「プラダを着た悪魔/サクセス青春映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「プラダを着た悪魔」原作文庫表紙 原作
「プラダを着た悪魔」
2006年刊 早川文庫
ローレン・ワイズバーガー 著
佐竹 史子 訳

    
「ブラダを着た悪魔」映画チラシ 映画
「プラダを着た悪魔」
2006年 アメリカ映画
監督 デヴィッド・フランケル
脚本 アライン・ブロッシュ・マッケンナ
出演 アン・ハサウェイ
  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「ノルウェイの森」

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」

「大奥」

「悪人」

「借りぐらしのアリエッティ」

「告白」

「時をかける少女」(仲里依紗版)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」

「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド
「ライラの冒険 黄金の羅針盤
原作=フィリップ・プルマン
「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「佐賀のがばいばあちゃん」原作=島田洋七
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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「プラダを着た悪魔」は、
「ランウェイ」という架空のファッション誌のミランダという編集長と
その新人アシスタントの話です。
華麗なファッション業界、出版業界の裏側を描いた小説として
センセーショナルな話題を呼びました。
作者のローレン・ワイズバーガーは「ヴォーグ」米国版の編集部に就職し、
編集長のアシスタントを九ヶ月勤めたのちに旅行雑誌の編集部に転職しています。
で、ミランダのモデルは「ヴォーグ」の絶大な権力を持つ凄腕編集長、
米国ファッション界で知らない人は無いカリスマ、暴君、女帝の
アナ・ウィンター女史のようです。

「ブリジット・ジョーンズの日記」のOLぼやき系小説、
に対して鬼上司と丁々発止と戦う「プラダを着た悪魔」のアンドレアの姿は
痛快であります。
監督は、アメリカのTV史上最もファッショナブルな番組として流行った
「セックス・アンド・ザ・シティ」を手がけているデヴィッド・フランケル。
衣裳デザインは、同番組のサラ・ジェシカ・パーカーの着こなしを通じて、
様々なトレンドを作り上げてきたパトリシア・フィールド。
タイトルのプラダはもとより、シャネル、ドルチェ&ガッバーナ、ジョン ガリアーノ、
エルメスなど、
まばゆいばかりのブランドのアイテムをふんだんに使い、
モードの最前線を心ゆくまで楽しませてくれます。

映画の冒頭は、
寝床から這い出し、身支度を整えて会社面接に出かけていく、
アンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)からはじまっています。
交互にインサートされるのは、
のちに同僚となるシニア・アシスタントのエミリー(エミリー・ブライト)です。
アンドレアがカジュアルな服装であるのに対し、
エイミーは服や靴選び、メイクに余念がありません。
同居しているボーイフレンド・ネイト(エイドリアン・グレニアー)に声を掛けられて
アンドレアは朝食も取らずに飛び出していきますが、
出かける前に黒い裏紙を当てた新聞記事のスクラップを見つめています。
後でこれが大学時代に学生新聞で彼女が書いた(あるいは編集した)
記事のスクラップであると判ります。
途中でスタンドのバーガーをほおばり、朝食のかわり。

原作の方は、車の運転席で四苦八苦しているジュニア・アシスタントのアンドレアが、
ミランダからの携帯の電話に悲鳴を上げているところから始まります。
彼女は、
ディーラーに修理に出ている彼女のポルシェを引き取り、
途中でペットの犬を引き取り、
息を切らしてオフィスに戻ると、ミランダにのろま扱いされます。
話はそこから戻って、
はじめて面接を受けたところから始まります。

ミランダの横暴ぶりはほぼ全編に渡って繰り広げられるので、
とくに冒頭で繰り返す必要は無いですね。
むしろヒロインの紹介から入るのが良いので、
ここは一見平凡でも、映画の始まり方が良しと考えられます。

