「THE 有頂天ホテル」
★映画基礎データー★「THE 有頂天ホテル」 2005年 日本映画 監督脚本 三谷幸喜 出演 役所広司 松たか子 佐藤浩市 香取慎吾 篠原涼子 |
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都内の高級ホテル「ホテルアバンティ」。
大晦日、年をまたいだ2時間のリアルタイムのドラマ。
アバンティで働く沢山の従業員達。
パーティーのショーに出演するためにやって来る芸人達。
そして様々な「訳あり」の宿泊客たち。
その夜、彼らに降りかかった、信じられないような災難。そして奇跡。
迷路のようなホテルの中で、それぞれの物語は同時進行で進んでいきます。
そして物語は、登場人物たちが勢ぞろいする、
クライマックスのカウントダウンパーティーへ。
三谷幸喜の新作映画「THE 有頂天ホテル」です。
あらすじ紹介で公表させているストーリーは、
こんなものです。キャストと役回りを以下に整理します。
申し分のない 副支配人(宿泊部長) 新堂平吉:役所広司
議員の元愛人、今は客室係 竹本ハナ:松たか子
人生崖っぷちの汚職国会議員 武藤田勝利:佐藤浩市
歌を愛するベルボーイ 只野憲二:香取慎吾
神出鬼没のコールガール ヨーコ:篠原涼子
筆の達人筆耕係 右近:オダギリジョー
憲二の幼馴染で謎のフライトアテンダント 小原なおみ:麻生久美子
不幸せなシンガー 桜チェリー:YOU
副支配人(料飲部長) 瀬尾高志:生瀬勝久
アシスタントマネージャー 矢部登紀子:戸田恵子
マン・オブ・ザ・イヤー受賞者 堀田衛:角野卓造
武藤田の秘書 神保保:浅野和之
板東の息子 板東直正:近藤芳正
スパニッシュマジシャン ホセ河内:寺島進
ウェイター 丹下哲平:川平慈英
客室係 野間睦子:堀内敬子
徳川の付き人 尾藤:梶原善
ホテル探偵 蔵人:石井正則(アリ to キリギリス)
副支配人・新堂の別れた妻 堀田由美:原田美枝子
芸能プロ社長 赤丸寿一:唐沢寿明
事故に遭った大富豪 板東健治:津川雅彦
能天気な総支配人:伊東四朗
死にたがる演歌歌手 徳川膳武:西田敏行
三谷幸喜の監督第三弾にあたります。
映画監督デビュー作は「ラヂオの時間」(97・唐沢寿明 西村雅彦 鈴木京香)は、
国内の映画各賞を総なめにし、
ベルリン映画祭では審査委員特別表彰を受賞しています。
続く「みんなのいえ」(01・唐沢寿明、田中邦衛、田中直樹、八木亜希子)は、
家を建てるという実体験を元にしたホームコメディー。
地味な題材にもかかわらず、全国的大ヒット作品となりました。
そして4年の時を経て、三谷が満を持して取り組むのがこの第3作。
大晦日の2時間・リアルタイム
この映画は、1つのホテルの中で大晦日の夜10時過ぎから年越しまでの2時間を
リアルタイムで描きます。
グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア、ジョーン・クロフォード、
ウォーレス・ビアリー、ライオネル・バリモア“5大スターの共演”と謳わた
32年のアメリカ映画『グランドホテル』にオマージュを捧げています。
劇中で各俳優の名を冠したビップルームが出てきますね。
全員が主人公のドラマですが、
「ホテルアバンティ」の副支配人新堂平吉を演じる役所広司が、
言ってみれば全体の狂言回しです。
大晦日、ホテルで起こったあらゆるトラブルを、彼は孤軍奮闘して解決していきます。
ところが中盤で別れた前の奥さんが現れて、
いらぬ見栄を張ってとんでもない墓穴を掘る羽目に。
もう一人、物語のキーパーソンとも言うべきなのが、
客室係の竹本ハナ(松たか子)。
代議士の愛人だった彼女は、二人の関係がマスコミにばれた後、男に捨てられ、
今は密かにこのホテルで働いています。
そこへ汚職事件に関わってマスコミから追われる、元彼の代議士がやってきます。
大晦日の夜の運命の再会。…になるはずが、
ハナはその前に富豪の愛人と誤解され、別の騒動に巻き込まれます。
ホテル1階部分がまるごと東宝第8ステージ=1,325u、
日本最大のステージいっぱいに建てました。
デザインは「キルビル」の種田陽平。例の青葉屋のセットを作った人ですね。
それ以外にも都内と横浜の有名ホテルでロケが行われています。
なぜ今、“日本のグランドホテル”なのか?
