「ウインドトーカーズ」
★映画基礎データー★「ウインドトーカーズ」 2001年 監督 ジョン・ウー 脚本 ジョン・ライス 出演 ニコラス・ケイジ |
『M:I-2』以来となる鬼才ジョン・ウーの新作です。苛烈な戦場を生きる兵士たちの皮肉な運命を描く。アクション、友情の逸話のアツさにもウーらしさがにじみます。
第二次大戦期、米軍はネイティブ・アメリカン、ナバホ族の言語を暗号に採用します。兵士エンダーズ(ニコラス・ケイジ)はナバホ兵ヤージー(アダム・ビーチ)の護衛に就くこととなります。共に戦火をくぐるうちに、彼らの間には絆が芽生えるのですが、やがてエンダーズは暗号死守のため決断を迫られるでした。
どうしても我々は"作品の中で日本兵、日本がどのように描かれているか"に目が行ってしまいます。
ヨーロッパ戦線ものでドイツが悪逆非道に描かれても笑って見ている癖にです。
インディージョーンズの悪役は漫画同然ですが、あれに出てくるナチスの将校のような日本軍将校が出てきたら、私自身を含めてかなり怒る人がいそうです。
「ウインドトーカーズ」は米軍のなかで戦うマイノリティの話で、日本が敵というのは本来背景に過ぎません。
タイトルは忘れましたが、ハリウッドの朝鮮戦争映画で、黒人と白人の混成部隊の活躍を描く作品がありましたが、北も南も朝鮮人のほとんど出てこない作品でした。「ウインドトーカーズ」も同系列の作品と見ておいたほうがよさそうです。
ナバホ族出身者がコード・トーカーとして活躍したという逸話が映画企画として映画会社に持ち込まれた時、プロデューサー達は「優れたドキュメンタリーにはなるが、エンターテイメントにはならないだろう」と感じたといいます。
それが脚本を練る段階で、コード・トーカーには護衛がついており、彼等の勤めは実は人命救助より機密保持が優先され、追い詰められればただちに死刑執行人に早変わりするという事実がクローズアップされ、護衛役の苦悩を描けばドラマが成立する見通しがたった時点で、本格的な制作ゴーサインが出た様です。
オファーをうけたジョン・ウーは脚本の準備校を一読、感激して演出を引き受けたとインタビューで語っています。
エンダーズ(ニコラス・ケイジ)はイタリア移民という設定になっています。ジョン・ウー自身を反映する役柄ではありませんか。
一億二千万ドルの巨費を投じた戦闘シーンは迫力があります。が、私も少し長いなという印象を持ちました。混戦状態が一定量以上続くと後は何をやっても同じ事になってしまうので20分程度削り込み、1時間50分台の尺で見せたほうが良いです。
作品のはじめとお終いが西部の平原になっていて、監督の西部劇へのオマージュだろうという指摘もありますが、これはストーリー通り、ナバホからやってきて、故郷に帰っていったということで十分ではないでしょうか。
ラストで星条旗がひるがえらないところで、何が言いたいかはきちんと伝わるのですから。
定石通りかもしれませんが、ナバホ兵ヤージー役のアダム・ビーチがさわやかで美しい理想の青年を具現しており、笑顔ひとつで観客を魅了する若手の層の厚いハリウッドが羨まれるばかりです。
無骨を前面に押し出したコマーシャルがされていましたので映画公開時の客層は偏るものと予測されましたが、実際には劇場に若いカップルから年配のご夫婦までいろいろな世代が来ていました。
若い人は男の理想の友情に夢を感じ、年配層は遠い戦禍に想いをはせ、それぞれに満足して劇場をあとにしたようです。
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