就職活動大遠征最終日。
今日は午前中にB社の2次試験の筆記試験がある。
B社は4月1日に筆記試験を受けた会社。
東京の学生が「こんなに難しいIT適性を受けたことがない」といっていた会社
である。
この日の朝は,大忙しだった。
全ての荷物を鞄に詰めなければならなかったからだ。
だというのに,午前中の試験に間に合うようにしなければならない。
おばさんからお昼ご飯のお弁当をいただき,出かけた。
またもおじさんに駅まで送っていただいた。
本当にありがたかった。
今日の行き先は高田馬場。
東京駅まで行って,大手町から東西線に乗りかえれば乗換えが少なくて済む。
東京駅には難なく着いたのだが,今日は中央線ではなく,地下鉄の東西線まで
歩かなければならない。
東西線は以前乗ったことがあったので,たどり着くことに自信があった。
と,思ったのにー!
以前は新幹線から下車して東西線に向かったのだが,今回は横須賀線から東西
線に向かわなければならない。
だというのに,ここ数日の癖で中央線ホームに出るエスカレーターのところに
来てしまった。
「これは違う。今日は東西線だ!」
そう思って東西線の案内をたよりに歩く。
すると目の前に改札が見えてきた。
東西線はこの改札の先にあるようである。
改札をくぐって案内に言われるように進むと....でーん!丸の内口から出
てしまったではないか!
かの有名な煉瓦造りの入り口前に出てしまったのであった。
確かに煉瓦造りは見てみたかったけど,さすがに今日見るつもりはなかった。
「何で大手町につながっている地下道が今日はないんだろう。」
しばらく歩くと,地下鉄の入り口を発見したのでそこを降りてみた。
すると例の東京駅から大手町につながる地下道に出ることができたのである。
地下道がある日突然消滅するわけがないのだ。
どうやらBeanは東京駅構内の階段を上りすぎたようであった。
早速東西線に乗る。
ラッシュアワーだというのに,東西線はすいていた。
高田馬場について,B社まで歩いた。
もう地図なんかなくてもたどり着くことができる。
B社は2次試験も筆記試験を行うという会社なのである。
普通は一次試験以外は面接を行う会社が多いのだが,B社は最終面接があるの
みであった。
筆記試験ということで気合を入れて行ったのに,初めは少しだけ会社説明の続
きと,現場の社員のお話を聞く時間が設けられたので,拍子抜けしてしまっ
た。
そのお話の終了後,筆記試験が行われたのである。
問題冊子が配られた。
「あれっ!これ昨日の会社の問題冊子にそっくりだ」
そして試験が開始され,問題を見てみてびっくり。
ほとんど同じ内容の問題だったのである。
こういうことがあるなんて。
昨日の筆記試験は,夕方遅くまでかかったけど,受けて良かったとちょっと思った。(^_^;)
もちろん昨日よりたくさんの問題を解くことができたのはいうまでもない。
正解しているかどうかは別として。
ちなみに、前回山手線の車内で話し掛けてきた適性検査の不得意な学生は、どうやらまた適性が無かったらしくいなかった…
試験が終了し,就職活動大遠征での目的は達した。
帰りは来た時と同じように,高速バスに乗る予定だった。
高速バスは往復で買うとさらに料金が割り引きになるからだ。
今現在高田馬場にいるので,このまま下落合から乗ったほうが近いのだが,申
し込む時に池袋駅からということにしてあったので仕方がない。
バスの時間までちょっと時間があった。
そこで東京観光をすることにしたのである。
東京観光といっても,東京タワーとか,都庁とか,そいうところにわざわざ行
くのではない。
すぐそばにあるところに行ってみるのである。
八重洲で買った地図には,観光情報なども載っていた。
見てみると,高田馬場にはボタンの名所があるではないか。
時期的にはちょっと早いが,早速歩いて行ってくることにした。
歩くこと約5分。
とおりから少し入ったところにその名所はあった。
入り口から入ると,そこにあったのはボタンではなくて大きなシダレザクラ
だった。
満開に咲いていた。
きれいな庭のあるお寺だった。
さらに進むと,ボタンのが植えられている区画があった。
しかし時期が早すぎて,咲いているものは一つしかなかった。
でも咲いていたから良かった。
さらに上に上ると,頂上にはお墓があった。
そうである,ここはお寺なのだ。
ボタンを満喫するというよりは,桜を満喫して満足した。
高田馬場の駅方面に戻る。
お昼を食べるため,をとめ山公園というところに行ってみることにした。
をとめ山公園は新宿区にあるというのに,たくさんの緑がある公園だった。
都会だからといって,コンクリートやアスファルトのみというわけではないの
だ。
ベンチに腰掛けておばさんからいただいたお昼を食べる。
「長かった就職活動大遠征。今日で終わりなんだなぁ。」
そんな風に思ったら,実は楽しかったことに気付いた。
独り暮しを初めてはや1年。
やはり独りで暮らすのは寂しいものだと思った。
もう家に帰ってもおいしいご飯は待っていないし,朝起きても甘いお団子は
待っていない。
そして一番寂しいのは,いろいろその日あったことを話す相手もいないのだ。
いろいろと聞かれると,うるさいなぁと思うけれど,聞いてもらえないと,そ
れはそれで寂しい。
Beanとおじさんやおばさんは,両親とはまた違った関係にあるけれど,私を心
配して大切に思っていてくれていることに変わりは無いことを再認識した。
そんなふうにいろいろ考えていたら,涙が出てきた。
もう新潟に帰らなくちゃならない。
おじさん,おばさんいろいろとありがとう。m(__)m
そう感謝しながら池袋に向かうBeanだった。
池袋の高速バス乗り場には,いろいろな方面へ行く高速バスが止まるのだ。
Beanがついてからも,何台もの高速バスが乗客を乗せて走って行った。
そんななか,金沢行きの高速バスが乗り場に着いた。
待っていた乗客が乗りこんだ後,アナウンスがあった。
「○○さん,△△さん居りませんでしょうか。」
どうやら発車時間だというのに,申し込んだ乗客が来ていないらしい。
数分待ったが,発車することになった。
「○○さん,△△さん,お乗り遅れです!」
そうアナウンスして,金沢行きの高速バスは発車してしまった。
お乗り遅れってわざわざ言ってもしょうがないのに。変なアナウンス!
