「レナードの朝/闘病ドラマ脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意

「レナードの朝」映画チラシ 原作小説
「レナードの朝」
2000年 早川書房(アメリカでの発表は1973年)
著者:オリヴァー・サックス 訳 春日井晶子

         
「レナードの朝」原作 映画
日本公開名「レナードの朝 」
原題「AWAKENINGS」
1990年 アメリカ
監督:ペニー・マーシャル
出演者:ロバート・デ・ニーロ 、ロビン・ウィリアムズ
  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ「新コンテンツ」です。
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「17歳のカルテ」主演ウィノナ・ライダー
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「耳をすませば」
制作スタジオ・ジプリ
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
   「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ
独身映画ファンメーリングリストのご案内
独身社会人映画ファンML に入ろう!! [MLの詳細]
メールアドレス

嗜眠性脳炎のため、
30年間も半昏睡状態でいる重度の障害者レナードに興味を覚えた医師セイヤーは、
彼に新薬を投与。ある朝、レナードは奇跡的に目覚めるのですが…。
30年ぶりに街に出てその変わり様に驚きはしゃぐ中年男レナードの、
少年のように無邪気な輝きが胸を打ちます。
果たして彼は普通の生活にとけこんでいくことができるのでしょうか?
人間の尊厳、
友情と愛情を描き上げた感動の実話です。

原作者のオリヴァー・サックスは医学博士です。
本書「レナードの朝」は嗜眠性脳炎のため、半昏睡状態でいる二十名の入院患者に対し、
1969年のL−DOPAという新薬の投与がなされた事実とその劇的な経過の記録です。
文学ではなく、歴史書でもありません。
しかし一方で「レナードの朝」はデータ中心の
医学書でもなく、一般紙に事の経過を紹介した雑誌記事に加筆修正を繰り返したものが
ベースとなっているドキュメンタリーです。
原作では二十名の入院患者の症例がほぼ対等に扱われていますが、
映画はレナードひとりを主人公とし、他の患者達のエピソードを彼に集約しています。

映画の冒頭で、小学生のレナードがブルックリン橋のたもとのベンチにナイフで自分の名を刻み付けるところから
話は始まってます。
小学校の教室で彼の右手は震え始め、
担任が机に残されたノートを見るとその筆跡はミミズがはったように乱れ、くずれていました。
やがて彼は通学が不能になるほどの体の不調に見舞われます。
ここまでがアバン・タイトル。

1969年、ブルックリン。
ドクター・セイヤー(ロビン・ウィリアムズ)はカーメル病院の面接試験を受けます。
病院は新しい慢性疾患の医師を探しているのですが、
サックスは研究医の募集と間違えてやってきてしまったのです。
1度は席を立ったセイヤーですが、強い引止めにあい、結局、
臨床医として病院に勤めることとなります。

冒頭の少年レナードとセイヤーの就職のくだりは原作小説には出てきません。
映画脚本が用意される際、調査の上、書き足された部分だろうと思います。

不慣れな診察現場に立ったセイヤーは、慢性脳性疾患の収容された病棟を見て歩き、
その患者達の姿にすっかり度肝を抜かしてしまいます。
「カッコウの巣の上で」に登場した精神病院の入院患者達のような攻撃的な雰囲気はありませんが、
倦怠感と怠惰な沈滞ムードにどっぷり漬かってしまったような彼等の風情は、
如何にも精気に乏しく、他の医師や看護婦、看護師達もやる気を失っています。

原作の序章にこのカーメル病院の病棟についての説明がありますが、
セイヤーが引きとめられたのは、病棟の性格が性格のため、一般に医師が
もともと定着し難かったためではないかと考えられます。

セイヤーのはじめての患者はルーシー。
同じ名の中年女性が原作では第2章の症例ナンバー8番で登場します。
車椅子に乗せてセイヤーのデスクの前に連れてこられたルーシーは、
口を半開きにしてあさっての方向を凝視したままで、
セイヤーが呼びかけてもまったく反応しません。
仕方なく診断書を書いて振り返ると、ルーシーは身体を二つに折って車椅子から
転げ落ちそうな姿をしています。
少し目を放した隙に、ルーシーは反応したのです。
彼女の手にはメガネが握られていて、落ちたメガネを拾った様にも見えます。
ためしにセイヤーは彼女のメガネを外して、床に落とそうとすると目にも留まらぬ速さで、
ルーシーが腕をのばして落下するメガネを受け止めました。
驚嘆するセイヤー。
しかし、看護婦達に言わせると、死んだように反応しないはずの患者達も、
なぜかこの手の運動反射反応は起こすようで、
テーブルを囲んで凍り付いている患者達にポンとカードをテーブルに置くと、
それを合図にいっせいにカードを切り出したり、
一列に並んだ患者達の間でキャッチボールが成立したりします。
セイヤーは看護婦達と共にしばしこの実験に夢中になります。

原作には直接、このセイヤーと看護婦達の実験シーンは登場しませんが、
入院患者たちの症例を説明する様々な場面でこの反射運動について語られています。
他の医師たちは、ただの条件反射だと否定的ですが、
セイヤーは、相手の意思を借りて運動しているのだ、というユニークな見解を述べています。
ちょっと判り難いんですが、同じ意見は原作の中でも展開されています。
患者達には動こうと言う意思はあるのだが、脳の障害のため
自立的には行動の切っ掛けが掴めない、
傍から何か切っ掛けを与えるとそこから動き出すことが出来る、というものです。
車に乗って帰宅しようとするセイヤーに中年の看護婦エレノアが声を掛けます。
患者達には条件反射以上の意志があるのではというセイヤーの考えに共感すると彼女はいいます。

看護婦のエレノアとともにセイヤーは、患者達の履歴を洗い出します。
何か共通の問題点が見出せそうです。
仕事がえりにエレノアはセイヤーに、お茶でも飲んで一服していかないかと声をかけるのですが、
履歴に心を奪われているセイヤーは、まだやり残したことがあるから、上の空で返事をして
彼女をがっかりさせてしまいます。
原作本のはじめに謝辞があって、多くの病院スタッフに博士の感謝の言葉が述べられています。
そのなかにエレノアの名もあります。
彼女と博士の個人的な関連に付いては、本文では何も述べられていません。
おそらく創作された部分であろうと思いますが、
「奇跡」を呼んだのは博士一人の力では無い筈ですので、
多くのスタッフが共感と協力を寄せる過程を描くことは大切なことです。

セイヤーは1930年代の謎の眠り病に患者達がかかっていたことを付きとめます。
この眠り病の部分に付いては原作でもはじめの章に明らかにされています。
原作は嗜眠性脳炎の結論の方から書かれていますが、
博士がその結論に至るまでには相当の紆余曲折があった筈で、映画ではそのあたりをきちんと
追いかけているわけです。
セイヤーは眠り病の権威を訪ね、教えを請いますが権威は、患者の思考は停止していると断言します。
セイヤーは本当だろうか、と首をひねります。
レナード(ロバート・デ・ニーロ)が脳波測定装置にかかる場面が登場します。
顔の前で明かりを点滅させても無反応ですが、
名を呼んだときだけ大きく針が振れていました。


本作品の原作比較レビューの続きは
まぐまぐプレミアム「映画VS原作本ストーリーダイジェスト」で発表します。サイトの維持、コンテンツの充実にご理解、ご協力をお願いいたします。
講読お申し込みはまず、まぐまぐプレミアムで
会員登録(http://premium.mag2.com/begin.html)をしてから、マガジンの購読を申し込んでください。購読は下記をクリック。


まぐプレバナー

トップページ(小説と脚本の比較レビュー)に戻る