「墨攻/戦史スペクタクル映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。
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原作小説 「墨攻」 酒見賢一 著 1991年刊 新潮社 |
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原作小説 「墨攻」 森秀樹[漫画家] 久保田千太郎 著 1997年刊 小学館文庫 |
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映画 2006年 中国/日本/香港/韓国映画 監督脚本:ジェィコブ・チャン 出演:アンディ・ラウ |
| 本作原作文庫 本作映画チラシ ■脚本の書き方■ 原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク 「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一 「プラダを着た悪魔」原作=ローレン・ワイズバーガー 「夜のピクニック」原作=恩田陸 「ゲド戦記」原作ル=グウィン 「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン 「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス 「博士の愛した数式」原作小川洋子 「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング 「亡国のイージス」原作福井晴敏 「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ 「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥 「アビエイター」原作ジョン・キーツ 「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー 「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ 「下妻物語」原作嶽本野ばら 「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一 「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン 「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん 「精霊流し」原作さだまさし 「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット 「コンフェッション」原作チャック・バリス 「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ 「魔界転生」原作山田風太郎 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン 「黄泉がえり」原作梶尾真治 「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス 「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック 「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著 「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ 「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ 「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ 「GO」脚本:宮藤官九郎 「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン 「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン 「陰陽師」脚本福田靖 「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス 「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太 「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア 「クロスファイア」脚本山田耕大 「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー 「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン 「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン 「ハンニバル」脚本デビット・マメット 「ホワイトアウト」原作小説真保裕一 「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス 「黒い家」脚本大森寿美男 「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之 「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック 「魔女の宅急便」監督宮崎駿 「リング」脚本高橋洋 「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス 「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン 「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー 