「ミザリー」/2人芝居脚本の書き方
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意

「ミザリー」文庫表紙    原作小説「ミザリー」
   文春文庫  スティーブン・キング 著 
            矢野浩三郎 訳 
           1991年刊

         
「ミザリー」映画ポスター    アメリカ映画 1990年 
    監督:ロブ・ライナー
    脚本:ウィリアム ゴールドマン
    出演:ジェイムス・カーン 、キャシー・ベイツ
 本作原作文庫
  本作映画ビデオ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ「新コンテンツ」です。
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「17歳のカルテ」主演ウィノナ・ライダー
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「耳をすませば」
制作スタジオ・ジプリ
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
   「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ
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ドラマの最低人数と言うのは何人でしょうか?
舞台には1人芝居というジャンルがありますが、映画においては2人からと考えるべきでしょう。
「老人と海」のような特異な例もありますが、あれは大カジキあってのドラマで、
老人だけでは成立してませんので(ほぼコミュニケーション不能の相手であっても)
やはりふたり以上の話と考えるべきと思います。
2人芝居の映画は、「ミザリー」の他にも「暗くなるまで待って」「コレクター」という傑作もあるので、
ジャンルとして成立しうると思います。
(舞台と映画は違いますので、ここではメインのストーリーの前後に登場する端役は人数にいれません)

スティーブン・キングはモダン・ホラーの旗手として知られた作家ですが、
「ミザリー」では超能力も超常現象も一切登場しません。
にもかかわらず、その怖さたるやキングの他の作品からもぬきんでています。
人の狂気ほど始末の悪いものはない、ということなのでしょうか。

ベストセラー作家のポール・シェルダン(ジェイムス・カーン)は、出版社に向かう途中、
交通事故を起こし、大怪我を負う。
それを助けたのは彼の「No.1愛読者」を自称する女性アニー(キャシー・ベイツ)だった。
はじめ彼女はあこがれの作家の介護に夢中になっていたかに見えたが、
彼女の愛してやまない小説のヒロイン「ミザリー」がポールの新作の中で死ぬと知って逆上。
両足と利き腕の複雑骨折で身動きのままならない彼に
自分の為に「ミザリーの生還」の執筆を強要。容赦ない拷問を繰返すのだった。
という内容です。

スティーブン・キングも始終「No.1愛読者」達に追いまわされている作家の1人ですが、
あるテレビ番組の出演後、例によってファンに囲まれたキングは、
一緒にポラロイドを撮って、出来た写真にサインをせがむ男に閉口させられます。
後日この男、マーク・チャプマンはジョン・レノンとポラロイドの写真を撮り、
サインをさせたあとで彼を撃ち殺しています。
そのことを後から知ったキングは、さぞや恐ろしかったろうと思います。
この体験が直接ヒントとなっているかどうかは不明ですが、
主人公ポール・シェルダンの名は、
当然ライバルのシドニー・シェルダンのペンネームのもじりに違いありません。

映画は雪山を飛ばすポールの車から始まります。
タイトルが流れて、
話は数ヶ月前の出版エージェントの事務所に話が戻ります。
この出版エージェントというのは、日本には無い職種なので説明が必要です。
彼らは出版社の編集者ではありません。
日本の映画観客の中には、
彼らを出版社の編集者と間違えたまま「ミザリー」を見た人がいるかもしれません。
まあ、本編はその誤解が内容の解釈に重大な問題を生ずることは無いのですが、
知識として知っておいて良い話です。

エージェントは、作家と契約して、
作品を出版社に売りこみ、著作権等に関するマネジメントを代行します。
では普通のマネージャーかと言うと、そうでもなく。
新人作家は、まずエージェントの事務所を訪ね、自作の売りこみをせねばなりません。
彼らは出版社に対して、強い影響力があり、複数の作家を抱えています。
言ってみれば作家のプロデューサーなのです。
エージェントのマーシャ(ローレン・バコール)のところで、ポールは出版される新作「ミザリーの子供」
の話を聞きます。
「ミザリー」シリーズは無名のポールをいちやく売れっ子ペーパーバックライター
(通俗小説作家。ドラッグストアで売られる装丁の簡単な本ペーパーバックに由来する。)
に押し上げた作品だが、ポールはこのシリーズに嫌気がさしており、
第8巻目でようやくヒロイン・ミザリーを病死させて幕を引くとが出来ることを心底喜んでいます。
「これで本当に書きたかった作品に取り組める」
ポールはロッジに泊まりこんで新作を書くよ、と告げて事務所を後にします。

そしてロッジの自室で作品を書き上げ、
(それは原作によると、構想2年、出版すれば有名な文学賞の受賞は確実、
ベストセラー確実の自信作らしい)葉巻を吸い、シャンパンで1人祝杯をあげると
夜道に車で飛び出し、嵐の中の雪だまりで車ごと横転。
車は斜面をまっさかさまに転落する。運転席の中でポールは失神します。

転地がひっくり返った車のドアを外側からこじ開ける人間がいた。
その人物は、血まみれのポールを外に引きずり出すと人工呼吸で蘇生させるのでした。

原作はまさにその人工呼吸の真っ最中から始まります。
「臭い臭い、息が臭い」
意識を取り戻しかけたポールは相手の口臭に文句を言っています。
読者ははじめ、どういう状況がわからず、しばらく読み進んでから、
これが交通事故を起こして第3者に蘇生してもらっている最中の男のことだと分かります。

むしろ原作の方が映像的な始まり方をしています。
原作は完全にポールの一人称で語られ、映画は三人称で進む。
映画にも一人称的な見せ方はあるのですが、
ロブ・ライナー監督は一人称には興味が無かったようです。
ロブ・ライナー監督は「恋人たちの予感」で知られるシティ派の映画監督です。
キングの原作の映画化は「スタンド・バイ・ミー」に続く2度目です。
どちらもそう大掛かりな作品ではありませんが、数あるキングの映画化作品の中でも、
極めて出来の良い作品として世に知られています。

ポールが意識を取り戻すと、そこはアニー(キャシー・ベイツ)の家の客間のベッドの上です。
アニーが語りかける、
「私はあなたのNo.1愛読者よ。私が看病する。すぐ元気になるわ」

本作品の原作比較レビューの続きは
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