「かいじゅうたちのいるところ」
■作品基礎データ 「かいじゅうたちのいるところ」 2009年 アメリカ映画 監督:スパイク・ジョーンズ 原作:モーリス・センダック 『かいじゅうたちのいるところ』(冨山房刊) 脚本:スパイク・ジョーンズ、デイヴ・エッガース 出演&声の出演:マックス・レコーズ |
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マックスは8歳になる男の子。このごろは不満がどんどんたまっていく。
まず、姉のクレアに腹が立つ。自分の友達ばかりを大切にして、小さな弟はのけ者扱い。
マックスが雪で作った隠れ家をクレアの友達が壊したときも、クレアは友達に気兼ねして
何も言ってはくれなかった。
マックスを「世界の王様」と呼んでくれたパパは、ママと離婚してもういない。
ママはといえば、ひとりで二人の子供を抱え、家事に、仕事に忙しい。それから恋にも
忙しい。家に恋人が訪ねてくると、マックスが話しかけても上の空。恋人のことしか見て
いない。
学校の授業で聞かされたのは、「太陽もいつかは消える」という話。
なんだか空も薄暗い…。
そしてある晩、ついに、たまりにたまったマックスの不満が爆発した。
ママは夕食の支度をしていたが、その日の夕食も“恋人つき”。
マックスはそれが気に入らない。
着ぐるみを着てオオカミの姿になったマックスは、ママのいうことにいちいち逆らったあ
げく、テーブルの上に乗って暴れだし、とうとうママの堪忍袋の緒が切れた。
「夕食抜き!部屋に行ってなさい!」
悔しくて悲しくてママに噛みついたマックスは、そのまま泣きながら家を飛び出した。
通りを抜け、林を抜け、気がつけば見知らぬ浜辺。マックスは目の前にあったボートに飛
び乗り、ひとりで海へ漕ぎ出した。荒れ狂う波をくぐり抜け、やがてボートはひとつの島
へたどり着く。
島の奥へと入っていくと、そこにいたのは…見たこともない大きな体のかいじゅうたち!
そのうちのひとりはひどく怒っているらしく、仲間たちが遠巻きにみつめるなか、
怒りにまかせて自分たちの小屋を叩き壊しているところだった。
仲間のひとりKWが新しい友達を作って出て行ってしまったことに、
リーダー格のキャロルが腹を立てて暴れまくっていたのだが、マックスはそんなことには
お構いなしに、かいじゅうたちの輪の中に入っていくと、キャロルと一緒になって小屋を
壊し始めた。
突然現われた見知らぬ子供にかいじゅうたちは驚いたが、キャロルは頼もしい助っ人の登
場に「壊し方にセンスがある!」と目を細めた。
それでも、ほかのかいじゅうたちの疑いの眼差しは止まらない。
「いったい誰なの?」
「KWの新しい友達じゃないか?」
「だったら問題の元凶だ」
「元凶は食べるに限る!」
焦ったマックスは、食べられないための口実を必死になって考え出し、
願望の入り混じったインチキ話を始めた。
「僕を食べちゃダメだ。僕には力があるんだから。それでバイキングの王様にもなったし、
前にいたところでも20年間王様をやっていたんだ」
マックスの話を聞いて一番喜んだのはキャロルだった。王様の力をもってすれば再び仲間
がひとつになれるかもしれない―。そこへ、さっそく王様の威力が現われたかのように、
出て行ったはずのKWが戻ってきた。本当は忘れ物を取りにきただけだったのだが…。
いよいよ王様の登場を喜んだキャロルは、王冠をマックスにかぶせた。
かいじゅうたちの王様になったマックスが、最初に出した命令、それは
「かいじゅうおどりをはじめよう!!」
20世紀最高の絵本と称されるモーリス・センダックの
「かいじゅうたちのいるところ(WHERE THE WILD THINGS ARE)」
―世界中で愛され、無数の読者の想像力を掻き立ててきた傑作絵本の実写映画化を、
『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』のスパイク・ジョーンズ監督がついに実現。
原作「かいじゅうたちのいるところ」は、世界で一番有名な絵本のひとつといっても過言
ではない。全世界での売上部数は、絵本では破格の2000万部超え。アメリカで最も優
れた絵本に贈られるコルデコット賞をはじめ数々の賞に輝くとともに、1963年の出版
から50年近くたった今もなおベストセラーでありつづける怪物絵本だ。
2009年、就任まもないオバマ大統領が3万人の親子を集めて行なったイースター祭の
イベントで、子供たちにみずから朗読して聞かせたのも、この永久不滅の傑作だった。
それだけに、世代を超えた原作ファンは数知れない。本作の製作を務めるトム・ハンクス
もそのひとり。 ハンクスが映画製作に乗り出した際、真っ先に取り組んだプロジェクト
のひとつがこの絵本の映画化であり、結局12年がかりとなったこの一大プロジェクトに
決定的なビジョンを与えたのが、これまた熱烈な原作ファンであったスパイク・ジョーン
ズだったのだ。絵本界のカリスマであり、児童文学のノーベル賞といわれる国際アンデル
