今日もまた東京での会社説明会だ。
前回とは違って,今日は午前からの説明会である。
そして,午後は別の会社の説明会があるのだ。
東京に9時には着いていたいから,朝はとてつもなく早起きをしなくてはなら
ない。
Beanは朝が苦手なので,早起きしなければならない事は苦痛だった。
とにかく7時前の新幹線に乗らなければならない。
ということは,家を6時前に出なければならない。
でも,新潟駅行のバスはそんなに早く走ってはいなかった。
というわけで,自力で新潟駅に行かなくてはならない。
一つの方法としては,最寄駅まで歩くという方法があるのだが,疲れるのでこの
方法はやめにした。
体力勝負の就職活動。出来るだけ体力を消耗しないようにする事は大切だ。
そして考え出したのが,車で新潟駅に行くという方法。
「新幹線に乗る人は,JRの駐車場料金が割り引きになる」という特典があるのだ。
これを利用しない手はない!
ただこれにも問題点があった。
Beanは駅南のJRの駐車場に止めたことが無かった。
これが悲劇の始まりだったのである。
5時半。まだ夜が開けきらないうちに家を出た。
愛車に乗って,途中朝食をコンビニで調達して,駅南へ急ぐ。
駅南に出るには,笹出線を走る方法もあるのだが,万代の方から細い道を通っ
て駅南に出る道のほうが近道だ。
Beanは去年,曲がらなくてはならないところを曲がらなかったため,間違えて
新潟駅の中央口方面に出てしまった経験があった。
「今度こそ間違えないぞ!」
気合だけは十分だった。
今回はうまく駅南に出ることができた。
問題は駐車場の入り口がどこなのかである。
駅南に駐車場が広がっている事は知っていた。
だから,その駐車場に止めればよいと思っていたのだった。
すぐに駐車場入り口を発見!
でも,新幹線の券の事なんてどこにも書いてない。
「この駐車場で良いんだろうか。でも,駅南の駐車場だし,駅員さんに聞けば分かるだろう。」
不安に思いつつ,車を止めて駅に向かった。
不安だったので,早速駅員さんに聞いてみた。
忙しそうだったけど,教えてくれるだろうと思った。
ところが,券を見せたら「この券じゃ無いね。」とひとこと。
それ以上の事は忙しいからと教えてもらえなかった。
とってもサービスの悪い駅員さんだった。
「『この券じゃない』ってどういうことだ?」
意味が分からず駅から駅南の駐車場を見てみると,駅南の駐車場は2つに区切
られているではないか!
そんなことすら知らなかったBeanであった。
でも,駐車場が2つある事は分かったけど,その駐車場の入り口が分からな
い。
はて困った。新幹線の時間は迫っているし。
新幹線の改札そばのお店のおばさんに聞いてみた。
すると,こころよく駐車場の入り口を教えてくれた。
さっきの駅員さんより,ずっと親切だった。
「ありがとうございましたっ!」
そうお礼を言って,ぶっ飛んで行くBeanだった。
「新幹線に間に合わない!」
駐車場から車を出して,料金を払って,もう一つの駐車場に車を移動させた。
今度の駐車場の入り口には新幹線割引の事がキチンと書いてあった。
慌てて,新幹線改札を目指す。
改札をくぐりぬけ,新幹線に飛び乗った。
ホッと一息…何気なくかばんの中の持ち物を確認した。
「あれっ!ないっ!財布が無い!」
さっき駐車場料金を払ったから,家に忘れてきたわけではない。
でもなぜ鞄の中に財布が無いのか。財布はどこへ行ってしまったのか?
焦った。
予備のお金さえ鞄に入れてなかった。
完全なる準備不足。最悪な事態だった。
もう新幹線が発車してしまう!
1度改札をくぐってしまったので,もう改札を出ることはできないと思った。
でも,「お金を何も持たないまま東京に行かなければならないのだろうか。」そん
な不安が頭をよぎった。
とりあえず,柏崎の両親に電話してみることにした。
こういう時に,PHSは便利なものである事を痛感する。
突然早朝に電話をかけられた両親は,娘のとんでもない話に驚いていた。
結局,途中の長岡までお金を届けてもらう事になった。
父は朝から長岡まで車を走らせる羽目になった。
本当に申し訳無い。
どうしようもない娘である。
新幹線で長岡まで行き,一旦新幹線を降り,長岡の新幹線改札のところで父を待った。
もう2本あとの新幹線だったら,9時半には東京に着くので,10時半からの会社
説明会には間に合いそうだった。
父は長岡駅にやってきた。
父も慌てて家を出たので,母から受け取った財布を持ってきただけだった。
私は母のほぼ全財産を父から受け取ったのである。
済みません。慌て者な娘で。
相変わらず親離れできていないBeanだった。
かなり反省。
父に見送られつつ,2つあとの新幹線に乗って東京に向かったのだった。
まだ朝の8時だというのに,とても長い時間が過ぎたように感じられた。
今日は本当に恐ろしい日だ。
今日を含め,世の中は3連休だった。
新幹線の車内は,東京に観光に出掛ける人が多かった。
いつもより込み合っている車内だった。
しかも,越後湯沢以降がすごかった。
越後湯沢でものすごい人数が乗りこんできたのである。
車内放送によれば指定席は満席だとか。
自由席は席に座れない人がたくさん出た。
Beanは自由席の一番後ろの席の真中に座っていた。
長岡から乗車した時点で,ほぼ満席に近く,そこしか空いていなかったのだ。
Beanは朝ご飯を食べて,一休みしようと思った。
シートの背もたれにもたれかかった時,頭が何かに触れた。
「なんだろう?」
そう思って降り帰ると,椅子と壁の隙間に人が立っていたのである!
