「アイデン&ティティ/青春ロックシンガーもの脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「アイデン&ティティ」原作コミック 原作小説 「アイデン&ティティ 24歳/27歳」
みうらじゅん 著
1998年 角川文庫

    
「アイデン&ティティ」映画チラシ 「アイデン&ティティ」
2003年 日本映画
監督:田口トモロヲ
脚本:宮藤官九郎
出演者:峯田和伸

  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
原作J.R.R.トールキン

「アイデン&ティティ」
原作みうらじゅん

「精霊流し」
原作さだまさし

「マッチスティック・メン」
監督リドリー・スコット
「コンフェッション」
原作チャック・バリス
「ソラリス」
監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」
原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」
原作梶尾真治
「レッドドラゴン」
原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」
原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」
J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」
主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」
原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」
原作小説H・G・ウェルズ

「GO」
脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」
脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」

監督ティム・バートン

「陰陽師」
脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」

脚本アンドリュー・デイヴィス

「バトル・ロワイヤル」

脚本深作健太

「クロスファイア」
脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」
監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」
原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」
脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」
脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」
原作小説真保裕一
「リプリー」
原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」
脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」
脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」
脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」
監督宮崎駿
「リング」
脚本高橋洋
「コンタクト」
監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」
脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」
原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」
監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」
脚本君塚良一
「アポロ13号」
監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」
脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」
脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」
脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」
原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」
原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」
脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」
原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」
主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」
原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」
脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」
脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」
原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」
監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」
原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」
脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」
原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」
監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」
原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」

監督フランシス・F・コッポラ


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原作は92年に刊行され、
ミュージシャンのバイブルとも呼はれる
みうらじゅんの伝説的なコミック「アイデン&ティティ」。
その作品をみうら氏の盟友であり、
自らミュージシャンとしての経験も持つ
俳優の田口トモロヲが初めて監督を手掛けています。
さらに役者・演出家・脚本家として
映画・舞台・TVに幅広く活躍する宮藤官九郎が脚本を担当。
撮影には『ホテル・ハイビスカス』の高間賢治、
編集に『ピンポン』の上野聡一と万全の布陣で製作されています。

映画の冒頭、原作者のみうらじゅん氏はじめ、
“たま”の石川浩司、“筋肉少女帯”の大槻ケンジらが
かつてのバンドブームをインタビューで語っています。

そして場面は
ロックバンド“SPEED WAY(スピードウェイ)”が、
高円寺のスタジオで練習しているところへ。
メンバーは、ギターの中島(峯田和伸)、
ボーカルのジョニー(中村獅童)、
ベースのトシ(大森南朋)、
ドラムの豆蔵(マギー)の4人。

メジャーデビューを果たし、
1stシングル『悪魔とドライブ』がヒットしているにもかかわらず、
彼らの生活は何も変わっていませんでした。
仲の良さも相変わらずでしたが、
それぞれが「売れる歌」と「ほんとうに歌いたい歌」の狭間で
苦悩し始めていました。

ここまでは状況の説明で、
原作には出てこない部分です。
映画は03年も押し詰まって発表されています。
バブル時代の真っ只中、
テレビの深夜番組「いかすバンド天国」のヒットで
沸き起こったアマチュアバンドブームは一昔も前の話、
あのころ、オリコンに華々しく登場したロックバンドの大半は、
バブルがはじけるその前に綺麗に消えうせ、
映画の観客には、その十年の空白を説明しておく必要があります。

スタジオでの練習とか、居酒屋でうだうだやっているとことか、
本来偉くつまらない場面の連続なのですが、
クドカンさんの小気味よい台詞回しで退屈させません。
「ロックは怪物なんだよ。ツェッペリンがゴジラなら、
俺達はメカゴジラにならなきゃ駄目なんだよ」
というセリフはクドカンさんのオリジナルです。

正確に言うと、映画は92年が舞台と言うことでよいのでしょうか?
携帯電話など出てこないのがそれらしいのですが、
風俗などで今とそう違いがあるわけではないので、
まあ、現在が舞台でも特におかしくはありません。
主人公のダサい下宿はーー、ああいった下宿は時代にかかわり無く
ありそうです。

あらためて調べ直すと、古い型のディスクトップPCが画面の端に
出てきたりと、これはやつぱり92年ですね。
街中のロケがそのままですので、ちと判りにくかったのです。

さて、原作と同じ展開になるのは、
中島が自分の下宿に戻ってくるところからです。

その夜、書けない詞と曲の前で悶絶している中島の部屋に、
ハーモニカを持った男(=ロックの神様)が現れます。
その突然の訪問に驚きながらも、
中島は“ディラン”に似たこの神様を部屋に泊めます。

この日からロックの神様は度々、中島の前にだけ姿を見せるようになります。
ライブ会場にも、ファンの女の子と寝ている最中にも…。
その度に、ロックと一番遠い存在になっている自分への羞恥心を深めていく中島。

ささやかな違いですが、
原作では中島は自分の下宿の部屋にファンの女の子を
引き込んでHをしてますが、
もっぱら映画ではラブホテルだったり、高速道路のガード下だったりしています。
あとで“彼女”とベッドインするのが、
中島の部屋であるのを際立たせるための演出でしょうが、
ファックの傍らでディランが立っている映画の演出は、
笑える範囲ですが、
原作のように押入れの中でハーモニカを吹くところまでいってしまうと、
絵的にさまにならなさ過ぎそうです。

原作ではハーモニカの男は、自ら「ボブ・ディランである」と
名乗っていますが、映画では「もしかしてボブ・ディラン?」と
中島の方が万年床から這いずり出てきます。
見せ方の違いかもしれませんが、
絵で見せるコミックと役者が演ずる映画で
同じ方法が通用するものではありませんので、
ここはマフラーで口元を覆った怪しげな男に
「ちがう、でも君がそう呼びたいなら、そうすればいい」と
突っぱねさせた方がムードがあります。

メンバーにディランの話をすると
「しゃべったのか?」「いや、でもわかるんだ」
このセリフは実は映画のみのやり取りです。
ディランがハーモニカを吹くと、中島には彼の言いたいことが判る、
というのは映画も原作も同じで、映画では字幕をその都度かぶせています。
まあ、たとえモノローグでも、ボブ・ディランが日本語しゃべっちゃ変ですし、
さりとて英語でしゃべって中島か同じ場面でうなづくというのもいただけません。
あれは、ああいう風にしか演出しようが無かったでしょう。
その意味でアニメより実写は表現方法が限られるといえそうです。

中島が大学時代から付き合っている“彼女” (麻生久美子)が出てくるのが、
中島達が”楽器を持たないツアー”に出かける前後なのは原作と一緒。
レコード店での店頭握手会ですが、スピードウェイとかかれた襷をするあたりは
かなり自虐的です。

“彼女”は原作では…



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