「悪人/ヒューマン・ミステリー映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

■原作小説
「悪人」 
吉田修一 著
2009年刊(文庫版)
朝日新聞出版刊

    
■映画作品基礎データ
「悪人」
2010年 日本映画
監督:李相日
脚本:吉田修一 李相日
音楽:久石譲
出演:妻夫木聡 深津絵里
本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク

「借りぐらしのアリエッティ」

「告白」

「時をかける少女」(仲里依紗版)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」

「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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芥川賞作家・吉田修一の「悪人」は、
毎日出版文化賞、大佛次郎賞をダブル受賞した長編ミステリーです。
映画化権は争奪戦となり、
10人の著名監督と20社の映画制作会社が名乗りを上げたと言います。

その監督の座は務めるのは『フラガール』で
日本アカデミー賞最優秀作品賞など各賞を総ナメにした李相日。
また、原作者である吉田修一自身が、李監督と共に初めて脚本を手掛け、
音楽には、巨匠・久石譲が参加。
主演は『ジョゼと虎と魚たち』大河ドラマ「天地人」などの妻夫木聡。
ヒロイン役に深津絵里。
その他、岡田将生、満島ひかり、柄本明、樹木希林といった実力派豪華キャストが
集結しています。
本作は、
深津絵里がモントリオール国際映画祭で主演女優賞に輝き話題になりました。

それでは始めます。



/  事件の始まる前
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原作の冒頭は事件現場である
福岡と佐賀の間にある三瀬峠の紹介。

次に若い保険外交員の石橋佳乃を殺した土木作業員が逮捕されたと言う事実。

そして佳乃の久留米の実家の床屋で父、佳男が妻と
娘の話をしているところから始まります。

映画では、
佳男(柄本明)が運動する車の中で佳乃(満島ひかる)と話している
ところが始まりです。

このシーンは映画のオリジナルです。
原作では父と娘は殺害前に電話で話すのが最後ですが、
父親が映画では主要人物のひとりで、
娘との絆がキーワードですので一緒の場面があるべきでしょう。


原作では、
このあと佳乃本人が登場して保険会社の寮
の生活を通じて同僚の沙里、眞子が登場します。

二人の同僚はほんの脇役なので、映画では寮は出さないで、
三人が酒を飲んでいるところから始まってます。

メイキング情報では、李監督は配役の三人にハンディカメラを持たせて
カラオケボックスで歌って来るよう指示したそうです。

撮影カメラを回す前に、まず打ち解けて貰う仕掛けを
とはなかなか興味深いエピソードです。

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佳乃がのぼせる増尾圭吾の話で盛り上がりますが
佳乃がこれから会う約束をしているのは、清水祐一(妻夫木聡)と言う他の男でした。

佳乃は圭吾に繁華街でナンパされて知り合いました。

老舗旅館の息子だという圭吾は、
他に佳乃の身辺にはいないセレブの臭いがある若者で
佳乃の方が一方的に言い寄ろうとしています。
一方、祐一とは携帯の出会い系サイトで知り合ったが
「車の運転とHが上手いだけが取り柄」だと佳乃は言います。


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佳乃は祐一と会うのは乗り気ではありませんが、
祐一は「金を返すから」と夜の公園横の路上を待ち合わせ場所に
指定します。

映画では何のお金か判りにくいのですが、
原作では佳乃は男達に「車代」を請求しています。

つまり援助交際と言うことです。

「振込んでくれ」と言う佳乃に「手渡しする」と祐一は譲りませんが
それだと「もう一度させろ」と言っている事になります。

原作では祐一が下心をもっている事が書かれていますが
後で出て来る「本気で出会いたかった」と言う彼の言葉が
嘘になるので、ぼやかしたとも取れます。

佳乃が待ち合わせ場所に行くと、そこに偶然、圭吾(岡田将生)の車が来ています。

その向こう側に祐一の車も待っているのですが
佳乃は祐一に「振込んでくれ」と言って、圭吾の車に乗って行ってしまいます。

おさまらない祐一は圭吾の車を追いかけます。




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