「亡国のイージス/軍艦アクション映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。
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原作 「亡国のイージス」 2002年刊 講談社文庫 福井晴敏 著 |
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映画 「亡国のイージス」 2005年 日本映画 監督 阪本順治 脚本 長谷川康夫 飯田健三郎 出演 真田広之 |
| 本作原作文庫 本作映画チラシ ■脚本の書き方■ 原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク 「天使と悪魔」 「ジェネラル・ルージュの凱旋」 「地球が静止する日」 「デス・レース」 「ホームレス中学生」 「容疑者Xの献身」 「パコと魔法の絵本」 「西の魔女が死んだ」 「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス 「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド 「ライラの冒険 黄金の羅針盤」原作=フィリップ・プルマン 「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり 「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫 「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー 「佐賀のがばいばあちゃん」原作=島田洋七 「墨攻」原作=酒見賢一 「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一 「プラダを着た悪魔」 「夜のピクニック」原作=恩田陸 「ゲド戦記」原作ル=グウィン 「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン 「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス 「博士の愛した数式」原作小川洋子 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング 「亡国のイージス」原作福井晴敏 「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ 「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥 「アビエイター」原作ジョン・キーツ 「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー 「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ 「下妻物語」原作嶽本野ばら 「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一 「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン 「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん 「精霊流し」原作さだまさし 「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット 「コンフェッション」原作チャック・バリス 「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ 「魔界転生」原作山田風太郎 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン 「黄泉がえり」原作梶尾真治 「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス 「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック 「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著 「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ 「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ 「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ 「GO」脚本:宮藤官九郎 「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン 「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン 「陰陽師」脚本福田靖 「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス 「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太 「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア 「クロスファイア」脚本山田耕大 「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー 「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン 「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン 「ハンニバル」脚本デビット・マメット 「ホワイトアウト」原作小説真保裕一 「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス 「黒い家」脚本大森寿美男 