基礎データー★「タイムライン」 2003年 アメリカ映画 監督脚本:リチャード・ドナー 出演:ポール・ウォーカー ジェラルド・バトラー フランシス・オコナー |
フランス南西部の修道院跡で行われている発掘プロジェクト。
そこで14世紀の地層から現代の製品と思われる眼鏡のレンズと
“Help me”と書かれたメモが出土する。
レンズの度数は、プロジェクトの責任者・ジョンストン教授
(ビリー・コノリー「ラスト・サムライ」)のものと一致した。
教授の息子のクリス(ポール・ウォーカー)ら発掘チームの面々は、
プロジェクトのスポンサーであるハイテク企業・ITCを訪れ、
驚愕の事実を知らされる。
教授は、ITCが開発した時空間転送装置“3Dファックスマシン”で
14世紀のフランスに旅立ち、消息を絶ってしまったというのだ!
クリスらは教授の行方をおって百年戦争まっただなかのフランスの要塞都市に
タイムトラベルする。
有効時間は6時間。
が、イギリス軍騎士団の襲撃を受けて緊急帰還した同行の海兵隊あがりの護衛隊員が
手榴弾を爆発させてしまい“3Dファックスマシン”は大破する。
教授と落ち合ったクリスらは14世紀に取り残されてしまうのだが。
『ジュラシック・パーク』の作家マイケル・クライトン原作の全米150万部ベスト
セラー「タイムライン」を「リーサルウェポン」シリーズ、「グーニーズ」『スーパーマン』の名匠、
リチャード・ドナーが制作・監督しています。
VFXにはILMがあたっていますが、リチャード・ドナーはCGが好きでないらしく、
城や投石機など実物大のセット、大道具を建設し、八千本の矢を用意して
夜襲シーンを撮影するなどギミックに頼らないスペクタクル映像で盛り上げています。
当初はイギリスでロケをする予定で、古城を確保していたそうですが、
狂牛病騒動でパー。
次にドイツで村と古城を確保してセット建設にとりかかったものの
9.11テロでこちらも頓挫。
結局カナダで実物大の城を建ててロケをやってます。
自然の美しいところなので、チャチくはないです。
―ということは準備だけでも結構な年数かけてますね。
情報はありませんが、私はこの間にキャストが変更されたのではないかと
睨んでます。
新人ばかりで柱となる大物俳優が一人もいないと言うのは、
ハリウッドの大作ものとしては不自然ですから。
“3Dファックスマシン”を開発した
ITC社は実に三十年前に物質転送の実験に成功したとぶち上げています。
三十年前というデータは小説の中で創作されたフィクションですが、
量子物理学の世界で、物質転送の実験は実は99年頃に
NECなどが成功している※のだそうです。
※ 品物を送れたわけではなく、
離れた場所に置かれた量子同士が反応した、情報が伝達できた、
という実験です。
「ザ・フライ」で出てきた転送マシーンと同じものを作ろうとしていて、
ホワイト・ホールに繋がってしまい、14世紀のフランスと行き来できる様に
なってしまい、会社は教授等に金を出してあちら側を調べさせていたのですが、
トラブルで教授ひとりが戦場に取り残されてしまい、息子達に探しに行かせます。
会社のエンジニア達では14世紀のフランスで人探しは無理、
とふんで考古学者のたまごたちを送り込もうという決定ですが、
海兵隊あがりのボディカード3人をつけて送り出します。
しかし、この護衛隊がまったく使えない連中で、旅の始まりでドジを踏んで、
自分たちが死ぬだけでなくてタイムマシンまで爆破してしまいます。
死ぬふたりの配役が駄目で、とても元軍人には見えません。
脚本も含めてもう少し何とかして欲しかったです。
でもなんでアメリカの作家マイケル・クライトンが書いた小説の舞台が
百年戦争なのでしょうか?
なじみのない世界、時代なので感情移入し難いのは確かです。
同じにも独立戦争とか、南北戦争あたりを舞台にしてくれれば
もっとわかり良かったんですけどねえ。
出てくるイギリス軍、フランス軍の大将がしょうもない野蛮人で、
どっちの側にもつきたくないというのが素直な感想です。
ま、これは初めからそう言う意図で脚本が作られています。
クリスが主人公のはずですが、
タイムトラベルした若者達全員が主人公と言う感じがします。
ほぼ均等に描かれているので、逆に主人公がひき立たないです。
最初に到着したドルドーニュの村でのどたばたが退屈です。
イギリス軍、フランス軍双方と追いかけっこしてるなかで、
全体の状況が見えてくる展開のはずなのですが、
なんかただ延々と叫んで駆け回っているだけに見えてしまい、
眠気を催します。
アクションを半分くらいに削って、ドラマを見せて欲しかったです。
途中、フランス軍の中に教授以外の取り残された社員が騎士に化けている
のが姿を見せるあたりで、目が覚めます。笑
裏切り者が主人公達の邪魔をしてくれるわけですが、
そんなに奥の深いドラマがあるわけではないので、
単に物理的な障害がひとつあるだけです。
この時代で戦闘の結末に関わる女性、レディクレア(アンナ・フリエル)と
アンドレ(ジェラルド・バトラー「トゥームレイダー2」)
が恋に落ちます。
後半、城に立て篭もって篭城戦となるあたりでようやく盛りあがります。
ねたばれ改行です。
しかしなんか、彼女は彼が未来からやってきたという事を
知らぬままのようですので、
本当の意味で、ふたりは“出会っていない”ままなのですね。
彼の側から見て、彼女を見殺しにしたくないって言う
状況だけがあってアクションしてるだけなのでドラマになっていない。
裏切り者の社員の話といい、ここがロマンを語れる部分なのに
もったいないですねぇ。溜息。
量子レベルでのタイムトラベルは、
パワレルワールドのひとつへの移動であって、
そこで歴史が改ざんされても現代に影響を与えるものではないという
設定になっています。
しかしながら、映画の冒頭から
レディクレアの死んだ事が史実として伝承されているのと、
生き残って夫婦の石像が現代で発掘されるのが、
同時に起こってしまうのは納得いかないです。
レディクレアが死のうが、生き残ろうがどっちでも
歴史の上では良いんだよって話と、
ふたりのクレアが同じ場所に同時にいて、片方が死んで片方が結婚して
幸せになりました、というのは別の事の筈なのですが。
ええと、二択のどちらでもOKということは、
クレアにまつわるパワレルワールドが二つ存在する、
生か死かで枝分かれが起こってふたつの未来が発生すると言う事であって、
生と死が同時に両方とも存在する、
つまり別々になるはずのパワレルワールドがひとつにくっついてしまう、
二つに枝分かれするはずの未来がひとつに合体してしまう
歴史がひとつになってしまう
という事がOKではないだろう、という話です。
先に行くほど未来は細かく枝分かれして行って、どこまで行っても
合流はないはずなんだけどなぁ。
教授が脅されて作る火薬は、戦闘のクライマックスで弾薬庫ごと吹き飛ばしてしまい、
跡形もなくなるので、後世の歴史に残らない、そっちはそれで良いんです。
またクレアが死ななくても、この城の戦いがターニングポイントになって、
フランス軍が盛り返すというのも、主人公たちの活躍があったからと言う事で良い。
城のフランス軍は全滅すれば良いわけですから。
でもクレアの件だけが、
歴史のほころびのままトカゲの尻尾の様に取り残されてしまっている。
まあ、そこがロマンと言うことなのかもしれませんが。
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