「時をかける少女2010/名作SF映画脚本の続編の書き方」
原作小説と映画脚本比較により脚本の書き方・成り立ちを探ります。ハリウッド脚本の極意、世界名作の秘密に迫ります。全体に「ねたばれ」の要素がありますので、要注意。

■原作小説
「時をかける少女」
角川書店  筒井康隆 著 
(表紙の画像はハルキ文庫版のもの)


    
■映画作品基礎データ
「時をかける少女」
2010年 日本映画
監督:谷口正晃
脚本:菅野友恵
出演:仲里依紗
本作原作文庫
  本作映画チラシ





■脚本の書き方■
原作小説と映画脚本比較レビュー・インディスク

借りぐらしのアリエッティ」
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」

「食堂かたつむり」

「さまよう刃」

「空気人形」

「火天の城」

「TAJOMARU」

「南極料理人」

「ハリー・ポッターと謎のプリンス」

「天使と悪魔」

「ジェネラル・ルージュの凱旋」

「地球が静止する日」

「デス・レース」

「ホームレス中学生」

「容疑者Xの献身」

「パコと魔法の絵本」

「西の魔女が死んだ」

「ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛」原作=C.S.ルイス
「ライラの冒険 黄金の羅針盤原作=フィリップ・プルマン

「陰日向に咲く」原作=劇団ひとり
「ミッドナイトイーグル」原作=高嶋哲夫
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」原作=J・K・ローリング

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」原作=リリー・フランキー
「墨攻」原作=酒見賢一
「暗いところで待ち合わせ」原作=乙一
「プラダを着た悪魔」
原作=ローレン・ワイズバーガー
「夜のピクニック」原作=恩田陸
「ゲド戦記」原作ル=グウィン
「ダ・ヴィンチ・コード」原作ダン・ブラウン
「ナルニア国物語/第1章ライオンと魔女」原作C・S・ルイス
「博士の愛した数式」原作小川洋子
「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」原作J.K.ローリング
「亡国のイージス」原作福井晴敏
「宇宙戦争」原作H.G.ウェルズ
「四日間の奇蹟」原作浅倉卓弥
「アビエイター」原作ジョン・キーツ
「オペラ座の怪人」原作ガストン・ルルー
「ハウルの動く城」原作ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
「ターンレフト・ターンライト」主演:金城武
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」 主演:ダニエル・ラドクリフ
「下妻物語」原作嶽本野ばら
「世界の中心で、愛を叫ぶ」原作片山恭一
「ジョゼと虎と魚たち」原作田辺聖子
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」原作J.R.R.トールキン
「アイデン&ティティ」原作みうらじゅん
「精霊流し」原作さだまさし
「マッチスティック・メン」監督リドリー・スコット
「コンフェッション」原作チャック・バリス
「ソラリス」監督スティーブン・ソダーバーグ
「魔界転生」原作山田風太郎
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」原作フランク・w・アバグネイル
「ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔」原作J.R.R.トールキン
「黄泉がえり」原作梶尾真治
「レッドドラゴン」原作トマス・ハリス
「マイノリティ・リポート」原作F・K・ディック
「ハリーポッターと秘密の部屋」J.K.ローリング著
「ザ・リング the ring」主演ナオミ・ワッツ
「アバウト・ア・ボーイ」原作ニック・ホーンディ
「タイムマシン」原作小説H・G・ウェルズ
「GO」脚本:宮藤官九郎
「ロード・オブ・ザ・リング」脚本ピーター・ジャクソン
「ハリー・ポッターと賢者の石」脚本スティーブ・クローブス
「PLANET OF THE APES/猿の惑星」監督ティム・バートン
「陰陽師」脚本福田靖
「ブリジット・ジョーンズの日記」脚本アンドリュー・デイヴィス
「バトル・ロワイヤル」脚本深作健太
「エクソシスト ディレクターズカット」主演リンダ・ブレア
「クロスファイア」脚本山田耕大
「ファイト・クラブ」監督デビット・フィンチャー
「共同警備区域JSA」原作小説パク サンヨン
「ナインスゲート」脚本:ジョン ブラウンジョン
「ハンニバル」脚本デビット・マメット
「ホワイトアウト」原作小説真保裕一
「リプリー」原作パトリシア・ハイスミス
「黒い家」脚本大森寿美男
「ISOLA多重人格少女」脚本水谷俊之
「シン・レッド・ライン」脚本テレンス・マリック
「魔女の宅急便」監督宮崎駿
「リング」脚本高橋洋
「コンタクト」監督:ロバート・ゼメキス
「L.A.コンフィデンシャル」脚本カーティス・ハンソン
「セブン・イヤーズ・イン・チベット」原作小説:ハインリヒ・ハラー
「さらば、わが愛 覇王別姫」監督チェン・カイコー
「バラサイト・イブ」脚本君塚良一
「アポロ13号」監督ロン・ハワード
「マディソン郡の橋」脚本リチャード ラグラベニーズ
「ショーシャンクの空に」脚本フランク・ダラボン
「フォレスト・ガンプ」脚本エリック・ロス
「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」原作小説アン・ライス
「ジュラシック・パーク」原作小説マイケル・クライトン
「シンドラーのリスト」脚本スティーブン・ザイリアン
「イヤー・オブ・ザ・ガン」原作マイケル・ミューショー
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」脚本マイケル・ブレイク
「レナードの朝」主演ロビン・ウィリアム
「トータルリコール」原作小説フィリップ・K・ディック
「レッドオクトーバーを追え!」脚本ラリー・ファーガソン
「ワイルド・アット・ハート」脚本デイヴィッド・リンチ
「ミザリー」原作小説スティーブン・キング
「ダイ・ハード」監督ジョン・マクティアナン
「仕立て屋の恋」原作小説ジョルジュ・シムノ
「時をかける少女」脚本剣持亘
「ブレード・ランナー」原作小説フィリップ・K・ディック
「惑星ソラリス」監督アンドレイ・タルコフスキー
「犬神家の一族」原作小説横溝正史
「ゴッドファーザー」監督フランシス・F・コッポラ

