「ワルキューレ」
■作品基礎データ 「ワルキューレ」 2008年 アメリカ映画 監督:ブライアン・シンガー 脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー 出演:トム・クルーズ |
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第二次大戦下、劣勢に立たされ始めたドイツ。
アフリカ戦線で左目を失うなど瀕死の重傷を負いながら奇跡の生還を果たした
シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)。
純粋に祖国を愛するが故にヒトラー独裁政権へ反感を抱いていた彼は、
やがて軍内部で秘密裏に活動しているレジスタンスメンバーたちの会合に参加する。
そんなある日、
自宅でワーグナーの<ワルキューレの騎行>を耳にしたシュタウフェンベルクは、
ある計画を思いつく。
それは、国内の捕虜や奴隷がクーデターを反乱を起こした際に予備軍によって鎮圧する
“ワルキューレ作戦”を利用し、
ヒトラー暗殺後に政権及び国内を掌握する、という壮大なものだった。
同志たちと綿密に計画を練り、暗殺の実行も任されることになるシュタウフェンベルク。
こうして、過去40回以上に渡る暗殺の危機を回避してきた独裁者を
永遠に葬り去る運命の日がやって来るのだが…。
実在したドイツ軍将校によるヒットラー暗殺計画の全貌を
描く作品です、
左目をアイパッチで覆った実在の将校、
シュタウフェンベルク大佐を演じるのはトム・クルーズ。
監督はサスペンス・ミステリーの傑作『ユージュアル・サスペクツ』
『X-メン』『スーパーマン リターンズ』のブライアン・シンガー。
『ユージュアル・サスペクツ』でアカデミー賞脚本賞を受賞した
クリストファー・マッカリーが脚本を担当。
また、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』のケネス・ブラナー、
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのビル・ナイ、
『ウォンテッド』のテレンス・スタンプ、
『ブラックブック』のカリス・ファン・ハウテン等、実力派大物俳優が脇を固める。
「X-MEN」「スーパーマン リターンズ」のブライアン・シンガー監督が、
トム・クルーズ主演でナチスが悪役の戦争映画を撮る、
これは娯楽映画に違いないというんで見に行きました「ワルキューレ」。
制作費80臆円以上だそうです。
爆発シーンは少なめだけど、
終戦直前のベルリンを再現してナチスの黄昏を
人海戦術で描くというんで絵的にはなかなかのものです。
見てて異様に感じたのは、
ハリウッド映画でセリフが英語なのに
最初から最後までドイツ兵士しか出てこない事。
だって、ヒットラー暗殺の話なんだから
当然じゃんと叱られそうだけど、
そういう映画を見慣れていないのでとても不思議でした。
出てこないんですよ、連合軍。
冒頭の北アフリカ戦線のシーンでも
空爆がかけられるだけで、敵兵の姿がない。
「ヒットラー最後の12日間」はやはりドイツ兵ばっかりだったけど、
むこうはこういう違和感はなかったですね。
やはり英語のなせる業か。
一応、冒頭はトムさんもドイツ語で日誌を付けていて、
ドイツ語の語りで始まって英語の字幕が被るのですが、
番兵が「失礼します」と入ってきてからが
英語のセリフに切り替わります。
つまり、これは本来ドイツ語のドラマなのですよ、
という前置きが演出上、施されています。
史実で実在の人物が主人公です。
そういうことに関わりなしの娯楽作品はありますが、
ここでは痛快アクションにはなってないですね。
しかし、「ヒットラー最後の12日間」のような
史劇というのでもなく、
あいだを取ってサスペンス仕立てになっています。
ヒットラーが数ある暗殺計画で死ななかったのは、
周知の事実で、それをハラハラドキドキで見せようというのは、
相当な力わざだったはずで、
演出もそうだけど、ぞろっと揃った脇役名優達の
演技力で緊張感を最後まで維持しています。
この作品、「鉄壁の計画がどこから崩れていくか?」を
固唾をのんで楽しみました。
それと映像的には、当時のベルリン市内の様子より、
ヒットラーが司令部を置いていた“狼の巣”か゛、
前半のクライマックスでどんと登場するところ
が面白かったです。
いろんな戦記モノでその名が出てくる“狼の巣”ですが、
これまで直接、映像化されたことはないのではないでしょうか?