セン賞も受賞している原作者のモーリス・センダックは、ジョーンズ監督と、彼が作った
この映画に絶賛を惜しまない。原作の本質を受け継ぎながらも、その世界を豊かに膨らま
せ、確固たるオリジナリティを打ち立てた本物の一作―。センダックは言う。
「絵本も、映画も、私はどちらも大好きだ」
彼がいなければ、この映画は成立しなかった―。スパイク・ジョーンズ監督をしてそう言
わしめるのが、この作品で映画デビューを果たした主演のマックス・レコ-ズだ。
とことん子供らしいやんちゃさと、内に秘めたナイーブな奥深さ。そんな両面を演じるこ
とができるたった一人の少年を求めて、1年以上をかけてようやく見つけ出したのが、偶然
にも主人公と同じ名前を持つ、当時9歳のマックス君だった。
日本語吹き替え版でマックスの声を演じるのは、大河ドラマ「天地人」やTOYOTAの
CMで活躍する“こども店長”こと加藤清史郎くん。
かいじゅうたちのリーダー的な存在で、マックスにとって一番身近なかいじゅうとなる
キャロル役には高橋克実、
姉のような存在としてマックスと心を通わせるかいじゅうKW役には永作博美と、
かいじゅうたちも演技派ぞろい。
「かいじゅうたちのいるところ」試写会で見ました。
絵本のベストセラーを「マルコヴィッチの穴」のスパイク・ジョーンズ監督が演出。
予告編の出来がとてもよく詩的でイマジネーションの広がりを感じ、見たかった作品です。
主人公のマックス役の子役が魅力的です。
脚本上は、どうなんだろう、かなりいけ好かない奴です。
第一期反抗期まる出しで、扱いにくいことこの上ない。
シングルマザーの母親が出て来ます。この人がとても良い人ですが、息子の方は都合よく甘えて、
気に入らなければ、いきあたりばったりに癇癪を起こしてます。
母親が自宅に呼んだボーイフレンドと出くわし、手前勝手に爆発して家を飛び出し、
そこから冒険の旅が始まる。
かいじゅう達の造形が見事です。
そりゃ、造形がつたないくらいなら、そもそも実写映画にすべきじゃないですが。
それにしても見事です。
二等身の着ぐるみまる出しに見えて、飛んだり跳ねたり。
アップの時の表情の豊かさは、油圧コントロールによるものでか、CGなのかは知りませんが。
でもCGのようなハイテクでなく、人の手による操演のような温かさのあるかいじゅう達に
なっていました。
ネタばれ改行です。
かいじゅうキャロルはマックスのお父さんがわりになる。
物理的な話ではなく、意識上のことです
そんな展開を予想していたのですが違いました。
でもよく考えてみると、キャロルが大きな体で小さなマックスを抱きしめてしまったら、
そこでドラマは終わってしまう。
そういう展開にせずに、二人を対立する方向に持って行く、というのは厳しい選択ですが、
ドラマはあえて難しい道に進んで行く。
原作通りということかもしれませんが、ネガティブな感情が作品世界を支配して行く運びです。
原作では、母親がマックスに「このかいじゅう!」と叫び、マックスが家を飛び出しているよう
です。
そしてキャロル達に出会うのですから、”かいじゅう”とはすなわちマックスのような
”反抗少年”を指す訳です。
キャロルは鏡に映るマックス自身でしょう。
キャロルが砂丘で癇癪を起こして仲間の腕を引っ張ると、腕は簡単に抜けてしまうのですが、
血は流れずに砂が流れます。
この後のカットで、もげた腕が映らないのは、グロテスクだから演出の上見せないのだと思って
いたら、一緒に見た連れの意見は、「腕は砂に帰った」でした。
かいじゅう達は実体のない幻のようなもの、マックスの心の中に住むもの。
だから砂から生まれ砂へ帰っていく。
なるほどこちらの方が筋の通った解釈です。
この作品は少年が社会に旅立つ前段階の心情を綴るドラマであろうと感じました。
本編とは直接関わりはないですが、マックスが隠れ場所を探すシーンで女かいじゅうKWが
「口の中へ入れ」と言うのとマックスは女かいじゅうの口に体を捩込む、という行動に出て
ビックリ。
”それは食べられる、というんじゃないの?”と首を捻っていると、マックスは女かいじゅうの
洞のようお腹の中で、木のみをかじるあらいぐまと見つめ合うというシュールな展開になってい
ました。
こうした笑いのシーンが唐突に出て来る辺り、いかにもスパイク・ジョーンズ監督らしいです。
この映画には巨額の制作費を投じられたというが、完成には長期にわたる様々な紆余曲折
があったと伝えられる。数えきれないほど撮り直しを繰り返し、ハリウッドでも近年まれ
に見るトラブル続きの映画だと噂された。これらのトラブルは、監督自身にとっても成長
する為の傷みを与えたようだ。この映画が“少しは”大人になるきっかけになったという。
ただ、ジョーンズの忠実なファンでもその価値があったのかどうかを疑問に思うだろう。
39歳のジョーンズは、ロサンゼルスからつながっている電話の向こうで、この質問に答え
るのはうんざりだというようにまくしたてた。
「誰のために映画を作っているかって?興味を持ってくれる人、全てだ。特定の誰かに
向けてに撮ったんじゃない。だから編集段階でスタジオ側と揉めたんだ。