「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー 「バラサイト・イブ」脚本君塚良一 「アポロ13号」監督ロン・ハワード 「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ 「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン 「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス 「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン 「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン 「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク 「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム 「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック 「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン 「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ 「ミザリー」原作小説スティーブン・キング 「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン 「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ 「時をかける少女」脚本剣持亘 「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック 「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー 「犬神家の一族」原作小説横溝正史 「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ |
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう! 紀元前370年頃の中国、春秋戦国時代。 趙(ちょう)の大軍が燕(えん)に侵攻しようとしており、 趙と燕の国境にある梁(りょう)城は危機に瀕していた。 百戦錬磨の将軍 巷淹中(こうえんちゅう アン・ソンギ)率いる勇猛な10万の趙軍が 全住民わずか4千人の梁城を目指し迫っていた。 …と始まるのはコミック版と映画版です。 原作小説は第一章の前に、ちょっとした序章があって、 墨翟(ぼくてき)という人物が、 楚(そ)の国の王を諭して宋(そう)への武力侵攻を止めさせた話が出てきます。 が、その帰り道、宋の城下で墨翟が雨宿りしようとすると、 軒下を門番に追い払われてしまいます。 墨翟は「誰のおかげでこの城下が平和なのか知っているか!」と悪態をつくのですが、 相手にされません。 その時、墨翟は功をなすなら人前で、という教訓を得たと 書かれています。 墨翟(尊称の子を付けて“墨子”と呼ばれる)がのちに“墨家”という 武装教団を起こすきっかけとなったエピソードのようです。 この“墨家”きっての戦争職人、革離(かくり アンディ・ラウ)が、 「墨攻」の主人公です。 小説版では第一章の冒頭で、 粗末な身なりをした墨家の革離がたったひとりで梁城に駆けつけ、 城門前に姿を見せますが、 映画では墨家の救援部隊が到着しそうにないと踏んだ 梁王(ワン・チーウェン)は降伏を決断し、革離が梁城に現れた時には、 降伏使者が趙軍のもとに出かけた後、という話しになっています。 細かく言うと、映画ではもっぱら冒頭の字幕やナレーションで済ませている設定の説明を コミックでは荒野を歩く革離が趙軍の行軍と出くわし、 地に伏せて泥をかぶってやり過ごすという絵に見えるエピソードで見せています。 趙と燕の国境は易水が流れていて、 微詳(びしょう)率いる五千の陣が趙側の岸辺にあって、 長期戦の備えをしています。 副官の高賀用(こうがよう)は微詳に、さっそく梁城を攻略しようと 進言しますが微詳は将軍 巷淹中の本隊一万の到着を待つといいます。 微詳は墨家の救援部隊が梁城に向かっていることを明かします。 2人のやり取りを物陰から聞いていた革離は、 このあとひとり易水を泳いで渡ってしまいます。 これは戦場の位置関係、先遣隊の指揮官の顔ぶれ等を紹介するエピソードですが、 趙軍がいかに墨家を恐れているかを1番見せたかったのでしょう。 だだし、微詳らは救援部隊の墨家を五十人とも百人とも見込んでいます。 プロローグの延長に過ぎないので映画ではここいらへんは出てきませんが、 易水は出てきて、 趙軍の陣地と梁城の下手側に位置するよう映画では設定されているようです。 映画ではまだ革離が城門に現れたばかりの場面で、早くも趙軍の先遣隊が姿を現します。 1本の矢で隊長・高賀用(こうがよう サミー・ハン)の出鼻をくじく革離。 1カ月持ちこたえれば趙軍は撤退するはずだと王に説明し、 兵に関する全権を与えられた彼は、さっそく城を守る準備に取りかかります。 十万の敵、というのは映画のみの設定で、 小説では二万、コミック版では一万五千の趙軍が攻めて来るという設定です。 城の住民(邑民 ゆうみんと呼ばれる。)が四千なのは映画も小説もコミックも一緒。 小説では城兵が千五百いることになっていますが、 コミック版では将軍 牛子張(ぎゅうしちょう)はいても訓練された城兵は出てきません。 小説、コミックとも邑民を5人単位の組に分けて武器を作らせ訓練し戦わせており、 ドラマ前半では素人集団を革離が見事な戦闘部隊に鍛え上げるさまが 見せ場となっています。 「七人の侍」等をイメージさせるとても良く出来た面白いエピソード群なのですが 映画でそこから描いていくと三時間を越える大作になりそうです。 映画では弓部隊、騎兵部隊等が出てきますが、人数は不明です。 