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2004年の長編アニメ版「時をかける少女」に続き
2010年、実写版「時をかける少女」が製作されました。

筒井康隆が原作「時をかける少女」を発表したのが1965年。(昭和40年!)
当時の学年誌、中3コース11月号から高1コース5月号にかけての連載です。

2010年、実写版「時をかける少女」は、
筒井康隆の原作小説と
83年制作の
大林宣彦監督、角川春樹製作、原田知世主演映画「時をかける少女」の
両方の続編作品だと考えられます。

大林宣彦監督版「時をかける少女」。
その脚本は、
尾道三部作の第一作「転校生」の原作者・剣持亘が書き、
大林宣彦監督自身が脚色を
手がけており、尾道三部作の2作目として知られています。



     ★母と娘
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映画は、いきものがたりの「時をかける少女」のカバーバージョンに乗って、
制服姿の高校三年生の芳山あかり(仲里依紗)が、
大学の受験発表を見に走ってゆくところから始まっています。
あかりは、
母、和子(安田成美)が薬学者として研究を続けている昭徳大学に合格します。


和子は大学の講義より、
個人研究の方に夢中のようです。

ビーカーの中の蟻が姿を消します。
和子の研究は、試作品の試験段階に来ています。

カメラマンの父、長谷川政道(青木崇高)は
あかりが幼いのころから世界を飛び回り、
ほとんど消息が知れない状態です。


和子が原作のヒロイン、
新しい映画のヒロインは、その娘という設定は、
アニメ版のヒロイン、真琴(声 仲里依紗)が和子の姪という設定から、
さらにひねったもののように感じられますが、
原作の発表年代と2010年の再映画化ということから、
実際に母と娘の年代差を映画に取り込んでいますね。

アニメ版の方は、
和子の学生時代は回想シーンを含めて出てこないので、
年代差の設定を生かされた構成にはなっていないですね。


☆。.:*:・'゜★。


大林監督版の主な事件は、
和子が高校時代に体験することですが、
その後、研究者になるというのは原作にはない
大林監督版のオリジナルで、
2010年版の和子の職業設定にも反映されています。


