「四日間の奇蹟/恋愛ファンタジー脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。
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原作 「四日間の奇蹟」 浅倉卓弥 著 2004年刊 宝島社 |
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映画「四日間の奇蹟」 2005年 日本映画 監督脚本 佐々部清 出演 石田ゆり子 吉岡秀隆 |
| 本作原作文庫 本作映画チラシ ■脚本の書き方■ 原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク 「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス 「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」原作=フィリップ・プルマン 「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり 「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー 「墨攻」原作=酒見賢一 「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一 「プラダを着た悪魔」原作=ローレン・ワイズバーガー 「夜のピクニック」原作=恩田陸 「ゲド戦記」原作ル=グウィン 「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン 「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス 「博士の愛した数式」原作小川洋子 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング 「亡国のイージス」原作福井晴敏 「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ 「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥 「アビエイター」原作ジョン・キーツ 「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー 「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ 「下妻物語」原作嶽本野ばら 「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一 「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン 「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん 「精霊流し」原作さだまさし 「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット 「コンフェッション」原作チャック・バリス 「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ 「魔界転生」原作山田風太郎 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン 「黄泉がえり」原作梶尾真治 「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス 「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック 「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著 「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ 「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ 「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ 「GO」脚本:宮藤官九郎 「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン 「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン 「陰陽師」脚本福田靖 「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス 「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太 「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア 「クロスファイア」脚本山田耕大 「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー 「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン 「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン 「ハンニバル」脚本デビット・マメット 「ホワイトアウト」原作小説真保裕一 「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス 「黒い家」脚本大森寿美男 「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之 「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック 「魔女の宅急便」監督宮崎駿 「リング」脚本高橋洋 「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス 「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン 「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー 「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー 「バラサイト・イブ」脚本君塚良一 「アポロ13号」監督ロン・ハワード 「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ 「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン 「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス 「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン 「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン 「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク 「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム 「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック 「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン 「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ 「ミザリー」原作小説スティーブン・キング 「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン 「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ 「時をかける少女」脚本剣持亘 「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック 「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー 「犬神家の一族」原作小説横溝正史 「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ |
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう! 第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作、 浅倉卓弥著の「四日間の奇跡」は2004.1に発刊され、 映画化に合わせて文庫化もされているようですが、 発刊部数百万部を超えるベストセラーです。 メガホンを取るのは、『半落ち』で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した 佐々部清監督。 監督自身が発売当初に手にした原作に惚れ込み、自ら映画化権を獲得。 脚本執筆に1年余を費やしたそうです。 メインとなるアイディアが、有名作家の先行作品と同じであったため、 『このミステリーがすごい!』の選考でも大いにもめたことが 文庫版のあとがきに記されています。 しかしながら、作者のドラマ作りのうまさと、 的確な文章表現に他の候補作品を圧倒し、 本来ファンタジーに属する本作品はミステリーの長編コンクールの大賞を 実力もぎ取っていきました。 映画は、ヒロイン真理子(高校時代は別人だか、成人後は石田ゆり子「解夏」)の 高校時代の回想シーンから始まります。 原作では真理子の登場は100ページを超えたところからです。 原作を読んで唯一気になったのは、 真理子が重要登場人物でありながら、登場が随分遅いということでした。 そのため、小説の後半に読み進むまで、彼女を脇役のひとりと思っていました。 高校卒業の日、教室で敬輔はクラスメートの前で「月光」を弾いています。 真理子は背後の椅子に置かれている敬輔の詰襟の第二ボタンをはさみで切り取り 盗み出します。 その女子高生の姿が現代の施設の礼拝堂で祈りをささげる真理子に被ります。 カメラは礼拝堂の外に出て、 屋根越しに海を見下ろすアングルになってメインタイトルが出ます。 「四日間の奇蹟」。 原作小説は敬輔の一人称で書かれており、 彼が主人公です。 監督はインタビューで、真理子を主人公にした、と答えています。 原作の主人公・敬輔ともうひとりのヒロイン千織は 数奇な運命で出会った天才ピアニスト同士、 という特異な人物です。 本来、私たちが容易に感情移入の出来る人物たちではありません。 真理子は二十代の若く健康な介護施設の職員で、 (正確にはここは病院の長期入院病棟とリハビリセンターの中間の施設のようですが、 画面に出てくるのは年寄りが圧倒的に多い。) いわば普通の人です。 監督は、このごく普通の女性ががんばったことで彼女に訪れる“四日間の軌跡”を 描くことで、この作品を見に来てくれるであろう観客層の中心となる若い女性層に より深くアピールすることが出来ると判断したそうです。 マーケット論とテーマの一致という良い判断であろうと思います。 覚めた目で観客席から眺めると、 監督自身がこれまで「日はまた昇る」「半落ち」等、 硬派な男性主人公を中心にドラマを浪花節で盛り上げる作風で鳴らした男性監督である ため、“若い成人女性を主人公にしたファンタジー映画”であることを意識しすぎて、 やや語り口が甘くなっているのが欠点と言えないこともありません。 …慎重に一歩ずつドラマを進めているため大きな破綻はありませんが。 映画で次に千織(ちおり 尾高杏奈)の老人ホームでの 演奏会の場面になります。これは小説での最初の場面になります。 ピアノから離れたところに 如月敬輔(きさらぎ けいすけ 吉岡秀隆「半落ち」)の姿があり、 カメラは彼の左手の白手袋を捕らえます。 ここから映画は手袋の由来を明かす回想場面になりますが、 原作では、ここでは千織の知的障害の程度とピアノ演奏の名手であることが 紹介されるのみで、白手袋の由来については車の移動途中のドライブインなどでの 描写を挟みながら描かれています。 原作にはありませんが、 映画の敬輔は千織のうさぎのぬいぐるみを手にしていて、 演奏の終わった直後の千織にぬいぐるみの手を振って見せています。 年齢の若い養父と15歳の少女を絵的につなぐ小道具です。 ぬいぐるみがドラマ上の何かメッセージを持っているわけではありませんが、 これが無いと映像的につらいです。 月並みな手立てかもしれませんが、ひとつものを置くことで人間関係が 随分分かりよくなっています。 映画では、千織がピアノの鍵盤から完全に目を離して ぼんやりと笑顔で宙空を見つめながら演奏したり、 時折、チックと思しき顔の左半分のひきつりなどを見せながら 知的障害者であることが強調された演出となっています。 原作は、敬輔の主観から描写されているためか、 言葉がたどたどしい程度です。 映画では冒頭部分でドラマ設定の大半を説明し尽くしてしまうため、 結構忙しく、セリフで説明などしなくても一目見て千織がどんな少女が分かるよう 演出されているのです。 楠本千織役の新人、尾高杏奈は本作品がスクリーン・デビューです。 1990年6月28日生まれ、東京都出身。 音楽的な才能と演技力、 そしてなによりも原作のイメージにふさわしいと1000人の中から選ばれた中学生です。 撮影時、本人は14歳。設定では千織は15歳です。 00年「池袋ウエストゲートパーク」でテレビドラマにも出ています。 監督は200人からの千織候補と面接していますが、 表情が豊かであること、(つまり落差の大きい表情が作れること)や もともとピアノが弾けること。 オーディションに臨み自らダイエットして 原作で“標準より3,4年発育が遅い”とされる千織の設定にあわせる ガッツを見せたことなどで抜擢されています。 何しろ千織がそれらしく見えないと作品世界が成立しないので、 手間隙かけてのオーディションは当然ですし、 尾高杏奈はやたら美少女、という訳ではないのですが、 “脳機能障害児にしてピアノの天才”という難解な役柄をきちんとこなしていますし、 石田ゆり子との入れ替わりの場面では、むしろ彼女の出番が削られたことが 惜しまれるほど頑張っています。 原作ではオーストリア留学中の敬輔が街角で強盗事件に巻き込まれて、 左手の人差し指の第一関節から先を失い、 その時、両親を殺されて孤児になった千織を引き取るいきさつが 説明されています。 映画ではロンドンでリサイタルの直後、事件に巻き込まれ、 左手をけがするまでが数カットで説明されています。 原作では留学先の恩師や、敬輔自身の両親に関する話、 千織の両親のことなどが描かれていますが、 映画では飛ばされています。 いずれもドラマの本筋とは関係ありませんので 脚色にあたり排除されるのはやむないことですが、 映画のラストで、礼拝堂のステンドクラスがアップになり、 そこに礼拝堂がその両親から千織に贈られたものであることを 明らかにしているのですが、 説明が飛ばされているため、映画しか見ていない人には 意味不明の場面になってしまっています。 原作では、施設の立上げ時に千織の両親が資金面での支援を したことが書かれています。 それと映画では敬輔の指の欠落はなく、 筋が延びたきりで曲がらないことに変えられています。 デジタル合成を使えば、指先を消すことは可能でしょうが、 そんな手間をかけずとも内容は伝わりますし、 クライマックスで敬輔がピアノと向き合う場面の演出も容易となるので、 このような変更がなされているのでしょう。
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