「ヴェニスの商人」
★映画基礎データー★「ヴェニスの商人」 2004年 アメリカ/イタリア/ルクセンブルグ/イギリス映画 監督脚本 マイケル・ラドフォード 出演 アル・パチーノ |
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シェイクスピアの書いた37の戯曲の中で最も人気が高く、
日本でも最初に上演されたシェイクスピア劇として知られる『ヴェニスの商人』。
それを何故かハリウッドの映画人たちが映画化しています。
アル・パチーノ、ジョセフ・ファインズ、ジェレミー・アイアンズといった
当代最高の演技派スターが出演し、実際のヴェネチアでロケという贅沢な
作品で、ヴェネチア映画祭の招待作品ともなりました。
コスチュームプレイもの自体が最近ハリウッドでは少ない中で珍しい企画ですね。
配役の人気によるものか、日本での興業も11月のミニシアターランキングで第3位です。
1596年のヴェニス。
ヨーロッパの貿易の中枢として栄えたこの運河の街で、
土地を持つことを許されないユダヤ人たちは、
ゲットーの中に隔離される生活を余儀なくされ、金貸し業を営んでいた。
シャイロック(アル・パチーノ)も、そんな金貸しのひとりだ。
彼らが、キリスト教徒から迫害の対象にされたのは、
宗教の違いに加え、
高利で金を貸す行為がキリスト教の教えに反するとみなされたからだった。
ユダヤ人を示す赤い帽子をかぶって出かけたゲットーの外で、
キリスト教徒の暴行の恐怖にさらされるユダヤ人たち。
シャイロックも例外ではなく、
顔見知りの貿易商アントーニオ(ジェレミー・アイアンズ)から、
顔にツバをはきかけられる屈辱を味わう。
そんなアントーニオとシャイロックの力関係が逆転する日が訪れたのは、
それからまもなくのことだ。
原因を作ったのは、
アントーニオの年下の親友バッサーニオ(ジョセフ・ファインズ)だった。
放蕩生活で財産を使い果たしたバッサーニオは、
ベルモントに住む美しい女相続人ポーシャ(リン・コリンズ)に求婚するための
資金を借りようと、アントーニオの元へやって来た。
が、アントーニオの全財産は、いまは船の積荷となって、
世界中の海に散らばっている。
そこでアントーニオは、自分が保証人となり、
シャイロックから金を借りることを提案した。
彼の書いた証文を携えて、さっそくシャイロックを訪ねて行くバッサーニオ。
驚いたことに、シャイロックは、3000ダカットもの大金を無利子で貸すことを承諾した。
ただし、それには条件があった。
「3カ月の期限内に借金が返せなかったら、
アントーニオの肉1ポンドを引き替えにもらう」というものだ。
常軌を逸したシャイロックの申し出に、アントーニオはたじろぐが、
積荷が期限内に戻ると信じる彼は、バッサーニオの幸せのために、この条件を承諾した。
なかなかに剣呑な出だしであります。
ファーストシーンが、
ユダヤ人のゲットーが当時のヴェニスに実在したことを説明する字幕です。
中世のキリスト教社会では、商業や金融は悪徳とされ、
キリスト教徒間による利子を伴う金貸しを禁止していたので、
非キリスト教徒であるユダヤ人が金融業を担っていたそうです。
中世初期、キリスト教徒とユダヤ教徒は、お互いの教義を補完し合った、
ギヴ&テイクな関係で巧くいっていたのですが、
1096 年の十字軍の遠征で状況が変わってしまいます。
十字軍の遠征の結果、
イタリア商人が活躍し、ギルドといった同業者組合が発達し、
キリスト教徒の資本家が力をつけてくると、
ユダヤ人は貿易の中間業者といった商人や職人の世界から
締め出されることになっていきました。
そこでユダヤ人たちは、
担保物権と引き換えにお金を貸す消費者金融業に走ります。
消費者金融は主に貧困層を相手にした商売であり、
キリスト教徒の弱みに付け込む悪徳ユダヤ人というイメージを
固定化させることになってしまったのです。
今回の映画ではその歴史的事実をのっけから語り、
アントーニオとシャイロックの対立が、
キリスト教徒VSユダヤ人
であることをクローズアップしてるわけですが、
しかしですね、今なぜ宗教と民族対立をテーマにする作品を作るのか?