そう思ったBeanだった。
しばらくしたら,とある男性が走って乗り場にやってきた。
係員の人と話している。
どうも彼が金沢行きの高速バスに乗り遅れたうちの一人らしいのである。
彼はすぐさまタクシーを捕まえ,次の停留所までタクシーで行くことにしたら
しい。
間に合うのだろうか。
やっと新潟行きの高速バスが乗り場にやってきた。
予約した席に座ると,バスは発車した。
下落合の駅を過ぎた頃から,Beanは爆睡体制に入った。
練馬のバス停に止まったという記憶がない。
おまけに高速に乗ったという記憶すらなかった。
気がついたら高速に乗っていたのである。
高速に乗ると,もう乗ってくる乗客はいない。
意外に空席が目立っていた。
そのため,乗務員の方から「空いている席に移動してもいいですよ」と言われ
た。
何だか目が覚めたから言われたような気がして恥ずかしかった。
帰りのバスの中では,極道の妻のビデオが上映されていた。
でも,この前テレビだ放送されたばかりのものだった。
あんまりちゃんと見ていないけど,極道の妻より眠さの方が強かった。
また眠りこけるBean。
途中何回か眠りつつ,新潟に無事到着した。
これにて就職活動大遠征は完全に終了したのだった。
数日ぶりに自宅に帰る。
新潟駅からバスで自宅近くまで移動し、バス停から自宅アパートまで歩いた。
くたくたでバス停から自宅までの道程が長く感じられた。
やっとのことで自宅アパートの隣の家の前まで来た。
すると隣の家の前に何か落ちていた。
またである。
確か出かける時も物が落ちていた。
近づいてよく見てみると、それは出かける時に見たウシガエルの死体だった。
出かける時に見た死体は、まだ死にたてだったせいか、ウシガエルとわかるほどみずみずしかった。
でも、今度見た死体は干からびて干物になっていた。
なんとも痛ましい姿だった。
どうやらウシガエルの死体は、Beanが関東方面に遠征に出かけている間中、隣の家の前に放置されていたらしい。
そして、ウシガエルの干物をあとにして、自宅に戻った。
自宅の入り口が新聞や郵便物ですさまじいことになっていた。
早速郵便物の確認をした。
するとNS社から郵便が届いていた。
「なんだろう。試験結果かな。」
そう思って開けてみたら試験結果だった。
4月30日に受けた一次試験を通過できたとの通知だった。
「やったー!通過したー!」
ところが!喜ぶどころではなかった。その続きを読んで恐ろしい事態になって
いることが判明した!
何と次の2次試験は「4月14日(金)午後」とあるではないか!
4月14日とはまさしく今日である。
どうやらBeanは2次試験をすっぽかしたということになってしまったらしい。
これはヤバイ!
すっぽかすつもりなんてさらさらないのに!
夜10時くらいだったが,とりあえずNS社に電話をかけてみた。
何と電話に人が出たのである。
しかし,担当者ではなかったので後日掛け直すこととなった。
どうやらBeanが大遠征に出かけたその日にこの通知が届いたらしい。
今回の大遠征にあたって,Beanは最新兵器を投入していた。
就職活動情報をWebでも確認できるようにと,コミュニケーションパルを使う
ことにしたのだ。
もちろん大遠征中はWebはもちろんのこと,全てのメールも毎日確認してい
た。
しかしながら,郵便物で通知が行われてはどうしようもない。(T_T)
ちょっと不安にかられつつ,眠りにつくBeanであった。