「時をかける少女」

「アニメ時をかける少女」映画チラシ★映画基礎データー★
「時をかける少女」
2006年 日本映画
監督 細田守
脚本 奥寺佐渡子
声の出演 仲里依紗 原沙知絵

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1965年の原作発表以来、幾度となく実写映像化されてきた「時をかける少女」
(著:筒井康隆 角川文庫刊)が、今度はアニメーション映画になりました。
ヒロインは芳山和子、ではなくて紺野真琴17歳、高校2年生ということになっています。
アニメーション版はこれまでになく、アクティヴで前向き。
主人公、紺野真琴が初夏の町並みを、文字通り駆け抜けていく
爽快な青春映画になっています。
原作の主人公、芳山和子は紺野真琴の叔母、
ちょっと謎めいた30代の独身女性として登場しています。(声:原沙知絵)
未来から来た初恋の人との別れの後、芳山和子はどんな人生を歩んできたのか? 
彼女が新ヒロインの紺野真琴に授けたアドバイスとは? 

監督は2005年春の劇場版「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」を
手がけた気鋭の監督、細田守。
芸術家の村上隆とのコラボレートにより、
フランスの高級ブランド、ルイ・ヴィトンの店舗で上映された短編
『SUPERFLAT MONOGRAM』や、六本木ヒルズのコマーシャルも監督しています。
実は「ハウルの動く城」も彼が監督する筈でした。
脚本は「学校の怪談」で日本アカデミー賞脚本賞を受賞した奥寺佐渡子。
キャラクターデザインは「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行
舞台となる真夏の東京を表現するのは「もののけ姫」「火垂るの墓」など、
多くのスタジオジブリ作品の美術監督を務めた山本二三。
アニメ制作はマッドハウスです。


高校2年生の紺野真琴は、故障した自転車で遭遇した踏切事故をきっかけに、
時間を跳躍する能力を得る。
叔母の芳山和子にその能力のことを相談すると、
それは「タイムリープ」といい、年頃の女の子にはよくあることだという。
記憶の確かな過去に飛べる能力。
半信半疑の真琴だが、ひとたびその力の使い方を覚えると、
それをなんの躊躇も無く、日常の些細な不満や欲望の解消に費やす。
世界は私のもの!
バラ色の日々と思われたが、クラスメートの男子生徒、
間宮千昭や津田功介との関係に変化が。
友達から恋人へ!? 
千昭から思わぬ告白を受けた真琴は狼狽のあまり、
その告白をタイムリープで、強引に無かったことにしてしまう。
やりなおされた「過去」。
告白が無かったことになった「現在」。
ところがその千昭に、同級生の友梨が告白。
まんざらでもなさそうな千昭。さっきまで真琴に告白していたのに! 
面白くない真琴。
その上、功介にあこがれる下級生、果歩の相談まで受けてしまう。
いつまでも3人の友達関係が続けばいいと考えていた真琴の望みは、
タイムリープでかえってややこしく、厄介な状況に。
叔母の和子は「つきあっちゃえばいいのに」と、のんきなアドバイス。
真琴は果歩の恋を成就させるために、タイムリープで東奔西走するのだが…。

…と、まあ、これまでの「時をかける少女」が真面目路線でやってきたことを
根っこからひっくり返しちゃうアニメ版。
タイムリープものというのは、この「時をかける少女」の過去バージョンを含め、
「戦国自衛隊」から「イルマーレ」まで、あらゆるパターンが
出尽くしている筈なので、大抵のことには驚きゃせんぞ、と
はじめは歯牙にもかけませんでしたが、
劇場公開時、単館公開が、あまりの好評で一館ずつ公開劇場を増やし、
リピート率が非常に高い、テレビの映画情報番組で
「終映後には観客が拍手を贈る」といった様子を評論家が驚きをもって報ずるなど
たいした評判なので、
いちおうチェックしておこうと劇場に出かけました。

かなり意地悪く、懐疑的な態度で鑑賞したのですが、
天晴れ見事に面白かったです。
やっぱり新しいヒロインのいまふうのありようが、まず、面白かったです。
せっかく手に知れた時間跳躍の力を、カラオケボックスで安く歌う為、
とか、妹を出し抜いてケーキを食べる為、とか言語道断にくだらない理由で
使いまくる真琴の体たらくにあきれ返り、
2人の幼馴染に告白されそうになって、ブザマニ逃げ回るあたりから、
可笑しいながらも悲しくなっていく。

みんなで馬鹿やって楽しい毎日ではいられなくなってくる。
切ないが、イタイになっていく経過が見事です。
そのうち、巻き込まれたクラスメートが、
いじめから深刻な暴力へと発展していって、犠牲者が出始めてしまう。
ようやく事の重大さに気がついた真琴が事態収拾に掛かる頃には、
残酷なカウントダウンが始まっている。
そしてあがけばあがくほど、より深刻な状況に。
身から出たサビですが、それが己の弱さ、未熟さから出てきたことを知り
時のハザマで号泣する。

一体全体、どうなっちまうんだろうとクライマックスは気をもめました。
そしてラストのオチ。
画面が暗転して「時をかける少女」とメインタイトルが画面に現れて、
“上手いっ、座布団一枚っ”てなものでした。

