「PLANET OF THE APES 猿の惑星/SFリメイク脚本の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

「猿の惑星」原作文庫 原作小説 「猿の惑星」
ピエール・プール著  高橋 啓 訳
早川書房 2000年刊
 (本国フランスでは1963年発表)
    
「猿の惑星」映画チラシ 映画「猿の惑星」
2001年 アメリカ映画
監督 ティム・バートン
脚本 ウィリアム・ブロイス(「キャスト・アウェイ」)
主演 マーク・ウォルバーグ ティム・ロス マイケル・クラーク・ダンカン

  本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク


「ツレがうつになりまして」

「神様のカルテ」

「コクリコ坂から」

「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」

「もしドラ」

「まほろ駅前多田便利軒」

「わたしを離さないで」

「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」
「ノルウェイの森」

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」

「大奥」

「悪人」

「借りぐらしのアリエッティ」

「告白」

「時をかける少女」(仲里依紗版)

「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」

「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」
原作=C.S.ルイス
「ジャンパー」原作=スティーブン・グールド
「ライラの冒険 黄金の羅針盤
原作=フィリップ・プルマン
「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「佐賀のがばいばあちゃん」原作=島田洋七
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子

「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」「新コンテンツ」です。
原作J.R.R.トールキン

「アイデン&ティティ」
原作みうらじゅん
「新コンテンツ」です。
「精霊流し」
原作さだまさし

「マッチスティック・メン」
監督リドリー・スコット
「コンフェッション」
原作チャック・バリス
「ソラリス」
監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」
原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」
原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」
原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」
原作梶尾真治
「レッドドラゴン」
原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」
原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」
J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」
主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」
原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」
原作小説H・G・ウェルズ

「GO」
脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」
脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」

監督ティム・バートン

「陰陽師」
脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」

脚本アンドリュー・デイヴィス

「バトル・ロワイヤル」

脚本深作健太

「クロスファイア」
脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」
監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」
原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」
脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」
脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」
原作小説真保裕一
「リプリー」
原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」
脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」
脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」
脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」
監督宮崎駿
「リング」
脚本高橋洋
「コンタクト」
監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」
脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」
原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」
監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」
脚本君塚良一
「アポロ13号」
監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」
脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」
脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」
脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」
原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」
原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」
脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」
原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」
主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」
原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」
脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」
脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」
原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」
監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」
原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」
脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」
原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」
監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」
原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」

監督フランシス・F・コッポラ

2029年。深宇宙スペース・ステーション、オベロン号には訓練されたチンパンジー
のパイロット、ペリクリーズが乗り込み、偵察ポッドで飛行訓練を受けていました。

 ペリクリーズは偵察ポッドに乗り込み宇宙空間の磁気嵐の調査へと向かいますが、
姿を消すと同時に交信不通となってしまいます。宇宙飛行士レオ・デイビッドソン
(マーク・ウォルバーグ)は上官が止めるのも聞かず、ペリクリーズを追って宇宙へ
と飛び出して行きます。そして、彼もまた消息を絶ちました。

 レオが気づいたのは、落下するポッドのなかでした。熱く燃え上がったポッドから
どうにか脱出した彼を待っていたのは、逃げまどう原始的な人間たちと、彼らを狩っ
て楽しむ、話す猿たち。このなぞの惑星は知性を持った猿に支配され、人間はその奴
隷として扱われていたのでした。



 「スリーピー・ホロウ」「バットマン」シリーズの奇才ティム・バートン監督によ
り、1968年公開の往年の傑作SF映画「猿の惑星」が2001年に再映画化され
ています。

 監督いわく「リ・イマジネイション」。単なる続編あるいは再映画化ではなく、過
去の正編と四つの続編から新たに想起されるイマジネーションで作品を構築したと
言っています。

 ここでは五つの過去の「猿の惑星」の大元となる原作長編小説と映画「PLANET OF
THE APES/猿の惑星」の比較レビューを試みます。



 映画の冒頭は、不慮の事故により宇宙飛行士レオは猿の惑星に飛ばされてしまいま
すが、

原作では宇宙探検隊がベテルギウスを目指して探検旅行に出かけ、その到着先が猿の
惑星であったという事になっています。メンバーは3人。物理学者のアンテル教授と
その助手ルヴァン、そしてジャーナリストで主人公のユリス・メルー。

 しかしながら主人公たちは、太陽系外の宇宙へ探検に出かけただけであって、特に
生命探査が目的というわけではありませんでした。

 目指した惑星がたまたま猿の惑星だったというのは出来すぎた話で、ここは映画の
設定の方が感情移入しやすいです。

 いまひとつ解説しますと、原作では光子帆船でバカンス中のカップル、ジンとフィ
リスが宇宙で瓶に入った手紙を拾い、そこに猿の惑星に迷い込んだ不幸な探検隊員の
手記が入っていたという話になっています。

