「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/経営解説小説から青春スポーツ脚本を書くには」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「もしドラ」原作本 ■原作小説
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
2009年 ダイヤモンド社刊
岩崎夏海 著

    
「もしドラ」映画チラシ ■作品基礎データ
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
2011年 日本映画
総合プロデュース:秋元康
監督・脚本:田中誠
原作・脚本:岩崎夏海
出演:前田敦子 峯岸みなみ 川口春奈

  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク

「まほろ駅前多田便利軒」
「わたしを離さないで」
「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」
「ノルウェイの森」
「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」
「大奥」
「悪人」
「借りぐらしのアリエッティ」
「告白」
「時をかける少女」(仲里依紗版)
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」
「食堂かたつむり」
「さまよう刃」
「空気人形」
「火天の城」
「TAJOMARU」
「南極料理人」
「ハリー・ポッターと謎のプリンス」
「天使と悪魔」
「ジェネラル・ルージュの凱旋」
「地球が静止する日」
「デス・レース」
「ホームレス中学生」
「容疑者Xの献身」
「パコと魔法の絵本」
「西の魔女が死んだ」
「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド

「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ
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「もしドラ」
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

元放送作家の岩崎が自身のはてなダイアリーで
2008年7月11日に書いた同名の記事を読んだダイヤモンド社の編集者が
岩崎に企画を持ちかけてこの原作は書かれました。

公立高校の弱小野球部でマネージャーを務める女子高生・川島みなみが、
ピーター・ドラッカーの著した組織管理論手引書『マネジメント』を
偶然書店で手に取ったことを契機に部の意識改革を進め、
甲子園を目指すと言うストーリーでイラストはゆきうさぎの
一見、萌え本やライトノベルを意識したかのような装丁が採り入れられています。

2010年3月に第1回サムライジャパン野球文学賞特別賞(ベストナイン)を、
同年12月に第45回書店新風賞を、
2011年3月に第16回AMDアワード優秀賞を受賞。
2010年7月22日、発行元のダイヤモンド社は本書が
1913年(大正2年)に同社が創業して以来初のミリオンセラーとなったことを発表。
オリコンランキングでの推定実売部数は、2010年10月18日付で100万部、
2011年4月18日付で200万部をそれぞれ突破しました。
この間、2011年2月21日付ランキングの時点で179.7万部となり、
総合部門で歴代1位となっています。
2011年4月現在の発行部数は237万部、
電子書籍版13万部で合算して250万部を突破しています。
好調なセールスを受けて、
2010年秋から2011年夏にかけてアニメ化・漫画化・映画化と
メディアミックス企画が相次いで展開されています。

主人公の川島みなみは岩崎がプロデュースに関わっていたアイドルグループ
AKB48のメンバー・峯岸みなみが憧れる女性像をモデルにしているそうです。
2011年6月公開予定の映画では同じAKB48の前田敦子が主役を演じています。
峯岸は、北条文乃を演じています。


それでははじめましょう。


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┃ ╂┐ 
┗┿ │◆◇◆    みなみ、野球部に乗り込む      ◆◇◆
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川島みなみは東京都立程久保高校2年生。
7月の半ばに、病に倒れた親友で幼なじみの宮田夕紀のために
野球部のマネージャーになった。

映画では、夕紀とみなみが病室で語らうところから、
原作はプロローグで、川島みなみが野球部に入る時に
「野球部を甲子園に連れていく」と野球部員達に宣言するところから
はじまります。

第一章 みなみは「マネジメント」と出会った。
以下、各章のタイトルが「みなみはー」で始まっています。

話はいったん、舞台となる都立程久保高校の解説に戻り、
監督以下の野球部の面々が、
「甲子園に行く」というみなみにおどろきあきれるところに繋がります。

話は更に戻って書店でドラッカー著の「マネジメント」を買い、
またもとの時系列に帰って、
一学期の終業式の後、病院に幼なじみの宮田夕紀を見舞い、
夕紀がマネージャーになったのは、
小学校時代のみなみの野球での活躍に感動したからだとわかる
というエピソードが出てきます。

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これらはもちろん原作通りに映像化してもよいのですが、
実はみなみが夕紀の為にマネージャーになろうと決意した事が
直接語られておらず、
代わりにみなみの活躍に夕紀が感動した事が
メインに来てしまう為、
どうも主人公の動機付けが明快でなくなります。

映画では、それをほぼ時系列順に整理して、
冒頭の病室で語らうシーンのみ、
みなみと夕紀、ついでに次郎の小学校時代の回想が入っています。

前述の通り原作ではみなみは入部前に「マネジメント」を買っていますが、
映画では入部後になっています。

「甲子園に連れて行く」と宣言直後、
エースの浅野慶一郎(瀬戸康史)とみなみ(前田敦子)が対決するという
オリジナル・エピソードが登場します。

みなみは現在は“帰宅部”でも、野球のセンスは女子離れしており、
慶一郎が本気を出して初めて打ち取られます。

みなみは泣いてグランドを走り去ります。
たどり着いた先が書店で、
そこで「マネジメント」と出会うという展開です。

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原作では女子店員の勘違いでドラッカーの著作が
みなみの手に渡りますが、
映画では、
下着メーカーのマネージャーに就任した五十嵐(青木さやか)が、
マネジメント本を探しているところに、
みなみがやって来て、「マネージャーの本」と
言ったので店員(石塚英彦)がつられてドラッカーの著作を渡してしまう
という誤解の生じやすいシチュエーションに置き換えられています。

原作で書店が登場するのは冒頭のみですが、
映画では繰り返し登場するので、
こうしたドラマ性のあるエピソードにしておく方が洒落ています。

自宅に戻ったみなみは自分の部屋で「マネジメント」がビジネス本である事に
気が付き放り出しかけますが、
偶然開いたページの
“マネージャーの資質”の内容に心ひかれます。
“才能では無い、真摯さである。”


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やる気を取り戻したみなみは、翌朝、野球部の部室に
行って、登校してきた野球部員達に
再び甲子園行きを宣言します。

ここでメインタイトル「もしドラ」
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」。

やや長めのアバンタイトルですが、
前田敦子の決めポーズと共にかっこいいタイトルシーンとなっています。…


この続きの原作比較レビューは
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