子供向けの映画を作りたかった訳じゃなくて、子供時代についての映画を作りたかったん
だよ」。
長年のスケーターでもありBMXライダーでもあるジョーンズの、独特なゆっくりとした話
し方は自身が『スリー・キングス』で演じたコミカルな役柄そのものだ。
ジョーンズは独学で映画撮影を学び、チャーリー・カウフマン脚本による『マルコヴィッ
チの穴』や『アダプテーション』といった“神経がどうにかなりそうな”映画を監督した
ほか、変なダンスを踊るクリストファー・ウォーケンや、ヒゲ面のビースティ・ボーイズ
らが登場するミュージックビデオを、次々とヒットさせてきた。
だが電話口のジョーンズは、過去の自分についてのイメージを振り払いたいようだ。
「コンセプチュアルな作品を撮ることはできるけど、コンセプチュアルなだけでは駄目な
んだ。感情がそこになければ」という彼こそが、様々な映画監督が失敗してきた“センダ
ックの絵本”の映画化を2000年から準備し、完成させた他ならぬ人物だ。
「モーリスが僕に言ったことは、原作を愛するあまり恐れるな、ということだ。
彼は頑強なまでにしつこく、この本を元に自分の信念に従った作品を創れ、
自分の内にあるものを造り出せ、と言ってきた。彼の根幹にある哲学抜きにしてはこの作
品は語れない」。
2つのスタジオとの仕事と頭痛の種であった『ジャッカス』の制作を乗り越え、
ジョーンズはようやく、作家のデイブ・エガースと脚本のドラフトを完成させた。
ストーリーには怒りと孤独があった。家族は崩壊、姉弟間の関係も悪化している、という
設定だ(ジョーンズは、ソフィア・コッポラとの離婚をごく最近に経験)。
主人公のマックスは5歳ではなく8歳になり、うわさ話と陰口が好きな野獣たちには名前
と人格が与えられ、より現実味を帯びたキャラクターになった。
脚本はすでに絵本の域を超えていた。
少なくとも原作者のセンダックは、この脚本に理解を示した。「彼のことを気に入ったんだ。
正直なところがね。だから彼を応援した」と81歳のセンダックはTime Out New Yorkの
インタビューにメールで答えた。ブルックリン出身で現在はコネチカット州の郊外に住む
この作家は、1963年に出版されたこの絵本が、なぜこれほどまでに世界中で支持されてい
るのか不思議だという。モーリスについて、ジョーンズが制作したHBOの
ドキュメンタリー番組『Tell Them Anything You Want: A Portrait of Maurice Sendak』を
見れば、2人の共通点が分かるかもしれない。ともに子供時代への“美化されがちな望郷”
に対する冷静な視点を持っているのだ。できるだけ現実的に捕らえようとしているよう、
感じられる(例えば彼らの関係を「孫と祖父のようですね」というと、ジョーンズは
「どちらかというと兄だ」と即座に訂正する)。
(C) 2009 Warner Bros. Entertainment Inc.
センダックの理解とサポートを得たあとのジョーンズを待ち受けていたのは、
2006年にオーストラリアで行われた大掛かりな撮影だった。アニマトロニクス
(生物に見えるようなロボットを使って撮影する技術)を使用したぬいぐるみは、
予測不可能な動作不備が多発し、ミシェル・ウィリアムスはキャストから降板、
ローレン・アンブローズが代役に起用された。さらには撮影開始から1年半後になって、
制作途中の映像がネット界隈で酷評されたことから、長期間にわたり撮り直しが行われた。
だが、全てのジョーンズ作品に参加する撮影技師のランス・アコードはこういう。
「僕らの撮影のやり方に関して、かなりひどい噂が流れたのは事実だよ。だけど撮り直し
の理由は、スパイクが野獣たちのセリフをころころ変えるせいだ。つじつまを合わせる
ために最初に戻って、マックスとのシーンを撮り直したり、そういう作業がほとんどだっ
たんだ」。理由はなんにせよ、セリフと脚本は当初のものと比べ大幅に変更された。
注目を集めた撮影後のワーナーブラザースとの確執について、ジョーンズは乾いた笑いで
「いいものじゃなかった」というが、「終わってみれば、僕は撮りたい映画を撮ることが
できたし、最終的には彼らも作品を気に入ってくれた。この思い入れのある映画を、
大きなプロダクションならではのやり方で、大々的に世に送りだしてくれるのも
ありがたい。恵まれているよ」と語った。
映画の不均一なトーンと、スタジオ側の宣伝モードが釣り合っているようには見えない。
だがジョーンズは「妥協しないことが大切だ。それだけは守っていきたい」という。
若すぎず、年を取りすぎてもいない相応なセリフが、ここにきてやっと聞けたのかもしれ
ない。
以下はネタバレとなるのでmixi独身映画ファンコミュニティ
http://mixi.jp/view_community.pl?id=1299114
にて『かいじゅうたちのいるところ』の頁をご覧下さい。
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