季節ごとの健康法(養生)シリーズ
梅雨の季節の養生法
東洋医学では、自然とヒトは一体のものと考え、気候や環境が人体に与える影響をきわめて重視しています。そのため、季節変化に伴って起こる不調に対し、その治療法はもちろんのこと、体調の悪化を防いで快適に過ごすための健康法(養生法)においても、長年の経験で蓄積された優れた知恵の数々が知られています。

今回は、梅雨の季節に現れやすい症状と、その原因・有効な養生法について簡単にご紹介致しましょう。

梅雨時は湿気が多く、また蒸し暑い日が続きますね。このような環境では、以下のような症状が多くみられます。

○頭や体が重い、だるい。
○食欲がない。口がネバネバする感じ。
○胃のあたりにつかえるような、圧迫感がある。
○軟便あるいは下痢しやすくなる。
○神経痛や関節痛などが再発する。

東洋医学では、このような症状を引き起こす過剰な湿気を「湿邪」と呼びます。環境変化に対する適応力には個人差がありますから、「湿邪」の影響をそれほど受けずに乗り切れる方もいらっしゃいます。しかし、特に次のようなタイプの方の場合、この時期をつらく過ごしにくく感じられるようです。

▲胃腸があまり丈夫ではない。
▲お酒や味付けの濃いもの、脂っこいものが大好きで呑み過ぎる傾向がある。
▲神経痛や関節痛などを患ったことがある。
▲普段から体力がなく疲れやすい、または手術や大病の後で体力を消耗している。

この時期に、ご家庭で簡単に行える養生法を幾つか挙げます。

はとむぎ茶
ハトムギは漢方薬局で『ヨクイニン』という名称で入手できます。12gをフライパンで乾煎りして、急須に入れお湯を注いで3分間待ち、お茶として1日何回でもお飲みください。何回か飲んだあと、柔らかくなったヨクイニンはそのまま食べてしまってもOK。体内にたまった余分な水分を排出してくれます。ヨクイニン30gに対し米60gの割合で炊いたお粥は、胃腸が弱っているときにオススメ。

半身浴
慢性の神経痛や関節痛にお悩みの方は、蒸し暑いですが入浴時に腰から下だけでもお湯に浸かって温めるように心がけましょう。足だけを浸す『足湯』もいいですね。

しかし、お体に備わっているはずの適応力が低下してしまい、様々な症状でお悩みの方には鍼灸による治療が大きな助けとなってくれます。体に停滞している「湿邪」を尿と共に体外へ排泄し、頭や体の重だるい感じを取り除いてくれるのです。毎年この季節に体調がすぐれないという方は、梅雨に入る前から治療を始められると更によい効果が期待できますね。どうぞお気軽にご相談ください。