アニメの舞台は、尾道、ではなくて都内のどこかです。
都内と近郊を中心に、学校だけで7ヶ所、住宅地は
中井、谷中、上野、荒川、千葉、幕張、荻窪などがロケハンされています。
それらをひとにして山本二三美術監督の手によって、
真琴の住む倉野瀬の町と倉野瀬高校になっています。
貞本義行がデザインしたキャラクターには影が付いていないんですね。
夏服なんで皆、軽装。
止まった絵はさっぱり魅力ないのですが、
これがかんかん照りの山本二三の野球グラウンドに立たせて、
キャッチボールなんぞはじめて動き出すとたちまち魅力的になってくる。
美術に載って、動いて、セリフが被って、命が吹き込まれるというのが
アニメ本来ではないですか。
変に止め絵ばかりの情報量が多くなってしまっている最近のアニメの中で
これはなかなかに新鮮でした。

大林監督版は冬から春の尾道を舞台にしていますが、
今回は真夏の映画だし、主人公の正確も全然違う。どうしてこうなったのでしょうか?
監督は
「大林版を意識してその正反対にしたわけではなくて、
筒井先生の原作にまず向き合おうというところからスタートした」と語っています・
原作を改めて読むと、未来世界の描写が沢山あって、
後半の結構な分量をケン・ソゴルが語っている。
当時の少年少女たちが、こんなに未来を夢見てたんだなって。
で、今の10代の人たちが、同じような未来像を持ってるのかっていうと、
それは全く違う物になるだろうと。
今の人たちはどういう未来を考えるんだろう、そこから考え始めたんですね。

それで原作と違う、アクティブな女の子、
SF的な未来像ではなく未来に繋がる人物像を考えて、
こういったキャラクターになったんです、とのこと。
つまり今の時点では、未完成な子で良いということですね。

テーマ的には、若者みんなが共通して思っている未来観って、
20世紀的なんじゃないかと。21世紀ってのは、みんなが共有できる未来像なんてなくて、
個人個人の未来像しかないんじゃないか。
つまり「未来世界」はもう未来じゃないと

ヒロイン像の変化について、
当初はヒロインは芳山和子を現代風に解釈しなおそうという
スタートだったようですが、
途中ある時点でヒロインの名前を変えたところで、
「芳山和子」も出してみたらどうかと思った。
和子を狂言回し的な位置に配することで物語が進めやすくなった。

タイムリープしているのに、真琴とおばさんの会話が繋がっているように見えるのは?
推敲途中の脚本では、
真琴はタイムリープする度に、最初からこれこれこうとおばさんに
1から説明しているのですが、
演出上、それらの描写がなくなったというのが真相です。
しかしながら
作品的には、言わず語らずで共通の意識をもったふたりの主人公が
存在しているように見える。
それは本来、矛盾なのだけれども、この作品についてはそれが人物解釈的にも、
テーマ的にもプラスに作用しているのですね。

どうして真琴が徹底してお馬鹿な女の子になったのかということでは、
監督は、背筋を伸ばして立派なことを言う人よりどこか至らないところがある子の方が
人間的に好きなんですよ。と単純化して答えていますが、
これはもちろん最後までばか者であるわけではないです。
三角関係らしき関係性は原作にもあったのでそこから持ってきた要素ですが。
ただ、昔の恋愛、
大林版も過度にぎこちなかったり、思い詰めすぎていたような印象があるが、
今の高校生の付き合い方は肩の力が抜けているように見えて、
監督的にはそういう関係を、キャッチボールしているところなどから表現したかった
ようです。
特に功介については、作中の表現的には「功介も真琴のことが好き」と
見えるように見せかけておいて実は違う、というフェイクな描写なのだけど(笑)。
ねたばれ改行です。




98分という尺からすると、不要ともいえるエピソードが幾つかあります。
尺が伸びたことでできるようになったシーンについて、
真琴の真横視点で延々走るDパートなどを入れることができました。
その真琴が走る場面や屋上で泣く場面は別になくても物語は成立しますけど、
それがあることでストーリー進行以外の間合いを設けています。
観客にドラマの感情を考える為の時間がそこに存在しているわけです。
あわただしい中にも、間と溜めがあるというのは上手いです。

千昭が真琴にキスしなかったのは、
絵コンテ的には、「忘れ物を取りに行くように」
真琴に言葉をかけるのが目的だったからなのですが。
そこは監督によると、
原作の芳山和子の二のテツを踏ませたくなかったから、というのが
正解のようです。

和子の、ケン・ソゴルへの想いはいわば結晶化してしまっている。
だから、和子は30代後半になっても結婚もせず、
ケン・ソゴルのことをずっと待っている。
もし、千昭が真琴にキスしてしまっていたら、
真琴の中で、千昭のことが結晶化してしまい、 和子と同じようになってしまう。
千昭はそれをわかっていた。
千昭がキスしなかったことで、結晶化はせず、
次の日に明るくみんなと野球ができたという…


以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて「時をかける少女」の頁をご覧下さい。


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