「ジャンパー/ヤングアダルト小説からSF映画脚本を書くには」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「ジャンパー」原作文庫表紙 ■原作小説
「ジャンパー」
スティーヴン・グールド 著
公手成幸 訳
2008年刊 早川文庫

    
「ジャンパー」映画チラシ ■作品基礎データ
「ジャンパー」
2007年 アメリカ映画
監督:ダク・リーマン
脚本:デヴィッド・S・ゴイヤー サイモン・キンバーグ ジム・ウールス
出演:ヘイデン・クリステンセン

  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武「新コンテンツ」です。
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ


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ミシガン州で育ったデヴィッド(ヘイデン・クリステンセン)は、
同級生のミリーに思いを寄せる、ごく普通の高校生だった。
しかし、川で溺れそうになったとき、
彼は自分に備わった途方もない“才能”に気づくことになる。
冷たい川底から一瞬にして、図書館へと“ジャンプ”していたのだ! 
 
 母が家を出て以来、
人が変わってしまった父との生活にうんざりしていたデヴィッドは、
1人ニューヨークへと向かった。
15歳の彼が生きていくため次に瞬間移動したのは、銀行の金庫室だった。
まんまと大金をせしめたデヴィッドだが、その存在に気づいた男がいた。
“ジャンパー”を悪とみなし、彼らの抹殺を使命とする組織、
“パラディン”のローランド(サミュエル・L・ジャクソン)である。
 
 10年後、デヴィッドはニューヨークからロンドンへ、
オーストラリアの海へ、東京の繁華街へ、エジプトのスフィンクスへと飛び回り、
“ジャンパー”の特権を謳歌していた。
しかし、孤独だった。
そんなとき、ミリーと再会を果たし、
ローマでのデートに誘うデヴィッド。
楽しいひとときを過ごした二人の前に、グリフィンという青年が現れる。
彼もまた、“ジャンパー”の一人だったのだ。
戸惑うデヴィッドは“パラディン”たちの襲撃に遭い、
“ジャンパー”の宿命、そして母が秘めていた重大な秘密を知る……。 

『スター・ウォーズ』シリーズのヘイデン・クリステンセンと
サミュエル・L・ジャクソンが再び競演を果たし、
監督は『ボーン・アイデンティティ』『Mr.&Mrs.スミス』の
ダグ・リーマン。
スティーヴン・グールドのヤング・アダルト小説
「ジャンパー 跳ぶ少年」が原作です。
これは映画の公開にあわせて「ジャンパー」と副題の方が取られてますね。

ニューヨーク、ロンドン、オーストラリア、
サハラ砂漠、上海、パリ、ローマ、香港、そして東京と、
世界各国でかつてない規模のロケを決行し、
デジタル合成で次々にジャンプするスタイリッシュな映像が命の作品です。

著者のスティーヴン・グールド(Steven Gould)は
ニューメキシコ州在住のSF作家。
1955年生まれ。父が軍人だったため、
アメリカ、台湾、ドイツ、インド、タイなどの各地で成長しました。
大学を中退し、さまざまな職についたのち、
コンピュータ関係の仕事についています。
ある創作講座で書いた短篇がシオドア・スタージョンの目にとまり、
その作品で80年にデビュー。
以後も短篇を書きつづけ、88年発表の短篇「マッド・モリイに桃を」は、
ヒューゴー・ネビュラ両賞の候補となっています。

設定や主人公デヴィッド、
ガールフレンドになるミリーなどの登場人物は同じなのですが、
ストーリーは大分違う、と言うより映画はほとんどオリジナルのようです。

この小説は米国では1992年に発表されたようで(日本では’97に出版)
もう15年以上前の作品ということになります。
当然9・11が起こる前ですから、
世界貿易センタービルも出てくるし、
後半はデヴィッドが追う敵としてアラブ系のテロリストが登場するようです。

映画でも父親との確執はありましたが、
本でははっきりと父親のDVによって母親がいなくなり、
又デヴィッド自身も虐待され、父親を憎んでいることとなっているようです。
映画にもなあんとなく、それらしい雰囲気はあったのだけど、

その父親の暴力から逃れる為に自分がジャンパーであることを知ることになりますが、
原作ではデヴィッドがジャンプできる条件は
『自分が行ったことがある場所で記憶に非常に強く残っている場所にしか
ジャンプできない」ということです。
映画では絵葉書をたくさん壁に貼り付けて世界にジャンプしていましたが、
そこが違わけで、
行きだけ飛行機を使って帰りはジャンプで帰ってきたりと、
そう簡単に世界旅行ができるというわけでもなく結構工夫したりする様子が
面白かったです。

冒頭で犯罪によってお金を得るところは同じですが、
デヴィッドはものすごい読書家で知識は全て本から仕入れています。
自宅を追われそうになってジャンプで引っ越すときも
本だけは持っていこうとするなどの行動が見られます。
――ジャンプの基準点が図書館であることが、それで納得できますね。

ミリーは原作では同級生でなく、年上の大学生になっています。
一種のマザコンである彼にとっては、
年上の人に母親の影をも追っていたのでしょうか。
親しくなっていく過程は映画と同じです。
ドラマが急変するのは、
彼がやっとお母さんをみつけだしたとたんに、
その母親はシーア派のテロリストによりハイジャックされた飛行機に乗っていて、
人質の一人として運悪く殺されてしまうくだりからです

ここから後はデヴィッドの復讐劇になります。
母親を殺したそのハイジャックの指導者マタールを、
探し出し、制裁を下そうとジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!
またそれと同時にそうなってしまったのは父親のせいでもあると思っているので、
父親に対する復讐心も消えることがなく彼なりに父親との決着をつけようとします。
そして、彼自身も偽造IDの発覚などで当局から追われる身にもなるわけで、
その追いかけっこも見せ場として読ませるようです。

物語の背景としてイラン・イラク戦争のことや、
中東とアメリカの関係なども出てきます。
そんな国際情勢と、
少年の母親や父親への気持ちの葛藤などが織り交ざった原作は、
映画より大分複雑な小説のようです。
ラストもキッパリとした結論がでるわけではなく、
若い彼のこれからの希望のようなものが残されたままで終わります。

原作もジャンプに関しての科学的な説明などはなく、
また、ジャンパーはデヴィッドただ一人だけ。
映画はパラディンというジャンパー狩りの組織と、
デヴィッドと同じジャンパーの仲間グリフィンを登場させることで、
ヴァーサスものというスタンツを獲得しています。

映画化にあたり、
著者は映画のプレストーリー的な『ジャンパー グリフィンの物語』を書いており、
そちらでは原作には「跳ぶ少年」には出てこないグリフィンの物語が
語られているとの事です。

予告編やテレビCMがスタイリッシュでかっこよかったですが、
映画の掲示板では結構たたかれていたので、
それなりのもんと思って見に行きましたが、
期待してなかった分、面白かったです。
ヘイデン・クリステンセン VS サミュエル・L・ジャクソン
だなんてまるでスター・ウォーズのリターンマッチのようです。

主人公デヴィッドが感情移入できない悪党、と評判悪いですが、
原作がヤング・アダルト小説といいますから、この程度、
斜に構えた主人公でも変ということはないと思うんだけどな。
と、ここまでは一応褒め言葉。

映画は三部作の一作目との事ですが、
別にシリーズ化しても同じことの繰り返しなんじゃないかなと…


この続きの原作比較レビューは
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