「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之 「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック 「魔女の宅急便」監督宮崎駿 「リング」脚本高橋洋 「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス 「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン 「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー 「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー 「バラサイト・イブ」脚本君塚良一 「アポロ13号」監督ロン・ハワード 「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ 「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン 「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス 「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン 「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン 「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク 「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム 「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック 「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン 「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ 「ミザリー」原作小説スティーブン・キング 「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン 「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ 「時をかける少女」脚本剣持亘 「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック 「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー 「犬神家の一族」原作小説横溝正史 「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ |
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう! 原作の序章は主人公のひとり、如月行(きさらぎ こう)の氏素性の紹介から始まります。 一見して、原作では行が主人公で、相手役の仙石はドラマの語り部のように読めます。 映画では行は若手の勝地涼、仙石に先任伍長・仙石に「ラストサムライ」の真田広之が配役され、 仙石の「生きろっ」が予告でも、宣伝コピーとしても使われ、仙石が主人公であることは疑いの余地もありません。 情報機関の工作員である行は言ってみれば超人であり、 仙石は平凡な一自衛官。 その仙石がテロリスト相手に船の中で戦う「ダイハード」のような構造で 作品世界が語られています。 原作の序章で語られる行の少年時代は、母の自殺、父の殺害、警察に逮捕される経緯などが、 映画では中盤にフラッシュバックでイメージとして手短に登場しており、 原作で母に次いで行の精神成長に大きな影響を残している父に殺された祖父は登場しておらず、 出身町も明らかにはなっておらず、したがって実は宮津と護衛艦と岸辺で手を振った少年としての出会いも出てきません。 脇役になったしまった以上、ふるさとの海で、 護衛艦に少年が手を振る場面は切られても致し方ありませんが、 行という人物と海とのかかわりを端的に示すシーンだけに残念です。 原作の序章では次に宮津の氏素性が語られます。 父もまた海上自衛官の船乗りという生粋の軍人一家なのですが、 映画ではそれらのいきさつは飛ばされ、彼の息子の葬式の後、 対日工作員のホ・ヨンファ(中井貴一)がイージス艦副長・宮津二佐(寺尾聰)の 家を雨の晩にひとり訪れる場面が映画のトップシーンとして採用されています。 原作では艦長ですが、映画では副長になっており、「いそがぜ」のっとりの際は、 艦長が殺害されているという風に変更されています。 ドラマ上特に変更の必要は無いはずですが、防衛庁、自衛隊に撮影を協力してもらう上での配慮ではないでしょうか? 原作ではホ・ヨンファに息子が防衛大学時代にまとめた論文「亡国のイージス」を 突きつけられるのですが、映画はここで論文は登場せず、 息子の交通事故の場面がインサートされます。 その事故場面で防衛庁の渥美(佐藤浩市)が顔を見せています。 で、防衛庁内の渥美のオフィスに画面が変わって、 渥美が自分の机のパソコンの画面を見つめるところでイメージとして、 論文が登場します。 序章の三番手に出てくる仙石も氏素性から語られますが、映画では当然カット。 先任伍長として上陸した「いそがせ」の若手と地元の若者の喧嘩で警察にわびを入れる ところが映画のセカンドシークエンスとして登場しています。 ここで仙石(真田広之)は行と出会っています。 如月行はイージスシステムの経験者として艦に新たに乗り込んだメンバーです。 映画では回想場面として仙石が妻に見送られて官舎を出て行く場面に 小学生の娘が出ています。 あとの「いそかぜ」艦内でのセリフによると、妻はその後亡くなり、 娘は祖父母の下に預けられ、仙石は仕事の合間にむすめの佳織(かおり)に電話する 場面が出てきます。 説明が無いので、トップシーンで妻子が出てくる場面が回想シーンであることは 見ていてとっさに判断しにくくはありますが。 