それをシェイクスピアの世界で語る必然性はあるのか?
がいまいち、日本にいる我々には伝わってこないのですね。
そりゃパレスチナ問題は相変わらずですし、
イラクの執拗なテロもありますし。
でもそれならそれで、なぜシェイクスピアで描かねばならないか、
ですね。
やっぱりシェイクスピアものを作るという企画が先にあって、
あとからキリスト教徒VSユダヤ人のテーマということになってのでしょうかね?
もうちょびっと判りやすいヒントが作品中にほしいところです。
監督&脚本のマイケル・ラドフォードは
『イル・ポスティーノ (1994) 』< 1996 年アカデミー監督賞&脚色賞ノミネート>
している人ですが、私は未見なのでもともとどんな作風なのかは判らないです。
まもなくバッサーニオはベルモントへ出発。
その一行の中には、バッサーニオの友人ロレンゾ(チャーリー・コックス)と
駆け落ちしたシャイロックの娘ジェシカ(ズレイカ・ロビンソン)の姿もあった。
彼女が、家の宝石類を持ち出したのを知り、怒り狂うシャイロック。
娘と財産を同時に失った彼の慟哭は、ヴェニスの闇を突き、街中に轟き渡った。
ベルモントで、バッサーニオたちは熱烈な歓迎を受けた。
それまでの求婚者とは違う若くハンサムなバッサーニオに、
ひと目惚れしたポーシャは、
結婚の条件である箱選びの試練に挑戦するバッサーニオを、
祈るような気持でみつめる。
その思いが通じたのか、バッサーニオは正しい箱を選び、
堂々とポーシャの夫となる資格を手にする。
さらに、バッサーニオの仲間グラシアーノ(クリス・マーシャル)が、
ポーシャの侍女ネリッサ(ヘザー・ゴールデンハーシュ)に求婚したことによって、
一行の喜びは二倍にふくらんだ。
だが、それもつかの間、
バッサーニオの元にヴェニスから悪い知らせがもたらされる。
アントーニオの荷を積んだ船がすべて難破。
借金返済の目処がたたなくなったアントーニオは、
約束どおり、肉1ポンドをシャイロックに支払わなければならなくなったのだ。
その正当性を決する裁判が開かれることを知ったバッサーニオは、
ポーシャと急いで結婚式をあげると、
借金の2倍の額の金を携えて、ヴェニスへと戻った。
アイアンズは英国有数のシェイクスピア俳優としても知られています。
一方、ファインズは、『恋におちたシェイクスピア』のシェイクスピア役で知られる
俳優です。
今回も持ち前の美貌をいかし、
軽薄だが純粋な心を持つ貴公子バッサーニオの魅力をいきいきと演じています。
アイアンズが演じているせいかアントーニオは妙に暗い男に見えましたが、
これは私の思い込みでなく、憂鬱な人物として戯曲にも書き込まれているようです。
アントーニオの憂鬱の原因はバッサーニオへの愛情のせいです。
これはどうやらシェイクスピア研究の先生方も認めている事柄のようです。
バッサーニオはアントーニオの無限の感情を最大限に利用します。
アントーニオは海外貿易で全財産を危険にさらしていたが、
潜在的に死を意味するにも拘らず、
シャイロックから借金するバッサーニオの保証人になることに合意しています。
多分体の付き合いのないバッサーニオとの報われない関係において、
アントーニオがすすんで自分の肉を一ポンド捧げるということは重要だそうで、
二人のパートナーが“一つの肉”となるところで、
グロテスクにも結婚の儀式をほのめかす結合を意味するらしい。
アントーニオのバッサーニオに対する感情の性質を示す証拠は、
劇中後半にも見られます。
裁判では、アントーニオが窮地に立たされていた。
アントーニオに侮辱された過去の恨みに加え、
娘の駆け落ちによってますますキリスト教徒への憎しみをつのらせたシャイロックは、
