| 答えを見つけたいあなたに贈る名セリフ |
| 「正しい質問には正しい答えが含まれています。 迷うのは問いの立て方が間違っているからです。」 (「AIKI」より平石師範の言葉) |
作品基礎データ日本映画 2002年 監督・脚本: 天願大介 出演:加藤晴彦 石橋凌 ともさかりえ |
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説教臭い話は私も好きではないのですが、 この「AIKI」にはまったく参りました。 車椅子の武道家という設定にまずぶっとびましたが、 これがフィクションではなく、実在のモデルがいると知って感激しました。 天願大介監督がデンマークの車椅子の黒帯オーレ・キングストン・イェンセン氏と出会って、 その出会いが「AIKI」という作品に結実するまで、実に十年の歳月を要したといいます。 題材をあたため熟成させるためそれだけの時間が必要だったということです。 プロボクサーとして順調なスタートを切った矢先、 芦原太一(加藤晴彦)は交通事故に遭遇。 下半身麻痺となり、やさぐれた生活を続けますが、 巫女のアルバイトをしているサマ子(ともさかりえ) やテキ屋の親分・権水(桑名正博)とのふれあいの中で、 次第に明るさを取り戻していきます。 そして神社で日本の古武術"合気柔術"を目撃したことから、 前向きに生きることを"受け入れる"ようになっていくのです。 映画はあくまで青春モノのスタンツで描かれています。 障害者ものとしてはいささか脱線したエピソードなどがありますが、 躍動感が感じられむしろ面白いです。 テキ屋稼業から、レンタルビデオ店のバイトをはじめてなんとか社会復帰の 足がかりを掴み始めた太一は、 「格闘技をやってみたい」と思い立ち、もとのボクシングジムをはじめ、 いろいろなジム、クラブ、道場を訪ね歩きますが大抵相手にされません。 「バスケットとか、車椅子に向いたスポーツあるでしょうに」 といわれたりもしますが、本人はあくまで格闘技にこだわります。 与えられた中で生きるというので無しに、 自分は格闘技がやりたいんだというところが良いです。 太一が合気柔術入門をはたして、ひととおりの形がこなせるようになった頃、 昔因縁のある不良達と再び顔を合わせるのですが、 苦も無くぼこぼこにされてしまい、自信をぺしゃんこにされてしまいます。 「実戦に使えない格闘技の修行に何の意味があるのか?」 太一は怒りと絶望のごちゃまぜになった形相で 平石師範(石橋凌)に問いかけをぶつけます。 その時の平石師範の答えが冒頭のものです。 平石師範という人は自然体で、弟子達に対してもおだやかに語りかける好人物です。 勇ましい武術家というイメージからはかけ離れた人で、 太一が「強くなるにはどうしたら良いのですか?」と問えば、 「私は自分が強くなりたいとかは考えたこともありません」と素直に答える大人です。 太一が入門した頃、確か平石師範は 「およそ現代において人を殺傷するための武術を習得する必要はありません」と 言いきっていて、太一はそれを聞いている筈ですので、 暴漢にのされてしまったからと言って、師匠に抗議するのは筋違いの筈なのですが…。 この部分はモデルとなっているオーレ氏から監督が直接インタビューして、 脚本に反映させた部分だそうです。 やはり師匠の岡本先生は、解決方法について、自分で思案する様、 直接回答を与えなかった様です。 ふたりは弟子と師匠という関係ではありますが、 合気柔術をともに学ぶものとして対等の立場にある事を尊重したのだと 監督は感じたそうです。 太一は別に哲学を論じたいので無く、現実的な解決方法を模索しています。 これまで彼は稽古で相手と組み合う時、車椅子のストッパーをかけて 車輪の動きを止め、車体を固定して技を掛けていましたが、 自らストッパーを外し、相手の動きに合わせて身体を旋回させるという 方法に変えます。 柔軟性は出るのですが、その分不安定になり、危険は増します。 「合気柔術は超能力ではありません。相手の身体に触れなければ、 技はかかりません。相手をまず受け入れることです」 太一の創意工夫に平石師範はエールを贈り、 一緒に組技をあれこれ試みたりします。 そういえば、この人は太一が入門を申し出た時に、 自らも車椅子に乗ってみて、門弟達を相手に合気柔術の技が使えるかどうか、 ひとつひとつ試した上で、入門を受け入れています。 ですから、相手を受け入れることだというのも、ただの能書きではなく、 実戦的な対戦方法の話をしているのです。 背の低い、動きに制約の多い車椅子で、 相手の拳や蹴りを受けとめるのは、かなり恐怖がともないます。 太一はその恐怖を克服し、大使館での演武会で成功をおさめます。 同時に人間的にもひとかわむけて、彼は大きく成長していきます。 相手をまず受け入れることというのは、 とても勇気のいることなのですね。 太一もまた多くの人々との出会いを受け入れ、 前進していきます。 |
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