☆。.:*:・'゜★。


和子は、幼馴染で和子に思いを寄せている朝倉酒店の吾朗(勝村政信)から、
近所の洋館に住む深町老人から預かったという
古い写真とラベンダーの花を渡されます。

家を整理していたら、和子の写真が出てきたというのです。

そこには、見知らぬ男子生徒と並んで写っている、
世田谷西中学時代の和子の姿がありました。
男子生徒のことは、深町老人にも誰だかわかりません。

失われた38年前の記憶、
土曜日の実験室でおこった出来事を思い出そうとしたとき、
和子は交通事故に遭ってしまいます。


     ★吾朗と深町君
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大林監督版では、尾道の酒蔵になっている吾朗(尾美としのり)の家が、
2010年版では、都内の酒屋に。

それでも大人になった朝倉吾朗の登場は、
大林監督版のファンにとっては嬉しかったのでは?

未来人の介入さえなければ、
和子は吾朗と結ばれていた可能性があった、
もう一人の主人公だからです。

結ばれることはなかったものの、
和子と吾朗の友情は変わることなく続いており、
吾朗は娘のあかりとも仲良しというところが、
ほほえましくもあり、少し痛ましくもあるのです。

原作の方では、
和子は深町と恋に落ちるものの、
吾朗は普通の友人として描かれています。

深町君との三角関係という設定は、
大林監督版で設定され、アニメ版での人間関係にも生かされていますね。


☆。.:*:・'゜★。


映画はこのあと、
写真に写った少年の正体をめぐって展開するのですが、
そもそも写真を吾朗に渡した深町老人のことが、
2010年版では説明がありません。

大林監督版の未来人は、
息子夫婦を亡くした深町老人家に孫として潜り込み、
中学生になりすまし、和子と恋に落ちます。
本物の深町少年は本当は、幼いときに両親共々事故死しています。

原作の方では、ラベンダーを育てる中年夫婦のもとに
同じく未開人が盛り込んでいるのですが、
孫ではなくて、子供です。

亡くした息子夫婦の子という悲しみを内に秘めた設定は、
大林監督版ならではです。


☆。.:*:・'゜★。


病院でこん睡状態の和子を見たあかりは、ひどいショックを受けます。

吾朗は74年の夜行バスに乗っていたら死んでいたという、
運命の不思議を語ります。
「和子君は、強運の人だから、絶対に目覚めるさ」と吾朗は励まします。


病院のロビーで吾朗が思い出を語るシーンでは、
過去の夜行バスの事故がテレビで報道されていたりと、
かなりわざとらしいのですが、
これは伏線を張るというよりは、
後半の展開が、バス事故がらみであることを
予告して盛り上げようとしていますね。

エンターテインメント映画としては、
こうした盛り上げ方もありなのです。


     ★私が跳ぶ!
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病院のベッドで和子は意識が戻ります。

「72年4月の土曜、深町一夫に会うため中学の理科実験室に行かなくては」

無理やり起きあがろうとする和子を押しとどめおしとどめ、
「私が代りに行くから」とあかり。

あかりは和子から、写真と研究室の机の鍵を受け取り、
再び和子はこん睡状態に陥ります。

大学の研究室に入り込んだあかりは、
机の中にある和子が開発した薬を飲みほし、
土曜日の実験室にタイムリープにするよう強く念じるのでした。

ですが彼女の念じ違いから、
たどり着いたのは、74年2月の上慶大学の実験室でした。

4と2を逆にしているんですね。

原作と大林監督版で
和子が飛ぶのは、前後2、3日の過去と未来です。

アニメ版では、時間跳躍能力を真琴はおもちゃにして
数十分単位で過去と未来といったりきたりしていますが、
2010年版では、一気に40年前に飛んでしまいます。

そこが今回ウリになっている部分です。

「間違えたぁ」

あかりは自分の失敗を知って、愕然とします。…




この続きの原作比較レビューは
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