「ホームレス中学生/タレント本から青春家族愛映画脚本を書くには」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「ホームレス中学生」原作小説 ■原作
「ホームレス中学生」
田村 裕 著
2007年刊 ワニブックス刊

    
「ホームレス中学生」映画チラシ ■作品基礎データ
「ホームレス中学生」
2008年 日本映画
監督:古厩智之
脚本:後藤法子 古厩智之
出演:福山雅治

  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「容疑者Xの献身」


「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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┌─────────┐
   物語の出だし
└─────────┘

映画は、クラスメイトとふざけている中学2年生の田村裕(小池徹平)の
顔のアップからはじまっています。

それは一学期の終業式の曰の教室です。

担任の工藤先生(黒谷友香)が登場、
悪友のよしやも出ており、
下校時には、裕に言い寄る女生徒 村岡知恵
も姿を見せています。

勉強はいまいちだが、ひょうきんで人気者の田村裕の夏休みは、
部活や友人とのキャンプ、思いを寄せる女の子
との映画デートなど前向きな予定でいっぱいだ、という導入部に
あとで出てくる登場人物たちが次々に顔見せしています。

こうしたイントロは、いわばドラマ映画の常套手段です。
このイントロは原作にはありません。
原作の方は、まず冒頭に衝撃があります。

// //
☆ ☆

晴れやかな気持ちで裕が帰宅をすると、見覚えのある家具類が
外に放置され、
差し押さえのテープが張られた自宅マンションに入ることができません。

相次いで帰宅した姉・幸子と兄・研一も
事態を飲み込めない様子。

しばらくすると、父一朗が自転車に乗って
瓢々とやってきました。

「まことに残念ではございますが、
家の方には入れなくなりました。
厳しいとは思いますが、
各々頑張って生きて下さい。……解散!」。

何ら悪びれずそう言い放つと、あっけにとられる
三人を残し、自転車で軽やかに去っていってしまいます。

頼れる親族がいない3人は、身の周りのものをバッグに詰め、
ひとまず自分たちの力で暮らしていこうとします。
すると、裕が笑顔を見せて言いました。
「俺のことは心配いらんよ。
一人で大丈夫やから。
泊めてくれる友達おるもん」

ひきとめる兄姉をおして駆け出す裕でしたが、
本当は行くあてなどない。
学生で経済力のない兄姉の負担にならぬよう思いやったのです。

映画のこの自宅での父親の解散宣言シーンが、
原作の冒頭になっています。

姉・幸子役の池脇千鶴と兄・研一役の西野亮廣、
そして父一朗役のイッセー尾形らが登場しています。

原作では、
引き止める兄姉を説き伏せて裕は去っていきますが、
幾らなんでもこれを芝居で見せるのは無理があるので、
映画では、
隣家のおばちゃん、紅萬子が田村家の山積みの荷物に
驚きの声をあげ、兄姉の注意がおばちゃんの方に向いた瞬間に、
走って逃げる、という芝居に置き換えられています。

┌──────────┐
    まきふん公園
└──────────┘

裕が辿り着いたのは、巨大なウンコ型のすべり台で有名な
まきふん公園でした。

まきふん公園、というのは当然ニックネームで、
大阪府吹田市内の実在の市立の公園です。

原作や映画では触れられる事はありませんが、
吹田市は大阪万国博の開催都市で、
現在も万博記念公園の「太陽の塔」が、
大阪北部のベットタウンである団地群を見守っています。

映画の撮影は3月に行われ大阪市内のロケでは
「夏休みの冒険」という作品コンセプトに合いません。
映画では
沖縄県浦添市の公園でロケが行われたそうです。

で、問題のウンコ型のすべり台は、
京都で制作され、3つに解体されて沖縄に
運ばれたそうで、
目立たないところで制作費のかかっている映画です。

// //
☆ ☆

まきふん公園に寝床を確保したものの、
公園生活には難敵がたくさんありました。

真夏の暑さ、底をついた所持金、激しい空腹感、
草むらで用を足すときに出没する野良犬、
裕を「ウンコのオバケ」呼ばわりする子供たち、暴風雨……。
そして、家族連れや友達同±で
にぎわう公園に、たったひとりでいることの孤独。

このホームレス生活が、
いわばこの作品の肝なのですが、
原作と映画ではエピソードの並び順が違っていて、
硬軟取り混ぜてランダムに登場するのが原作なら、
どんどんダメージが大きくなっていくのが映画です。

日中、エアコンの効いた図書館で過ごすような平凡な
部分は映画ではカットされ、
脱糞中に野良犬とにらみ合ったり、
近所の小学生と滑り台の取り合いで石の投げ合いになったりと、
笑えるエピソードが前半に、
パンを盗みそうになったり、
雑草を食べたりするのは後半に持ってきています。

なぜか脱糞がらみのエピソードは繰り返され、
クラスメイトの女の子に再会して振られるのも
脱糞中。

にわか雨に打たれてシャワー代わりに身体を洗うのは、
映画も原作も一緒ですが、
雨に振り込まれて、
電話ボックスで震えるのは映画のオリジナルで、
そのあとで雑草を食べるシーンが、
あわせ技で登場しています。

笑いから泣きに持っていくのは、
映画の常套手段ですが、
原作では前の方で語られるおかあさんの思い出が、
裕が心身ともに弱り切ったところで、
とどめを刺すように出てきます。

観客に泣け泣けと迫るわけです。笑

曰を追うごとに心身のスタミナがすり減ってゆく
裕の脳裏に浮かぶのは、
亡き母・京子(古手川祐子)のこと…


この続きの原作比較レビューは
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