予告では「作戦時間は10分」とあって、そこが見せ場ですが…
以下、ネタバレ改行です。
その10分は、そりゃ片腕で指が2本無い主人公が
爆弾の組み立てで苦労するシーン等でスリリングに盛り上げますが、
実はドラマの中心ではありません。
「ワルキュール」というのが暗殺計画のコード名のように
宣伝されていますが、
実はSSのクーデターを想定した首都制圧作戦の
コード名で、主人公はそれを逆手にとって、
暗殺計画とベルリン制圧、新政府樹立の三つを
いっぺんにやってしまうという気宇壮大なものです。
そういうでかい話の方が面白いです。
ゲッペルスが出てくるところで、
彼は自殺用の毒薬を用意してますね。
電話に生存していた総統が出てきて、
逮捕する側が驚愕して、
引き上げてしまいますけど、
あの電話にひるまず、逮捕を強行していたら、
ゲッペルスは毒を煽った事でしょう。
つまり、
暗殺計画がこけても、
ベルリン制圧、新政府樹立は可能だったわけで、
“狼の巣”を逆包囲してヒットラーを
軍と政府から切り離し、
連合軍と和平締結まで突っ走る事が出来なくはなかった。
けれどあの瞬間、
引き下がってしまったのは、
逮捕に出動したのが
作戦ワルキューレに踊らされた
予備役兵達だったからと言う事です。
トムさん達、本物の反乱軍が
自ら銃を手にしてゲシュタポの司令部に乗り込む
作戦になっていたら、
あるいは…
その“あるいは”と思わせるところが、
この映画の肝ですね。
事実の大佐はドイツでは哀悼の念をもって語られることが
多いようです。
が、サスペンスを優先させる演出で、
ドイツを破滅から救うという大儀を
引っさげた悲壮感が軽くなってしまったのは否めないです。
それにトムさんが、
やたら家族の安否を気にするところとか、
ドラマが小さくなるので、
あれはもっと削った方が良かったです。
やはり史実をエンターテイメントで語るのは
難しい。
こうしてみてくると
“マイノリティーの抵抗”
であった「X-MEN」。
現代のヒロイズムを痛みを持って見つめる
「スーパーマン リターンズ」等と、
同じ線上の作品と見えなくもないです。
難しいところですが、
見ておいて損はない作品です。
「ワルキューレ作戦」とは?
ナチス・ドイツの将校オルブリヒト少将(当時)が1942年に立案した
反乱鎮圧計画とその隠語名のこと。
歴史的事実
オルブリヒト少将(のちの大将)は反乱鎮圧計画と見せかけて、
実はヒトラー暗殺を企て、暗殺後に「ヴァルキューレ」作戦を発動、
それをクーデターに利用して国内を一気に掌握する計画を立てていた。
暗殺実行者には国内予備軍司令部参謀長クラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐が
選ばれた。
彼は1943年4月、アフリカ戦線のチュニジアで負傷し、
左目、右腕、左手の指二本を失っており、彼に対しては警戒も薄く、
ボディーチェックもほとんど行われなかったため好都合だったのと、
1944年6月、シュタウフェンベルクは国内予備軍参謀長に就任し、
ヒトラーと会う機会が増えていた為であるとされる。
1943年2月 スターリングラード攻防戦でドイツ軍敗北。
1943年7月 クルスクの戦い
1943年9月 イタリア戦線開始
1944年6月 連合軍がノルマンディーに上陸
1944年7月頃のナチス・ドイツは戦況著しく旗色が悪くなっていた。
以前からヒトラーの存在を危惧する将校は少なからずいたのであるが、
戦況が悪化の一途を辿るようになり益々暗殺計画の実行が急がれる事態となっていた。
過去に40回以上もヒトラー暗殺計画があり、
「ワルキューレ」も失敗に終わる。
計画の首謀者たちは全員逮捕され、終戦直前までかけて処刑されるのだが、
第二次世界大戦が終結すると、彼らは反ナチス運動の実行者として賞賛されることになる。
現在ベルリンの国防省跡に、ベック、シュタウフェンベルク、ヘフテン、オルブリヒト、
クイルンハイムら五人の名を刻んだ記念碑が建っている。
また予備軍司令部があったベンドラー街は、シュタウフェンベルク街と改称され、
ナチス抵抗運動の記念館が建っている。
彼らが処刑された中庭の跡には、象徴としてブロンズ像が置かれている。
この映画「ワルキューレ」を完成させるまでには様々なトラブルが発生し、
困難を極めたことで知られている。
ドイツ軍基地内などでの撮影は許可できないとドイツ国防省からはねのけられたり
(後に撮影許可が出ているが)、
エキストラたちの不注意で事故が発生したりで、撮影は遅れに遅れ、
ついにはアメリカ公開も延期となる始末。
しかし、昨年の12月25日にアメリカで封切られた途端、映画はヒットし、
トム・クルーズの演技も評価された。
主演のトム・クルーズが3月10日、東京・六本木で記者会見した。
祖国の未来を憂い、計画の中心となった独軍大佐を演じたクルーズ。
「人間はどう生きるべきか、深く描いた作品。正義に身を捧げた生き方は、
時代を越えて賞賛されるべきだ」と語った
主人公との共通点を「自分との共通点は、家族を深く愛していること」と話した。
「祖国の未来や愛する家族のため、(大佐は)極限状態で難しい選択をした。
犠牲を払う生き方に感銘を受けた」と語った。
実在の人物を演じるのは「『7月4日に生まれて』(89)以来2度目」というクルーズ。
記録や資料集めから始め、監督や脚本家と入念に話し合いながら作品を作っていった
という。
また、ドイツでの撮影中は、ベルリンやポツダムなど歴史の舞台となった街を歩き、
思索にふけったという。
「ドイツにもナチスに反対する人々がいた。(学校などで)学ぶ歴史と、
現場で感じる歴史は違う。(『ワルキューレ』のような)映画を作ることで、
二度と悲劇が起きないようになれば」と語った。
反ナチス運動の英雄として、
ドイツで広く尊敬を集めているというシュタウフェンベルク大佐。
クルーズは「ドイツでのプレミア上映後、観客の拍手が10分以上鳴り止まなかった」と
説明。
「シュタウフェンベルク大佐は大家族らしく、英国、イタリア、米国などあちこちで
“親戚”に会った。映画の冒頭シーンには、彼の孫が出演して…
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて『ワルキューレ』の頁をご覧下さい。
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