原作ではアンドレアは「ランウェイ」の編集部内をいろんな人物に面接して歩く
事になりますが、
映画ではそんなまだるっこしいことはせずに、
ストレートにミランダのオフィスに行き、エミリーに会った後に、
ミランダと直接対面しています。
正確に言うと、のちにアンドレアの味方になってくれる、
ミランダの右腕をつとめるファッション・ディレクターの
ナイジェル(スタンリー・トウッチ)から、
「オニオンの臭いがする」と言われて慌てて、ミネラルウォーターで口をすすぐ
場面がありすね。
スタンドのバーガーをかじってオフィスに来たためです。
原作の方では、ナイジェルは他の編集者に埋もれてしまって存在感がないですね。
エミリー以外では、編集部内で名前のわかる人物は彼くらいで、
映画では重要人物の一人です。

“百万人もが望む仕事、と言われているが、どうして私に巡ってきたのかと言う
疑問に答えてくれる人はいなかった“と原作にあります。
つまりそれだけミランダという人は厄介な人物で、
実際に彼女のアシスタントが務まる者などめったにいなくて…。
でも一刻も早く、この難物のお守り役をあてがわない事には、
周囲の人間がたまったものではない、といった事情が背後にあるのですが、
「つい最近も、立て続けに新入ふたりをクビにしたばかり。」
というエミリーのセリフがあるだけで、あとは
映画では、ミランダの出社時間が繰り上がって、
大騒動してオフィスの清掃と身支度の見直しに編集部員達が死に物狂いで駆け回り、
その嵐の真っ只中で、アンドレアが目を白黒させるというリズミカルな
演出に変更されています。
この編集部大騒動と言うのは、
文庫版原作の上巻も半ば、
パリに、双子の娘とともに出かけていたミランダが、
帰国後、翌週出社と言うのを繰り上げて突然、出社してきて大騒動、
というエピソードを前に持ってきています。

面接の話に戻すと、
原作では肝心のミランダとアンドレアの面接のやり取りが映画の半分もありません。
その前のエミリーがアンドレアのダサい姿を見て、
やってきたミランダにまともに取り次ごうとさえしない場面も無いですね。
アンドレアは編集長にご対面するまでに会った人々のファッショナブルないでたちに、
すっかり怖気づいてしまい、
自分が如何に場違いな存在であるか、その弁明から始める羽目になってしまいます。
弁明そのものは映画のアンドレアもやっているのですが、
映画のミランダが、
「スタイルもセンスもゼロね」と、アンドレアを鼻であしらい、
「別にこれは質問ではなくってよ」とダメ押しされると、
アンドレアは負けん気を起こして
「確かにファッションのことは知らないけれど、賢くて
覚えが早くてよく働きます!」と、精一杯自分をアピール。
応戦するという芝居の組立になっています。
もともと彼女は名門私立のノースウェスタン大学在学中に
学生新聞の編集長として幾つもの賞を取っており、
超名門私立スタンフォード大学のロースクールに合格するもののこれを躊躇なく蹴り,
マスコミ界に乗り込む野心家なのです。

映画と原作のキャラクターの立て方の相違ですが、
映画のアンドレアは、まずファッションに興味が無いだけでなく、
ファッション誌の編集部に長居するつもりが無い点を強調していますね。
「車雑誌かファッション誌かどちらかと言われた」とセリフにあります。
これは映画のオリジナルです。
彼女は、恐れ多くもミランダ・プリーストリーが何者かを知らなかったのです。
このあと面接合格の知らせを受けてびっくりと言う事ですが、
原作では、アンドレアが一年もてば好きな編集部に行けるようミランダが
推薦するという約束がなされているという話になっています。
映画ではミランダの下で一年持てば大抵の編集部で仕事が出来るという
話だけです。
ミランダが自ら推薦するというのは、なんだか変な話ですが。
これも原作上巻を半分近く読み進めていって、
アンドレアが出版社の常雇いの社員としてではなく、
一年契約のアシスタント契約をしているに過ぎないと判りました。
…原作はアンドレアの一人称で書かれているため、
彼女の主観描写によるミランダへの恨み言が圧倒的で、
ドラマを読み解く上で必要な基本的な設定情報等がどこにあるのか
判りにくいですねぇ。
筆者泣かせではあります
ためいき。

初出社の前に原作では
アンドレアがインターネットで
ミランダの過去を調べるというくだりがあります。

イギリス訛りの英語を綺麗にしゃべるミランダは、
実は…


この続きの原作比較レビューは
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