「世界の中心で、愛をさけぶ/純愛青春映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作小説表紙 原作小説 
著者:片山恭一
2001年 小学館刊

    
「世界の中心で、愛を叫ぶ」映画チラシ 2004年 日本映画
脚本:坂元裕二 、伊藤ちひろ
監督:行定勲
出演者:大沢たかお 、柴咲コウ 、長澤まさみ 、森山未來
  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク



「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「17歳のカルテ」主演ウィノナ・ライダー
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「耳をすませば」
制作スタジオ・ジプリ
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
   「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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「世界の中心で、愛をさけぶ」の原作は、
2001年4月の初版本は、わずか8千部が刷られたのみだったそうです。
それが2004年五月までに
300万部を売りさらに売り上げを伸ばしています。

原作もよく書けていますが、
映画の脚本も更に工夫され、
より膨らませて演出されています。

映画しか見ないというのは、この作品についてはとても損な見方です。
後から読むか先に読むかは、その人の好みによるとよりますが、
これは両方お金を払って時間を掛けても充分もとの取れる内容だと思います。
映画の方は、おそらく原作を先に読んだ読者が劇場に来るものと
想定されて作られているのではないでしょうか?
主演の大沢たかおさんは、「これはアンサー・ムービーだ」と答えています。
原作の中で読者に投げかけられた、人間普遍の”愛”の問いかけに、
映画なりの答えを用意しているという意味です。

”死”にはどのような意味があるのか?
すべての人間が死から免れぬはずなのに、どうして愛し合うのか?
それはつまり、人生は何のためにあるのか?という問いかけになります。
つまり人が人たる根拠は何処にあるのか?
こたえは”世界の中心”にある。

原作と映画のノヴェライゼーション「指先の花」の両方が出版されているという
珍しいケースですが、両方見るに値します。
では、原作と映画のあらすじ比較を始めましょう。

映画の冒頭では、高校生の朔(森山未來 テレビ「ウォーター・ボーイ」)と
アキ(長澤まさみ「ロボコン」「黄泉がえり」)が、
病室で窓外の嵐の様子を見ながら「出発できるだろうか」
などと語らう場面から始まっています。

原作では、アキの死後、アキの両親と共に朔が、
アキの遺骨を散骨にオーストラリアへ旅立つところから始まっています。
映画には高校時代の散骨のエピソードそのものがありません。

映画では、大人になった朔太郎(大沢たかお)が職場で目を覚ます場面へ続きます。
上司(天海裕希)に「正社員は土曜出勤ですか?」などと言っています。
「朔太郎の名は、萩原朔太郎から取っている」というエピソードが
この上司とのやり取りの中で出て来ます。
原作では、中学二年の始業式の翌日に足を骨折し入院したクラスメートの大木を、
アキと二人で病院に見舞いに行き、
大木の名が、大木龍之介で芥川龍之介から取られているという話が出るところで、
出てきます。
原作ではこの中学二年のときに、
アキと朔は知り合ったことになっています。

その上司に「恋人とかいないの?台風なんだから、一緒に居なくて良いの?」
と言われて、ブラインドの表を見ると町は曇り空です。

朔太郎の婚約者・律子(柴咲コウ)がアパートで引越し荷物の荷解きをしながら、
実家の父と電話で話しています。
「父さんこそ、だれか良い人いないの?」
どうやら母親のいない娘のようです。
部屋の中を歩き回る様子から、彼女が片足を引きずっていることが分かります。
引越し荷物を整理するうちに、
小さな赤いカーディガンが出てきます。
「まだあったんだ」
律子は頬を緩ませ、鏡の前で羽織って見ます。
よほど小さな頃の服だったようで、肩は通りますが、前のボタンを占められず、
胴も大きくはみ出してしまい、律子は苦笑しますが、その時、
ポケットの中から古いカセットテープがケースごと出てきます。
テープの背には、“86/10/28”と丸みをおびた女の子の筆跡で
書かれています。

律子は家電店を訪ね、ウォークマンを探します。
MDやCD用のウォークマンを勧める店員に
「カセットテープの聞けるウォークマン」と念押しして怪訝な顔をされます。

夜の街の雑踏を歩きながら、
律子はウォークマンにテープを入れて聞きます。
そこから「明日が来るのが怖くて眠れない」と泣き声で訴えるアキの声が流れます。
律子は行き交う人並みの中で立ち尽くし、黙って涙します。
頬を涙が流れ落ちたところで、画面は暗転しメインタイトルが登場。

「世界の中心で、愛を叫ぶ」


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