企画の背景に
05年7月コンラッド東京、秋マンダリンオリエンタル、
07年初頭ザ・リッツ・カールトン東京、秋ペニンシュラ東京、
この夏から世界トップランクのホテルのオープンラッシュと
迎え撃つ老舗のホテルも改装やフロアの新設ラッシュなど、
新旧の総力を挙げたホテル業界の“05年問題”がありますね。
我々映画ファンの関心の有無はともかく、
東宝主体の制作委員会は、この“05年問題”を拠り所に、
世間の関心がホテル業界に集まるだろうことを見越して、
企画を進めていることは間違いありません
三谷監督のこれまでのスタイルは、あらかじめ役者を決めてから、
脚本にあてこんでいくというスタイルをとられるそうですが、
今回は、最初にプロットがあってまずそこから全体の構成を作られているようです。
もともと群像劇のきかくでしたが、
群像劇というといろんな登場人物が出てきて、
いろんなエピソードがあって、
でも結局それが重なることなく終わるパターンが多い。
でもそうじゃなくて最初はバラバラなんだけどそれが最終的に一つにまとまって、
できればラストシーンには全員が集まってる、
そんな映画を作りたいという方針で、
まず本を書いて、そこからキャスティングを固めるという手順になっています。
「THE有頂天ホテル」では、
ほとんどワンシーンワンカットになっていますが、
この演出に付いて三谷監督自身は、
(自分は)細かくカットを割って「24 -TWENTY FOUR-」みたいに
スピーディーな作品を作ることができないから。
と告白しています。
では他の人よりもうまくできることはなんだろうって考えたときに、
ワンシーンワンカットに落ち着いたと語っています。
僕は20年舞台をやってきましたけど、
舞台っていうのは究極のワンシーンワンカットだと思うんです、と。
舞台では暗転とか挟まない場合は、ずっとワンカットなわけじゃないですか。
そういう環境の中で仕事をしてきたので、
僕にとってはワンシーンワンカットのほうが作りやすいし楽なんですよね。
ひとつのカットの中で、
ただカメラを据え置きにして会話のみの芝居はつまらないから、
俳優さんもできるだけ動いてもらったし、
カメラもレールや、ステディカムを使ってかなり動いてもらったそうです。
だから現場は相当大変だった筈。
監督自身はあまり現場を見なくてモニターを見ての演出だったようで、
そんなところだけテレビ的。笑
カメラが動くということは録音部もみんなが動くわけで、
照明さんも含めて全員が段取りを覚えて、きっかけを覚えて……
だから5分ぐらいの長回しの時に俳優にかかるプレッシャーは
相当なものだったようで、
若いタレント俳優たちはいずれもネを上げています。
素人が考えてもコメディ映画の場合、
舞台と違って観客の反応が見えない分演出が難しいと思いわれますが、
監督に「どんな風に笑わせる場面を撮っていくんでしょうか?」と
問いかけると、
“ワンシーンワンカットだと編集がきかないので、
後でどうにかなるもんじゃない。
たとえば、
お客さんがワーッて笑っちゃったために大事なセリフが
聞こえなかったりすることもあるわけで、
監督はそこまで考えて撮らなきゃいけないんです。
ビリー・ワイルダー監督の面白いエピソードがあるんですが、
『お熱いのがお好き』のすごく面白いシーンの後に
ジャック・レモンがマラカスを振るシーンで、
スタッフが
「あれだけ面白いセリフのあとに、マラカスなんて振らせる必要ないじゃないか」って
言ったら、
監督が「いや、あれは笑いがおさまるのを待ってる間なんだ」って
言ったそうなんです。
巨匠っていわれる人はそこまで計算しているんですね。
でも、なかなかそこまではいけないですよねえ。“
劇中では歌手が歌っているような場面を除くと、
ごくインパクトのある場面以外はBGMが使われていません。
映画の観客の笑いや驚きをコントロールする手段の一つとして、
ごく絞り込んだ場面のみ、BGMをインサートすることにして、
あとは出来るだけせりふ劇の邪魔にならないようにしてある。
一番悔しいのはね、試写で一番盛り上がるのが西田さんがお尻出したときなんですよ。
と監督は苦笑い。
“結局それなんだ、って。これだけ苦労して作ったのに、
西田さんのオケツに負けてしまったって言うのがとても悔しいです。
僕が一番大好きなセリフがあって正直観るたびに笑っちゃうのが、
これも西田さんなんですけど、
西田さんが記者会見場で記者に、
「だまれ!……大人になれよ」って言うせりふがあるんです。
ホンットにおかしいんですよ。
ただ、またまた悔しいことにそれは台本にはないセリフで、
あの場で西田さんが突然言ったセリフなんです。
だから正直複雑なんですが……でも大好きです。“
「アドリブはありましたか?」という質問に、
基本はないです。とのこと。
やはりワンシーンワンカットだと、
突然本番で違うセリフ言ったら回りが困って
リアクションできなくなっちゃうからほとんど無かったと。
全編が愛と夢の行方を語るドラマなんですが、
そこからはみ出す部分がやっぱりあって、
破綻というほどではないですが、
テーマを突き詰めるより、ドラマ優先、といいますか、
登場人物のその時の心情が優先して話が進んでいます。
立派な決意をした筈の人物が、
突如ずっこけたオチでエピソードを締めくくったりしてます。
これを楽屋落ちとみるか、だから三谷幸喜は面白いと思うかは、
見る人しだいですね。
ところで
2時間という限られた時間の中で、編集で一番切られたのは、
佐藤浩市さんと篠原さんが語り合うシーンだったとのです。
ほかの映画に比べるとカットしたシーンはかなり少なかったようですが、
それでも2時間の映画のつもりで作ったフィルムが結局2時間15分になった。
最初のシーンで時計が10時を指していて、
大晦日のカウントダウンまでの映画なので、
苦肉の策で最初の10時の時計をCGを使って9時50分に加工してます。
その分“ちょっとお金がかかっちゃいました”とは三谷監督の弁です。
冒頭の時計の文字盤で確認しましょう。笑
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