梁王がいったん降伏を決めてしまい、それが革離登場でひっくり返り、 早くも戦闘に突入するという劇的ですばやくクライマックスに至るドラマ展開が 映画では取られています。 映画では高賀用を追い払ってから、梁王である梁渓の御前に案内されますが、 コミックでは城門に現れた革離はすんなり梁渓の御前に案内されます。 無報酬で篭城技術を指南する墨家にそもそも不審を抱き、加えて態度の大きい革離に 梁渓の息子、梁適(りょうてき)は感情的に革離に反発しますが、革離は相手にせず、 牛将軍どころか梁渓以上の指揮命令権を要求、嫌なら帰ると脅します。 小説では側女といちゃつくのに忙しく姿も見せない梁渓に代わって、 梁適と革離は門前で口論しています。 「半年守ればよい」と言い切る革離に「保障できるか?」と梁適。 「共に戦い、城が落ちる時は私も死ぬのだ。これ以上何を求める」と、 自分の命が証だと革離は梁適を黙らせてしまいます。 映画で高賀用を追い払う際に、革離は弓の矢先に何やら金具を取付けています。 矢の全体のバランスを変え、さらに射掛け方をおおきく 山なりにして矢の飛距離を2倍にしています。 舌戦でやりあうより、戦争職人振りを発揮して映像で実力を示す展開の方が、 映画的には好ましいです。 しかしながら、映画では梁城側が抗戦するのか降伏したいのか、 曖昧な姿勢であるのを革離が強引に抗戦に持っていってしまっている感じがあります。 小説やコミックでは邑民たちを集めて熱弁を振るい、 革離は自分の血を大地にたらしして戦い抜くことを誓ったり、 用意した玉をふたつに割って梁渓に与えたりと芝居がかった真似をしています。 映画で熱弁を振るうのは、囚人たちを駆り出す際ですね。 小説やコミックでも子供と病人以外は皆戦ってもらう、と断言しているのですが、 映画では言葉ではなくて端的なエピソードに置き換えられているわけです。 守り抜く期間については、小説では半年といい、映画では一月と言っています。 これはどちらでもいいのですが、 映画では兵員を十万と倍増して期間を切り上げて短期決戦の戦いにしています。 老若男女を総動員して食糧やさまざまな物資を集め、 あらゆる攻撃に備えて作戦を立てる革離。 小説では城壁を二重にする工事が行われていますが、 映画では城の外に出丸を築いていますね。 全周を二重にするには趙軍の襲来まで時間が無さ過ぎますので、 実用的には城の守りの死角を補う出丸を1ヵ所建設するのが合理的ですが、 はたして春秋戦国時代に出丸建設が考証的に適切であるかどうかは 怪しいです。もっと近代に入ってからのものという気もしますが…。 そして映画では梁適(りょうてき チェ・シウォン)は、 弓兵の子団(しだん ウー・チーロン)が 弓隊の統括に抜擢されたことに激しく反発するが、 子団は彼と実力を競い合って見事に勝ち、革離の正しさを証明します。 大軍が攻めてくることに怯えて逃亡を試みる者もいました。 しかし妻子を連れていた農民の祭丘(さいきゅう リン・ヨンチェン)ら4人は 趙軍に捕まって尋問され、革離の存在が巷淹中に知られることとなります。 巷淹中は梁城の近くまでやって来て、革離に盤上の戦いを挑みます。 そして革離を好敵手と見た彼は実戦での再会を期して帰っていきます。 子団は映画のオリジナル人物。祭丘は小説に出てこずコミックで大活躍します。 コミックの祭丘は農民ながら梁城での革離の最初の理解者になります。 祭丘の妻は出産し、赤子を抱き上げた革離は「この命、守ってみせる」と力強く 宣言し「オラも戦う」と一緒に雄叫びを上げ、以後、革離の手足となって奔走します。 祭丘の役回りがコミックと映画では正反対ですね。 コミックでの獅子奮迅振りは映画では子団と逸悦(いつえつ)にお株を取られ、 映画では趙軍に妻を人質に取られて革離の命を狙う刺客になります。 巷淹中が碁盤のような城の模型を持ち込んで革離に模擬戦を挑むのは、 小説には無いコミックのアイディアですが、これは視覚的にも芝居的にも面白いですね。 しっかり映画でも見せてくれたのでコミックファンの筆者としては満足です。 コミックでは、墨者の駒を革離は一個据えるのみで、 巷淹中に城内の墨者が自分ひとりであることを自ら暴露してしまう きっかけになっていますが、これは不思議です。 映画ではそんなミスは犯しておらず、墨者の数は不明のままですが、 まあ乱戦模様となると数はそう問題ではなくなっています。 コミックでは革離を倒せば戦いが終わることを趙軍側は良く心得ており、 革離の生死が戦闘ごとに常に重要関心事になります。 本当のところ、どちらの展開が優れているのか筆者には判断付きかねます。 そのコミックではすっかり革離をあてにしている梁渓に腹を立てた梁適は革離と対決、 城壁修理の競争をすることに。 革離は王宮の城壁の石垣を崩して使い圧勝します。 コミックの城壁補修の話が映画の子団登用の話に代わっています。 そして映画では出丸の建設が行われますね。 若男女を総動員して食糧やさまざまな物資を集め…、と書きましたが、 小説では城の周囲三十里以内の材木を集め、食料の買い付けをさせているくらいですが、 コミックでは「畑が動く」という物見の知らせがあります。 趙軍の兵士が城の周辺の収穫期の田畑を荒らしていると知った革離は、 これら趙軍の斥候を追い払い、収穫物を城内に運び込ませます。 映画では田畑に水を張れと命じて牛将軍らを慌てさせますが、 これは前述の通り篭城期間を一月と見るか半年とみるかで備え方に違いが有るものと 判断できます。 城壁を二重にするなどの他に小説では、 革離の指揮で弓矢を連続発射する機械兵器などの作製もしていますが、 コミック、映画とも 趙軍側にこれら戦闘兵器が出てきても、梁城側に出て来ることはありません。 考証的には墨家はさまざまな戦闘器具、新兵器の開発に長じていたようですが、 映画では弱者の抵抗がドラマの骨子となっているので、 こうした便利な秘密兵器は出て来ない訳です。 歴史考証を曲げても作品テーマを優先させるべき部分があるわけです。 ドラマ的にひと段落して紹介される革離派遣の事情が、 小説とコミックではニュアンスが異なります。 小説では革離が…
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