公爵の「慈悲を」という言葉にも頑なに耳を貸さず、
証文どおりにアントーニオの肉1ポンドをもらうと言って譲らない。
バッサーニオが差し出した2倍の金も、彼ははねつけた。
と、そこにベラーリオ博士の推薦状を携えた若い法学博士が到着。
裁判は、彼の手に委ねられることになった。
博士の冷静な尋問が進む中、
依然として意固地な態度を変えないシャイロックと、
「もはやこれまで」と覚悟を決めるアントーニオ。
そしてついに、アントーニオの肉が切り取られようとしたとき、
博士の言い放った一言がすべてを変えた。
「切り取る肉は正確に1ポンド、一滴たりとも血を流してはいけない」。
以下、ネタばれ改行です。まあ、改行せずとも原作どおりなのですが。
それが、自ら求めた「法による公正な裁き」の結果だとわかり、シャイロックは愕然。
あわててバッサーニオの金を受け取ろうとするが、時すでに遅し。
全財産の没収とキリスト教徒への改宗という判決にうちのめされた彼は、
よろめくような足取りで法廷を立ち去った。
ユダヤ人にユダヤ教を捨てろと迫る改宗というのはずいぶん無茶な話だと思いますが
16 世紀の観客にとっては、
改宗によりシャイロックが地獄に落ちずに済むので、この要求は慈悲深いものだ、
という解釈のようです。
それが今回、原作どおりになってますね。
泣き面に蜂のシャイロックに観客の同情が集まる演出です。
いっぽう、土壇場での逆転劇を喜んだバッサーニオは、
博士に謝礼がしたいと申し出る。そんな彼に博士が求めたのは、ポーシャと婚約するさい、
「ぜったいに外さない」と誓った愛の記念の指輪だった。
バッサーニオは、なんとか指輪を手放すまいとするが、
結局は博士の言葉に負け、指輪を贈ってしまう。
アントーニオを伴ってベルモントへ戻ったバッサーニオを待ち受けていたのは、
例の指輪に対するポーシャの厳しい追求だった。
指輪を男に贈ったというバッサーニオの言葉を、信じようとしないポーシャ。
しかし、それは彼女のイタズラだった。
ポーシャは、例の指輪をバッサーニオに返すと、
自分が男装して博士を演じていたことを打ち明ける。
同じように、博士の助手に変装してグラシアーノから指輪を取り上げたネリッサも、
夫に指輪を返し、すべては丸くおさまった。
こうして、2組のカップルは幸せなまどろみの中へ。
そのころ、ベルモントの浜辺には、
何もかも失った父シャイロックに思いを馳せるジェシカの姿があった。
ポーシャ役のリン・コリンズは抜擢された新人女優です。
リーヴ・シュライバーと共演した『ハムレット』のステージでオフィーリアを演じ、
批評家から絶賛を浴びたとか。
ハンサムなバッサーニオに一目惚れしてしまうロマンチックな女性であると同時に、
財産でも頭脳でも男性を遙かに上回るスーパー・ウーマンでもあるポーシャの役
はかなり難しい役柄ですが、上手いこと演じきっています。
コリンズは、本作品でジョセフ・ファインズと共に、
ゴールデン・サテライト賞の助演部門にノミネートされています。
んー、原作どおりなのかもしれないですが、
ポーシャとバッサーニオの恋の駆け引き(?)とシャイロックの悲劇、
というのがどうもしっくり頭の中でひとつになってくれないのですね。
別々のドラマを無理やり法廷劇でひとつにしちゃったみたいに感じます。
指輪を無理やり取り上げといて、
それをネタに婚約者を言葉でいじめるというのは、
男色関係にお灸をすえたということ?
おんなごころは掴み難いですね。
美人で聡明、貞淑。でも性格悪いですね。笑
ポーシャの住んでいる島と館は絵画のように美しく、
それひとつとっても目の保養になりました。
。
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