原作では、娘は大学受験とともに上京するつもりで、 妻も仙石と別居して娘についていく気でいます。 「ダイハード」の主人公さながら家庭不和にあるようですが、 映画では孤独な父というだけの設定になっているようです。 原作の第一章は、訓練航海中の「いそかぜ」の様子から始まりますが、行、仙石、宮津がおなじ「いそかぜ」に乗り合わせていることが明らかになるところです。 映画ではイージスシステムのFTG(教育指導隊)の溝口二佐(中井貴一)が何やらオーバーな荷物とともに 桟橋から乗船、「いそがせ」が軍港を出港するところから始まっています。 ところで映画では「いそがせ」はイージス艦として最初から登場していますが、 原作では普通のミサイル艦がミニイージスシステムを導入した 改装イージス艦という設定になっています。 システムそのものはミニイージスもイージスも差は無いとなっていて、 戦闘場面などでも同じように演出されています。 映画では視覚的にもわかりよく、 イージス艦がテロリストに乗っ取られるということに変更されています。 原作では仙石はターター発射機のオーソリティーですが、 その設定は映画では外されていますね。 古い海の男気質の仙石が旧式の迎撃システムの専門家というのも、 なかなか意味深の設定です。 改装型のミニイージスなら新旧武装の混在という設定はありですが、 映画では最初から舞台が新鋭イージス艦なので、 この設定を生かすのは無理があります。 原作は冒頭のドラマは、艦隊乗組員の人事権を握る幕僚の自殺がメインです。 防衛庁情報局(DAIS)の情報員が監視しているにも関わらず、 あっさり通勤電車に飛び込まれてしまいます。 この時点では彼の自殺理由は不明ですが、 のちに「いそかぜ」に宮津学校の関係者をごっそり乗り組ませていたことが分かります。 宮津の背後のホ・ヨンファの脅しがあったのです。 映画では「いそかぜ」乗っ取りの背後を調べるうちに幕僚の自殺があったということが、 (DAIS)の情報員のセリフとして紹介されています。 映画では、沖縄米軍基地から奪われた化学兵器〈GUSOH〉が、 「いそかぜ」に某国の特殊工作員によって直接持ち込まれてしまいますが、 原作ではもっと紆余曲折があり、 都内某所の無人のビルに〈GUSOH〉を奪った北朝鮮のホ・ヨンファの工作員七名が立て篭もり、 ホ・ヨンファの本国の上官、偵察局長リ・ミンギとの 接見を政府に要求します。 ホ・ヨンファは本国政府を打倒し、新国家建設の志があって自分達の意思で〈GUSOH〉 を奪います。 ヨンファの要求は極秘裏に受け入れられ、 密かに局長は来日しますが、リ・ミンギは暴走するヨンファと行動を共にする気はなく、 ふたりの会談は決裂。 返事を待つ日本政府にリ・ミンギのまな首を送りつけます。 そして (DAIS)の渥美らの包囲監視を突破してオーストラリア行きの航空旅客機で逃亡してしまいます。 更に逃亡の航空旅客機を飛行中に爆破、 救難出動した「いそかぜ」に逃亡者とともに乗り込むという話になっています。 高度数千メートルの上空から〈GUSOH〉を手にして女スパイのジョンヒが パラシュートで脱出し、 そのあと太平洋の真ん中で 墜落した旅客機の残骸に潜んで、助けに来た護衛艦に乗り移るというのは、 007のアクション以上の無理がありそうですし、 映画は「いそかぜ」艦内の攻防が見せ場ですから、この部分の省略は 当然でしょう。少なくとも100ページ程度のエピソードがこれで消えています。 行の登場は、艦内で仲間内の喧嘩騒動で仙石らの目に留まったところからです。 罰当番で甲板掃除をさせられている行が、スケッチを描いている仙石に声をかけるくだりがこの後出てきます。 映画では、艦内の喧嘩が飛ばされていて、由良に入港した時、飲み屋で地元の若者と喧嘩になった時のエピソードが映像化されていますね。 行の甲板掃除は、こっちの喧嘩の罰当番ということになっています。 喧嘩がらみ二連発なので映画では片方が削られているのでしょう。 映画ではジョンヒ(チェ・ミンソ)は潜水艦で「いそかぜ」に近づき、 訓練用の模擬魚雷回収で停船中にアクアラング姿で泳ぎ着き、 「いそかぜ」に乗り込んでいます。 彼女が〈GUSOH〉を持ち込んだとも考えられますが、 画面から見る限り、あとで登場する〈GUSOH〉を詰めた大きなシリンダー (原作ではネストと呼ばれる)を 携帯しているようには見えませんでした。 原作では墜落した旅客機の捜索のため「いそかぜ」は訓練を中断して 墜落海域に急行。浮かんでいる残骸発見で内火艇を下ろして、 生存者捜査にあたり、瀕死の若い女を助け出します。 その内火艇が引き上げの時に鉄製の牽引ワイヤーが断裂し、危うくけが人が出そうになります。 ワイヤーは熱したナイフのようなもので故意に傷つけられたようですが、 では何者の仕業かが問題で、乗組員への公表は伏せられます。 その若い女は意識を回復せぬまま死亡します。 ヘリで遺体は本土に送還されますが、「やけに軽かった」とのちのち噂になります。 「艦内で死んだ女の姿を見た」という噂話が怪談として若い水兵たちに流布されていて、 菊政は仙石に「その女が溝口と一緒にいるのを見た」とひっそり報告します。 幽霊話が不可解な方向に発展していきます。 映画では行は艦長室に潜り込み、デスクの下に倒れて絶命している艦長の首の脈を確認し、 廊下に忍び出ています。 菊政がその姿を目撃し、仙石に報告しかけてためらいます。 映画では少しわかりにくいのですが前の喧嘩騒動で菊政は行を気に入っており、 まだ艦長の死を知らぬため黙っていたようです。 映画では艦長は足元のみの登場で顔を見せていません。 原作では宮津が艦長ですので殺害場面はありませんが、幽霊と溝口を 菊政は目撃しています。 また菊政は内火艇のところで何かしている行の姿も見ています。 それを菊政は仙石に報告しています。 偶然ですが、複数の人物の怪しい振る舞いを菊政はひとりで目撃しており、 本人は無自覚ですが危険な立場に立たされています。 仙石はすぐさま上官に報告しようとはせずに、自分で真相を見極めようとして 逆に出遅れてしまいます。
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