「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団/青春ファンタジー映画脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作表紙 原作小説
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
原題 HARRY POTTER AND THE ORDER OF THE PHOENIX
J・K・ローリング 著
松岡佑子 訳
2004年刊 静山社

    
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」映画チラシ 映画
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
2007年 アメリカ映画
監督:デヴィッド・イェーツ
脚色:マイケル・ゴールデンバーグ
出演:ダニエル・ラドクリフ
  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


大奥」

「悪人」

「借りぐらしのアリエッティ」

「告白」

「時をかける少女」(仲里依紗版)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」


「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」


「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド
「ライラの冒険 黄金の羅針盤
原作=フィリップ・プルマン
「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ
mixi(ミクシー)「独身社会人映画ファンコミュニティ」に入ろう!

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』は、
原作、映画共にプリベット通りから始まる。
原作はダーズリー家の庭先から、映画はプリベット通りの空き地の公園から。
夕方、公園のブランコにひとり乗ったハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は、
迎えに来た若い母親と共に帰ってゆく幼い子供の姿を寂しげに見つめている。
そこにいとこのダドリー(ハリー・メリング)が不良仲間と共に現れ、
ハリーをからかう。
ハリーは「炎のゴブレット」で失ったセドリックの死の悪夢にうなされており、
事情を知らぬダドリーがハリー苦しみの寝言を物まねして見せたのにかっとして、
思わず魔法の杖を抜いてしまう。
まだ学生のハリーがマグル(人間)の前で魔法を使うことは固く禁じられている。
空がにわかに掻き曇り、
異変を感じた不良たちは遁走し、ハリーとダドリーもガード下に逃れるが、
突如、吸魂鬼“ディメンター”に襲われる。

原作でもハリーがダドリーと衝突しかけて
ふたりが吸魂鬼“ディメンター”に襲われるのは一緒ですが、
そこにいたるまでの経過がかなり違っています。
ハリーはダーズリー家の軒下に隠れて居間のテレビのニュースを盗み見ています。
邪悪なヴォルデモート卿の復活により、魔法界はさぞや騒動になっているだろうに、
ハリーには何の情報もなく、
親友のロンとハーマイオニーからも「ダンブルドア校長から口止めされているから」
と様子を知らせてくれずイライラと夏の日々を人間界で過ごしていました。
僅かでも情報が得られぬものかとニュースを見ようとして
バーノンおじさんにつまみ出されて以来、室内でテレビを見るのは諦め、
しかたなく近所のゴミ箱あさりをして古新聞を読んでいました。
テレビの盗み見をしている最中に、
バシッという姿あらわしか姿消しの呪文を使った時の音がして驚いて立ち上がりかけ、
バーノンおじさんに首っ玉をつかまれますが、
その手を振り切って音の元を探しますが見つかりません。
ハリーは諦めて、公園のブランコに座り込んでしまいます。
ダドリーと不良仲間が歩いているのを見てハリーの方から声を掛けます。
ダドリーは仲間の手前、虚勢を張りますがハリーの魔法の杖を恐れています。
いらだっているハリーはダドリーに呪いの魔法をかけてやりたい誘惑に駆られますが、
そこに吸魂鬼が登場します。

小説では孤独なハリーの現状説明から入りますが、
映画ではともかく吸魂鬼登場を急いでいますね。
ハリーが身近な魔法使い達からつんぼ桟敷にされて
むくれている状況はあとでロンとハーマイオニーが出てきてから、
倒置法でセリフの中で説明されています。
それとやっぱりハリー役のダニエルくんに映画の冒頭ゴミ箱あさりをされては、
かないませんねぇー。
そんな場面は筆者も見たくないです。

ハリーが守護霊魔法で吸魂鬼を追い払った直後に、
隣家のフィッグおばさんが出てきて
ダンブルドアの指示でハリーを見張っていたことが判って
ハリーは愕然とします。
フィッグおばさんは原作ではスクイプ(小妖精?)という設定ですが、
映画では特に説明がなく、画面の印象からすると中年の魔女のように見えます。

原作ではもうひとり別の魔法使いマンダンガスがハリーの見張り役でしたが、
姿消しの魔法を使って現場をさぼって抜け出しています。
その隙を狙うようにして吸魂鬼が現れるのですが、
映画ではその魔法使いは出てきませんね。
マンダンガスも不死鳥の騎士団のメンバーなのですが、
その失敗とあとでハリーたちが学校以外で集会を開いたときに監視している以外、
これといった見せ場になる出番がないため、
登場せぬことになったのでしょう。
こそ泥の騎士団のメンバーというのはなかなかオイシイ設定ですので、
まったく出てこないというのは少し惜しい気がしますけど。

ハリーはぶっ倒れているダドリーに肩を貸して、ダーズリー家に戻り、
フィッグおばさんはダンプルドアに知らせるといって立ち去ります。
バーノンおじさん(リチャード・グリフィス)とペチュニアおばさん(フィオナ・ショウ)
は、パニックを起こしハリーを責めますが、
ふくろうが魔法省からの通達を届けに居間に飛び込んできます。
Mのマークが入った封筒が、
魔法の無許可使用によりハリーを魔法学校から退学させるという通達をしゃべります。
ショックを受けるハリーにバーノンおじさんは「罰が当たったのだ」と罵声を浴びせると、
ペチュニアおばさんとともにダドリーを病院へ連れて行くため車で飛び出します。
ひとり部屋に戻ったハリーは、
またもや悪夢に。
しかし、ハリーが目覚めると、
部屋のドアの鍵が落ちて何者かが向こうからドアを開こうとしているではありませんか。
戦慄するハリー。
が、開いたドアの向こうにはマッド・アイ・ムーディ(ブレンダン・グリーソン)達、
魔法使い達がハリーを迎えに来ていました。
ムーディの言葉では、ハリーの退学はダンブルドアの働きかけで保留され、魔法省で
尋問が行われるといいます。
ハリーはそれまで『不死鳥の騎士団』の本部にいるようにというダンブルドアの指示です。
ムーディの号令のもと、
ハリーたちは箒で夜のロンドンを飛び立ちます。
…ハリー・ポッターがいつの時代の話なのか、
原作には現代とも過去の話とも、近未来とも設定の説明がありません。
現代よりほんの少し過去の時代の話というイメージを持っていましたが、
「アズカバンの囚人」でハリーたちがジーンズのパンツをはき、
パーカーを羽織っているのを見て結構インパクトがありました。
今回の映画では現代のロンドン市内の夜の摩天楼やライトアップされたロンドン塔等を
背景にハリーたちが飛び、
このシーンは特報、予告編でも繰り返し使われる等
映画『不死鳥の騎士団』のハイライトとなっています。
でも携帯電話やテレビゲーム等が出てこないところを見ると、
必ずしも現代と断定できたものでもありません。

原作では、ハリーたちが出発するまでの経緯…


この続きの原作比較レビューは
まぐまぐプレミアムで発表します。

サイトの維持、コンテンツの充実にご理解、ご協力をお願いいたします。



トップページ(小説と脚本の比較レビュー)に戻る