 宇宙に漂うボトルメールに奇妙な手記が、というのは非現実的ですが、そこまで飛
躍してしまえば、いっそ立派なファンタジーというもので、映像化されなかったのが
惜しまれます。



 映画では、ポッドはたちまち沼に沈んでしまいますが、原作で出てくる着陸船は、
宇宙船本体から分離し、地上の都市などを上空から観察した上で、郊外に着地してい
ます。

 そこで一糸まとわぬ若い美女、のちにノヴァと名づけた娘と3人は出くわします。

3人はぺットのチンパンジー・エクトールをつれていましたが、人慣れしたエクトー
ルは、狂暴化したノヴァに素手で絞め殺されてしまいます。

 ユリスは、未知の惑星で人類に出くわした事に驚き、さらにその美女が容姿に似合
わぬ残虐さを見せた事にただひたすら驚くばかりです。



 映画でもまず美女デイナ(エステラ・ウォーレン)が登場し、

すぐあとで父親カルービ(クリス・クリストファーソン)が出てきますし、

そのまたあとに大勢の人間が姿を現します。

 同じ順序で原作にも人間が出てきますが、映画ではすぐ後から猿の人間狩りの追っ
手が迫り、パニックに。

 原作ではもっと人間相手のエピソードが長く、裸族で言葉もしゃべれぬ彼らと何と
かコミュニケーションを持とうと3人は悪戦苦闘する様子が描かれています。

 3人に対する最初の暴行は猿でなくて、彼ら人間から加えられます。

3人によりソロール(ラテン語で“姉妹”。地球に似ていることからこの名を教授が
付けた。)と名づけられたこの星の人間達は、護身用に用意した銃を寝込みを襲って
取り上げ破壊し、3人の服をずたずたに引き裂いて裸にしてしまいます。

 は、人間そのものを傷つけようとするのでなくて、道具や服に対して異常な敵愾心
を彼らが燃え立たせている事に気がつきます。

 彼らは着陸船になだれ込み、計器類をめちゃめちゃにしてしまいますが、あくまで
素手で破壊しています。

 

 3人はソロールの人間達の野営地に連行されますが、彼らは野獣を素手で狩り、あ
るいは果実を木に登ってもぎとり食べて暮らしている事が分かります。つがいで雑魚
寝の生活で家を持ちません。石器人以下、というより猿なみの知能しか有していない
様です。

映画では言葉をしゃべっており、知能は遥かに高いものとして描かれています。

一晩のちに猿の人間狩りの襲撃を受けています。

 最初のショッキングな場面はなんといっても猿たちの人間狩りです。映画では、宇
宙飛行士と野蛮人達の噛み合わないコミュニケーションをとばして、人間狩りの山場
になだれ込んでいます。3人のうちのひとりルヴァンはユリスのかわりに銃弾の餌食
となって死んでいます。



 レオたちは荷馬車に乗って猿の村に連行されます。

原作では動力付のトラックで、文化のレベルに違いがあります。

原作では途中で、木賃宿に立ち寄り狩人たちが獲物を前に記念撮影をしたりと映像的
に残酷な場面が続きます。

 映画では人間達は奴隷商人に引き渡されます。原作では人間研究所に収容され、実
験動物として扱われています。

 原作のユリスはこの研究所で理解者となる若いメスの学者ジラとその婚約者コルネ
リウス博士と出会っています。

 研究所では人間達は檻で飼育され、パブロフの犬のテストなどをやられて褒美に角
砂糖を貰います。繁殖テストにはユリスはとことん抵抗しますが、最後にはノヴァを
相手に求愛ダンスを踊らされる羽目になります。ここいらへんの虐待描写はじつに容
赦がありません。

 

 映画ではレオはデイナ、カルービとともに元老院議員サンダー(デビット・ワー
ナー)の娘、アリ(ヘレナ・ボナム=カーター)と出会い、彼女に買い取られて奴隷
生活を送る事となります。

 かつての黒人奴隷の様に鎖に繋がれたりの場面がないのは、映画の倫理審査に引っ
かかる事を回避するためでしょうか。言葉でさげすまれたり、牢屋のような鍵つきの
部屋で寝起きしていますが、原作ほど不潔な扱いではありません。

どうしても旧作映画よりインパクトがなくなってしまいますが、

イメージとして奴隷階級に人間たちが甘んじており、農園経営によって豊な暮らしを
送る猿たちと対立するというのは社会構図として理解しやすいので、アイディアとし
ては悪くありません。

 新作映画の「猿の惑星」の社会は南北戦争前のアメリカ南部の農園都市のパロディ
のようです。

頭数の多い人間達は、猿たちの畑を荒らす獣とされ、その意味でも狩猟の対象となっ
ているようです


この続きの原作比較レビューは
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