「パラサイト・イブ/バイオホラー脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意
原作小説「パラサイト・イブ」 角川書店 95年初版 画像は角川ホラー文庫版 瀬名秀明 著 |
日本映画 1997年 「パラサイト・イブ」 監督:落合正幸 脚本:君塚良一 (「踊る大捜査網」) 出演者:三上博史 、葉月里緒菜 、別所哲也 、中嶋朋子 、稲垣吾郎 音楽:久石譲 |
第2回日本ホラー小説大賞大賞受賞作「パラサイト・イブ」の映画化作品です。
これでホラー小説大賞の映画化作品を対比レビューですべて取り上げた事になります。
原作者、瀬名秀明は現役の生化学研究者です。
バラサイトというのは、寄生虫のことです。
原作者によると宿主である人間の細胞の中にある
ミトコンドリアは細胞核同様、遺伝子を持っているのだそうです。
もともとミトコンドリアは、独立した単細胞生物で、
太古の昔、動物細胞の中に入り込んで共生関係となり、
そのまま人類にまで進化したとしています。
このミトコンドリアが、細胞の中で造反を企て、
人類を越える超生物へと進化の暴走を始めると言うお話を
ホラー小説として描いています。
フジテレビと角川書店共同で製作、
脚色に「踊る大捜査線」の君塚良一、
音楽に北野武、宮崎駿の一連の映画作品で知られる久石穣、
出演陣が三上博史、葉月里緒菜、別所哲也 、中嶋朋子
、稲垣吾郎
という強力布陣です。
原作はまず、永島聖美(葉月里緒菜)の交通事故から始まります。
映画は、夫で薬学部研究員の利明(三上博史)、助手の朝倉佐知子(中島朋子)、腎臓移植を待つ麻理子、
麻理子の担当医・吉住(別役哲也)などの主要登場人物の紹介が終わった後、交通事故が起こります。
聖美は自分で車を運転中単独事故を起こし、脳死状態となります。
彼女は腎バンクにドナー登録していて、
移植コーディネーター織田(万田久子)が移植手術の手続きに現れるが、
利明は動揺して移植を拒否、吉住が利明の元に押し掛けます。
吉住は麻理子に移植手術に一度失敗しており、
今度こそ成功させたいと熱っぽく語ります。
これは逸脱行為で、原作には無い描写です。
原作にも移植手術に失敗した話は出てくるのですが、
それは麻理子に再移植手術を承諾させる過程で出ててきます。
彼女は以前の失敗がトラウマとなり、手術を嫌がっているのですが、
映画はそこいら辺を飛ばして、吉住に台詞で事情をしゃべらせています。
利明は、吉住に妻聖美の肝臓を取り出してくれたら、移植に応ずると言う
奇妙な交換条件を出します。
吉住は聖美からの腎臓、肝臓の摘出、麻理子への移植を助手(稲垣吾郎)とともに手がけます。
原作では肝臓の取り出しは篠原という別の医師が行っています。
映画では吉住は篠原と2人分の役回りを吉住一人で引き受けています。
扱いが少し膨らませられています。
利明は、聖美の肝臓を大学の実験室に持ち込み、「イブ」と書き込んだシャーレの中で
肝細胞の育成を始めます。
夜な夜な顕微鏡を覗いては「聖美、聖美」と呼びかけると言う
マッドサイエンスっぽい行動を取ります。
利明は、別に細胞に何か操作をすると言うことは無いのですが、
聖美の肝臓は培養器の中で異常繁殖を始めます。
それは顕微鏡の視野の中で大きな細胞塊となり、
聖美の顔となって、トシアキ、トシアキと呼びかけてくるようになります。
本作品の原作比較レビューの続きは
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