「マッチスティック・メン/コン(詐欺)・ゲーム脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。
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原作小説 「マッチスティック・メン」 原作 エリック・ガルシア 土屋 晃 訳 ヴィレッジブツクス ソニーマガジン2003年刊 |
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「マッチスティック・メン」 2003年 アメリカ映画 監督 リドリー・スコット 脚本 ニコラス・グリフィン テッド・グリフィン 出演 ニコラス・ケイジ サム・ロックウェル アリソン・ローマン |
| 本作原作文庫 本作映画チラシ ■脚本の書き方■ 原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 原作J.R.R.トールキン 「アイデン&ティティ」 原作みうらじゅん 「精霊流し」 原作さだまさし 「マッチスティック・メン」 監督リドリー・スコット 「コンフェッション」 原作チャック・バリス 「ソラリス」 監督スティーブン・ソダーバーグ 「魔界転生」 原作山田風太郎 「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」 原作フランク・w・アバグネイル 「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」 原作J.R.R.トールキン 「黄泉がえり」 原作梶尾真治 「レッドドラゴン」 原作トマス・ハリス 「マイノリティ・リポート」 原作F・K・ディック 「ハリーポッターと秘密の部屋」 J.K.ローリング著 「ザ・リング the ring」 主演ナオミ・ワッツ 「アバウト・ア・ボーイ」 原作ニック・ホーンディ 「タイムマシン」 原作小説H・G・ウェルズ 「GO」 脚本:宮藤官九郎 「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン 「ハリー・ポッターと賢者の石」 脚本スティーブ・クローブス 「PLANET OF THE APES/猿の惑星」 監督ティム・バートン 「陰陽師」 脚本福田靖 「ブリジット・ジョーンズの日記」 脚本アンドリュー・デイヴィス 「バトル・ロワイヤル」 脚本深作健太 「クロスファイア」 脚本山田耕大 「ファイト・クラブ」 監督デビット・フィンチャー 「共同警備区域JSA」 原作小説パク サンヨン 「ナインスゲート」 脚本:ジョン ブラウンジョン 「ハンニバル」 脚本デビット・マメット 「ホワイトアウト」 原作小説真保裕一 「リプリー」 原作パトリシア・ハイスミス 「黒い家」 脚本大森寿美男 「ISOLA多重人格少女」 脚本水谷俊之 「シン・レッド・ライン」 脚本テレンス・マリック 「魔女の宅急便」 監督宮崎駿 「リング」 脚本高橋洋 「コンタクト」 監督:ロバート・ゼメキス 「L.A.コンフィデンシャル」 脚本カーティス・ハンソン 「セブン・イヤーズ・イン・チベット」 原作小説:ハインリヒ・ハラー 「さらば、わが愛 覇王別姫」 監督チェン・カイコー 「バラサイト・イブ」 脚本君塚良一 「アポロ13号」 監督ロン・ハワード 「マディソン郡の橋」 脚本リチャード ラグラベニーズ 「ショーシャンクの空に」 脚本フランク・ダラボン 「フォレスト・ガンプ」 脚本エリック・ロス 「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」 原作小説アン・ライス 「ジュラシック・パーク」 原作小説マイケル・クライトン 「シンドラーのリスト」 脚本スティーブン・ザイリアン 「イヤー・オブ・ザ・ガン」 原作マイケル・ミューショー 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク 「レナードの朝」 主演ロビン・ウィリアム 「トータルリコール」 原作小説フィリップ・K・ディック 「レッドオクトーバーを追え!」 脚本ラリー・ファーガソン 「ワイルド・アット・ハート」 脚本デイヴィッド・リンチ 「ミザリー」 原作小説スティーブン・キング 「ダイ・ハード」 監督ジョン・マクティアナン 「仕立て屋の恋」 原作小説ジョルジュ・シムノ 「時をかける少女」 脚本剣持亘 「ブレード・ランナー」 原作小説フィリップ・K・ディック 「惑星ソラリス」 監督アンドレイ・タルコフスキー 「犬神家の一族」 原作小説横溝正史 「ゴッドファーザー」 監督フランシス・F・コッポラ |
ロイはアンジェラに母親の元に帰るよう命じて別れるのに対し、 原作のロイはアンジェラに同情して、逆にフランクと離反してしまいます。 映画ではこのエピソードは既にクライマックスに位置しますが、 原作本では全体のちょうど半分に来たところです。 この後、 原作ではロイとフランクは別々に行動するようになりますが、 結局和解し、 更にアンジェラが私服の婦警に気づかず、 詐欺を仕掛けて警察に補導される騒動を起こして、 警察署の表でロイとフランクが 殴り合いの喧嘩になるという話になります。 一人の少女を挟んで男のペア詐欺師の友情に亀裂が入るという展開はなかなかに 魅力的です。 ですが、最終的に映画はロイとアンジェラの親子関係に絞って ドラマ展開をしていますので、ロイとフランクの対立と和解と再び対立と、 という行きつ戻りつの関係は飛ばしています。 