「コクリコ坂から/初恋青春アニメ映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

■原作小説
「コクリコ坂から」
2011年 角川文庫刊
原作:作画 高橋千鶴・原作 佐山哲郎
(『なかよし』(講談社)にて1980年1月号から同年8月号まで連載された。全8話。
単行本は同社より全2巻が刊行された。原作比較では角川文庫版を参照した。)

    
■映画作品基礎データ
「コクリコ坂から」
2011年 日本映画
企画:宮崎 駿
監督:宮崎吾朗
脚本:宮崎 駿・丹羽圭子
声の出演:長澤まさみ 岡田准一
主題歌:手嶌 葵「さよならの夏~コクリコ坂から~」
アニメーション制作:スタジオジブリ
本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク

「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」

「もしドラ」

「まほろ駅前多田便利軒」

「わたしを離さないで」

「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」
「ノルウェイの森」

「大奥」

「悪人」

「借りぐらしのアリエッティ」

「告白」

「時をかける少女」(仲里依紗版)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」

「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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時代は1963年(昭和38年)の横浜―
映画の冒頭は、丘に建つコクリコ荘から横浜の海を見下ろす情景。

タイトルの「コクリコ」はフランス語で「ヒナゲシ」を意味します。

下宿屋を営んでいるコクリコ荘。

ヒロイン松崎海(まつざきうみ・声優:長澤まさみ)の朝は早い。

まだみんなが寝ている中に起き出し、すばやく髪を三つ編みにまとめ、
階下に降りて父の遺影に花を添え、水を替える。

そして毎朝欠かさない日課。
海に向かった庭に建つ信号旗を掲げます。
信号の意味は「航海の安全を祈る」。

その前を通るタグボートには、実は風間俊(かざましゅん・岡田准一)
が乗っています。
風間は父親が乗るタグボートに登校の際に便乗させてもらっています。

タグボートから「ありがとう」の信号旗を掲げて応える風間俊。
しかし海のいる庭からはそれは見えません。

そして海が台所でかっぽう着に着替え、朝食の支度を始める頃、
やっとコクリコ荘の住人がひとり、ふたりと起き出してきます。

コクリコ荘の朝は、多くの人間が入り乱れて実ににぎやか。
下宿人たちと家族たちの朝食から弁当までをつくり、あわただしく登校する海。


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原作コミックの時代は”現在”。
当然、原作の描かれた1980年を”現在”としています。

コクリコ荘の朝から始まるのは同じで、
海が朝食の支度をしている点等も一緒ですが、信号旗を掲げるところは、
映画では海がひとりで揚げているのに対し、
原作コミックでは”朝礼”と称して下宿人達を出席させています。

映画では死んだ父に対して揚げている事が分かるのは中盤以降ですが、
原作コミックでは朝礼直後、
妹の空と口論になり海が父の死を受け入れていないことがすぐ判ります。

映画では俊の父はタグボートの船長ですが、
原作コミックでは町の写真屋さんです。


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海が登校してみると、
クラスメイトに呼びとめられます。

学園で毎週発行されている新聞「週刊カルチェラタン」に、
どうも海のことと思える詩が掲載されていたからです。

文芸部長である風間俊が書いた詩らしいといわれ、
ドギマギする海。

ちょうど学校では、
部室棟である木造の旧校舎「清流荘(カルチェラタン)」
の取り壊し反対運動が起きていました。

その中で文芸部長の俊は、
取り壊しに抗議するため旧校舎の屋根から防火用水槽に飛び込むという
「伝統の」パフォーマンスをやらかし、
それを助けに海が駆け寄って手を握り合い、
しかもその決定的瞬間を待ち構えていた写真部員に撮られてしまいます。

反対派の生徒に「してやられた」ことに憤慨する海だったが…この瞬間から、
風間俊に対して特別な感情を持つようになります。


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学校新聞に詩が載るのは原作コミックでは、
海が二度目に記事になった時で一度目は”ミスおさげ”。

「清流荘」の話は原作コミックには登場せず、
学生達は制服か服装自由化かで揉めています。

俊が校舎の窓から飛び降りるのは、学校新聞を盛り上げる為で、
清流荘は出て来ないのだから始めから関係なし。

落ちた俊と海が手を取り合うシーンはなく、
ふたりが出会うのは弟、陸(映画では妹、空)に
俊のサインをせがまれて訪ねるところでです。

帰宅後、海は祖母である花(まつざきはな・声優:竹下景子)
の住むコクリコ荘の離れに出向いていた。

原作コミックでは別居中の祖父もいる事になっていますが、
映画では登場しません。

下宿屋であるコクリコ荘では、海が家計も含めてコクリコ荘の経営まで引き受け、
大家である花に収支を報告しています。

行方不明の父のために毎日旗をあげ、
家族の世話から下宿屋の収支まですべてをこなす海を気づかう花。

夕方になり、朝にあげた旗を降ろす海。
突如、空から飛び降りる風間俊の姿が重なりはっとします。

コクリコ荘の食堂ではキャベツを刻む海の後ろで空、牧村、広小路の3人が
風間俊のファンクラブを作るなどとにぎやかにおしゃべりしています。

夜、ひとり部屋で家族写真を見つめて物思いにふける海。
しかし考えているのは風間のことです。
港南学園の掲示板に張り出された「週刊カルチェラタン」では、
風間俊の“飛び込み”がトップ記事になっていました。
当然、俊の手を取る海の写真も―。


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┗┿ │◆◇◆    カルチェラタン             ◆◇◆
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海の妹の空は、風間俊のファンになっていて、
生写真を30円で買っていました。

それにサインがほしいので、
一緒に海に風間のいる文芸部まで付いてきてくれ、
といいだし海はしぶしぶ空と共に。

おそるおそる入った旧校舎「カルチェラタン」は、
真ん中が吹き抜けのホールになっていて、
内部はまるでゴミ集積場のような“要塞”でした。

天文部、哲学部、科学部などのひとクセある変な部員たちの前を通り抜け、
ようやく最上階の文芸部に到達する海と空。

考古学研究部と文芸部が一緒になった部室には風間俊と水沼史郎がいました…




この続きの原作比較レビューは
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