「暗いところで待ち合わせ/純愛サスペンス映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「暗いところで待ち合わせ」原作文庫 原作
「暗いところで待ち合わせ」
乙一 著
2002年刊 幻冬舎文庫

    
「暗いところで待ち合わせ」映画チラシ 映画
2006年 日本映画
監督脚本:天願大介
出演:田中麗奈 チェン・ボーリン
  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク



「プラダを着た悪魔」原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武「新コンテンツ」です。
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!
独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス
乙一(おついち)の人気小説を今村昌平監督のご子息で、
「AIKI」の監督、「うなぎ」の脚本の天願大介が脚本を書き監督しています。
天涯孤独の盲目の若い女性(田中麗奈)の家に殺人容疑者(チェン・ボーリン)が
逃げ込み、そのまま居座ってしまうサスペンスです。
やっと片手の人数のキャストで
シリアスミステリーでありながら、異色のラブストーリーでもあるというミニシアター系
独自の映画です。


原作はミチルが失明していく時の様子。
徐々に視野が闇に落ちていく様子や、
失明以前に父とともに点字の勉強を始めたことなどから書き始められています。
映画の方は、墨を流した水面に赤い光点が行き交う様子にメインタイトルが重なります。
脚本によるとこれはミチルの現在の視野を視覚化した映像だということです。
この時は何の説明もなく、この場面が何を意味するのか観客には伝わりませんが、
後で開いた瞳にペンライトを当てられたりするシーンと
対になって光点が移動する場面等が出てきますので
彼女の視野をスクリーンに写し取ったものと知れます。
原作にも解説があって、盲人といっても完全に視力のない人というのは少なく、
ミチルのように強い光を僅かに感じ取る人などの方が多いようです。

そして映画は朝、通勤の為、駅のホームに立ったアキヒロ(チェン・ボーリン)が、
窓をいっぱいに開けて立つミチル(田中麗奈)の姿に気が付つところへ繋がります。
ミチルは夏のパジャマ姿で視点はどこか遠くを見ており、
通常の人から見ると少し様子が変わっているのですが、
アキヒロが彼女が目の不自由であること等知る由もありません。

朝起きて窓辺に立つのはミチルの習慣です。
この後、父とともに朝食を済ませると父は出勤。
回想場面になって、幼いミチルが母がどんな人だったのか尋ねて、
父が白いシャツをよく着ていたと答えます。
イメージの白シャツ姿の母が登場。
なんとなく唐突ですが、
この場面で父と娘の生活が長いことと、
ミチルは生まれながらの盲人ではなく、少なくとも回想に出てくる
幼い頃は視力があったこと等がわかります。
イメージの母は、この後登場する葬儀のシーンの伏線です。

原作では父が卒中で死んだと明かされますが、
映画では、病院の霊安室で父の亡骸とミチルが向き合うところが出てくるので、
セリフをちゃんと聞いていないと交通事故死でもしたように見えてしまいます。
父が残した点字のメモがミチルの宝物だと説明されており、
父の死後、ミチルの家を訪ねるのは中学時代からの親友のカズエ(宮地真緒)
位なものであると語られています。
その中学時代、ミチルは背中にいたずら書きの張り紙をされ、
大層傷つきますが、同じ思い出はアキヒロにもあり、
2人が実は同じトラウマを抱える内向的な人物であることか
描かれています。
映画ではこの張り紙のエピソードは登場していません。
視覚的には良くある平凡なイタズラでしかないので、
監督に映像化したい意欲を起こさせなかったのでしょう。
張り紙ではつまらないかもしれないですが、
対立軸のあるヒロインと相手が実は同じトラウマを抱えているというのは、
結構いけそうなエピソードの立て方です。
こうしたテクニックは
脚本家志望、作家志望の方は是非覚えておいて下さい。

ミチルは、元気な頃から背中の張り紙ひとつで吐いてしまうほどナイーブな女の子で、
元々内向的ですが、後天的に目が不自由になったことをそう嘆いてはいません。
むしろ騒々しい世間の人間関係から開放されて、闇の世界にまどろんでいるようです。
呼び鈴が鳴って玄関先に交番の巡査を名乗る若い男が立ち、
注意を呼びかれますが、あまりミチルの関心を引きませんでした。
彼女は無人のチャイムが鳴ったとこを巡査に話してしません。
後でわかるとおり、この時点でアキヒロは本間家内に侵入済みです。

映画ではミチルと友人カズエが街のカフェでお茶しています。
ミチルは交通事故で大学を中退。
カズエは大学卒業後もフリーター暮らしです。
カズエはいたずら心を起こしてミチルのカップを隠してしまいます。
カズエとミチルの買い物場面が続き、この時店頭で手にしたグレープを
続く夜の場面で父とミチルが食べています。
これは後でセリフによる説明がありますが、
ミチルはカズエに付き合ってもらって、こうして食品や日用雑貨の買出しを
しており一人で出かけることはありません。
食事が済むと、ミチルは「おやすみなさい」と父(岸部一徳)に挨拶して
階段の明かりのスイッチを入れて2階の自分の部屋に上がっていきます。
その後姿を父が階段の下で見送っています。
原作では、この灯を付ける行動を「ただの習慣」としていますが、
映画では後半、電球の玉が切れ掛かってちらちら明かりが揺れるのですが、
ミチルは気が付くことは無く、
映画を見ている観客の不安感を掻き立てる演出となっています。
父は自分の書斎にこもると、点字を打ちます。
「おたんじょうび、おめでとう」
父はオルゴールに入れたペンダント型の音声時計を贈っています。
これは映画のオリジナルですが、
あとでミチルがピアノで弾くメロディが、このオルゴールの曲ですし、
ペンダントは彼女が寝て起きる度に時刻を確認しています。
重要なアイテム…



この続きの原作比較レビューは
まぐまぐプレミアム「映画VS原作本 映画脚本の秘密」で発表します。

サイトの維持、コンテンツの充実にご理解、ご協力をお願いいたします。




トップページ(小説と脚本の比較レビュー)に戻る


">