正確には描かれていませんが、原作のロイとフランクが同年代に見えるのに対し、 映画ではニコラス・ケイジとサム・ロックウェルという年齢差のあるキャストで、 ふたりを対等に描こうとはしていません。 ドクター・クラインからもらった薬の切れたロイは、恐怖症の発作を起して七転八 倒。 クラインと連絡が取れずドラッグストアに駆け込み、 薬の飲み殻を差し出して同じ薬を売れと迫りますが、 薬剤師に「それは更年期用プロテイン(原作では砂糖)だ」と言われて愕然とし、 ドクター・クラインと連絡が取れると診療室に怒鳴り込みますが、 「初めから薬はいらなかった。アンジェラさえいれば」と逆に諭されます。 ロイは裁判所に親権を取り戻す訴えを起そうと弁護士に相談を持ちかけ、 詐欺師稼業から足を洗う事を決意します。 しかし、ロイがアンジェラとともに家に戻ると、 叩きのめされたフランクと銃を手にした チャックが待っていました。 チャックは駐車場でロイとアンジェラが一緒にいるのを確認していて、 彼の“警察の友人”に空港のモニターの写真を渡して アンジェラの身元を洗ったのです。 原作では、ロイが改めてフランクに引退を申し出ると、 フランクは折れて、「最後のひと仕事」を持ちかけます。 原作ではチャックは出てこず、サイ−フが再登場、 彼とロイとフランクが麻薬密輸詐欺を働く話がクライマックスとなっています。 サイ−フがなんでもありの万能詐欺師になっているところがご都合主義的ですし、 アンジェラの補導騒動で、警察にドクター・クラインが迎えに来るのも変です。 批判はともかく、話を進めますと…。 サイーフに三十万ドルを用意させ、閉鎖した劇場で麻薬の取引をしますが、 それはロイとフランクの罠で、サイーフの現金を巻き上げる計画です。 その場にアンジェラも同行させますが、 実はサイーフは警察官で、ロイ達を逮捕しようとします。 サイーフに抵抗するアンジェラを止め様として、ロイは別の警官に殴り倒され 意識を失います。 映画は、ロイに銃を付きつけ、 「金を返せ」と喚くチャックに、アンジェラがロイの隠し持っていた銃で チャックを撃ってしまいます。 ロイは、フランクにアンジェラを連れてくるまで逃げる様に言い、車庫から車を出し ます。 ロイ自身は重傷のチャックをどこかの病院にでも投げ込んで 逃走する気で部屋に戻りますが、 意識を取り戻したチャックに殴られ気絶してしまいます。 映画と原作では経緯が異なりますが、 どちらも最後にロイが気絶させられ、 意識を取り戻すとそこは病院の個室である事は一緒です。 映画では刑事がロイを見下ろしていて、 チャックがロイを殴り倒した後、結局、力尽きて死んだ状態で発見された事を 継げます。警察はフランクとアンジェラを追っています。 ロイは、ドクター・クラインを呼んでフランクとアンジェラの潜むモーテルの名を告 げ、 国外逃亡のための資金用に自分の預金の口座暗証番号を耳打ちします。 原作では、病室にはフランクがいて、アイ−フともみ合ったアンジェラが かれの銃でアイ−フを殺してしまったと経緯を話します。 逮捕されたアンジェラの保釈金を用意すべく、ロイは、 自分の預金の口座暗証番号を耳打ちします。 さて、ここまで書けば、みなさん、 ロイがまんまと騙された事は御判りですね!? 原作では、ロイは2日たっても何の連絡もない事を不審に思って、 フランクのアパートを訪ねて部屋がもぬけの殻であるのを目撃し、 映画では、ドクター・クラインが去った後、 病室の表に出ようとしたロイがドアを開くと、 そこは病院ではなく、ビルの屋上のプレハブだった事に気付かされます。 もちろんロイが長年溜め込んだ金はフランクに持ち逃げされ、 ドクター・クラインも姿を消し、ドクターの診療所も閉鎖された後です。 ロイは元妻へザーのもとを訪ね、 アンジェラの行方を問いただしますが、へザーは「娘などいない」と言います。 流産して子供など生まれなかったというのです。 今度こそ完全に打ちのめされるロイ。 原作では、最初に出てきた店で、 若者2人にカードの詐欺に合い、 ロイは最後の有り金すべてを巻き上げられたところで終わっています。 映画では1年後に話が飛び、 絨毯屋でカーペットの販売員をしているロイところへ、 偶然、アンジェラと新しいボーイフレンドが買い物に来てしまう話が出てきます。 ロイは堅気の暮らしをしていました。 ボーイフレンドに用を言いつけ追い払った彼女を見て、ロイは唸ります。 「いつもそんな服なのか?」 目の前の彼女は胸の大きく開いた服を着てどう見ても未青年には見えませんでした。 「だって大人だもの」 と“アンジェラ”ば自嘲するように言います。 彼女は分け前すべてをフランクに巻き上げられ、懲りて足を洗ったようです。 「あれ(自分の金)は取られたんじゃない、あげたんだ」とロイは彼女に言います。 「私の本当の名前を知りたい?」という彼女に 「ずっと昔から知ってるよ」とロイは答えます。 そうロイにとって彼女は自分の娘の“アンジェラ”以外の何者でもありません。 “アンジェラ”はカーペットを車に載せて、ボーイフレンドともに 何処かへ去っていきます。 ロイが自分の家に戻ると、“アンジェラ”と出会った頃、 通っていたマーケットの女店員、−現在のロイの妻が夕飯のしたくをして 待っていました。 ロイは妻を抱きしめ、大きくなったお腹に耳を当てます。 ほどなく、ロイは本物の父親になるはずです。 ―という映画は終わり方をしています。 原作は騙し騙されるコン(詐欺)ゲームとしての完成度を追い求め、 映画は擬似親子関係の経験を通じてロイという一人の男が 人生をやりなおすドラマとなっています。
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