その人は,降り返ったBeanに驚いて,見下ろしつつ「すみません」と言っ
た。
いくら混んでいるとはいえ,あんな狭いところに入りこむ人がいるとは驚き
だった。
何だか常に後ろから監視されているようで,いい気分はしなかった。
東京駅に着いて,山手線に乗って有楽町駅で降りた。
有楽町が東京の次の駅だったなんて知らなかった。
経路検索をPCにやらせると,そんな事態になってしまう。
会場の東京国際フォーラムはとても大きな会場だった。
今日の午前に説明会を行う会社は外資系のデータベース会社のNO社である。
何とか説明会には間に合った。
ホールに入ると,まず受付をした。
すると,なぜかリップと水がもらえた。
タダでものがもらえるだけで上機嫌になるBean。
会場は学生でごった返していた。
この会社の会社説明会は,ネット上で予約しなければならなかった。
説明会参加者を追加募集した時に申し込んだので,申し込み開始時間はPCの前
で待ち構えて,やっとの事で予約を取った会社だったのだ。
会社説明会だというのに,何かのショーのような説明会だった。
舞台の上で,何本ものビデオと話が展開されていた。
とにかく派手だったのである。
質問時間も設けられたが,一人の担当者があまりに多くの学生を相手にしなけ
ればならないので,非常に効率が悪かった。
挙句の果て,
「○○という所の説明がわからなかったのだが,○○とはどうい
うことなのですか」
という学生の質問に対し,
「○○という部分の説明については非常に分かりやすかったと思うのです
が…」
と答えていた。
学生の質問に答える気があるのだろうかと少し思った。
おまけに声も小さく,全員が質問の内容と質問に対する解答を聞く事はできて
いなかったと思った。
そんなこんなで会社説明会は終了し,会場を後にした。
のんびりしている時間はない。
次の会社説明会が待っているのだ。
次の会社は八丁堀にある会社。
例の経路検索によれば,有楽町から八丁堀までは東京駅から京葉線に乗ればい
いらしかった。
再び有楽町から山手線で東京駅に戻り,東京駅構内で京葉線に乗った。
といっても,京葉線は千葉方面行の電車。
連休初日だったせいか,東京ディスにーランドへ行く家族連れが多かった。
ちょっとうらやましく思ったBeanだった。
しかしながら,京葉線は山手線から降りたホームからとても遠かった。
八丁堀に着き,地下から地上に出たのだが,ここで全く方向が分からなくなっ
てしまった。
要するに道に迷ってしまったのである。(T_T)
ネットからプリントアウトした地図は持っていたが,そんなに詳しく載ってい
る訳ではなかった。
道行く人に尋ねたりもしたが,あんまりよく知らない感じだった。
とりあえず歩いてみる。
すると,ガソリンスタンドがあるではないか。
道路の事なら詳しいに違いない。
早速尋ねて見ると,Beanは全く逆の方向に歩いている事が判明した!
おまけにプリントアウトした地図の範囲外に来ているというのだ。
親切なガソリンスタンドの方に道を教わり,軌道修正。
説明会の時間も迫ってきたので,PHSで会社に連絡を入れる。
すると会社はすぐ目の前である事が判明した。
何とか説明会には間に合った。
今日は何かと災難の多い日だと思った。
八丁堀にあるSB社は,ソフトウェアのベンチャー企業だ。
会社の説明をしてくださったのは,社長自身だった。
社長といってもとても若く,そこに居合わせた会長も若かった。
通信関係のソフト開発の他に,この会社の特徴はシュミレーションの技術だっ
た。
北海道であった落石事故のシュミレーションもこの会社が行ったそうである。
しかしながら,このSB社の会長は何でもはっきり言う人である。
あまりに何でもはっきり言うものだから,その迫力にすっかりBeanは驚いてし
まった。
顔はやさしそうなのに,言う事はとてもきついのである。
その会長の迫力にすっかりビビッてしまったBeanは,この会社はBeanには無理
であろうと思った。
そんなわけですごすごと帰ってくる事にした。
帰り際,会長をはじめとした社員の方々が見送ってくださった。
会長さんから「東京駅はここから歩いて10分だよ」と教わったので,東京駅ま
で歩いてみることにした。
たしかに,まっすぐ歩いて行くだけだった。
まだ日も暮れていなかったので,八重洲ブックセンターに行ってみることにし
た。
今日ついに道に迷ったので,今後そういうことが無いようにと,東京の地図を
買うことにした。
『東京を歩いてみよう』
そんな地図を購入した。
早速購入した地図を見てみると,今日自分がいかにお馬鹿なことをしていたか
がよく分かった。
東京駅から八丁堀は一駅,おまけに東京駅構内の京葉線乗り場はほとんど有楽
町に近い方角にホームがあるのだ。
Beanはわざわざ有楽町から東京駅に行ったにもかかわらず,東京駅構内から再
び有楽町方面にかなり歩いて,八丁堀に向かったのである。
どうも,有楽町から直接八丁堀まで歩いた方が早かったらしい。
そして東京駅構内へ。
新幹線内で夕食を食べようと思った。
駅弁は飽きてきたので,デパートの地下街で買い物をすることにした。
今日の夕食は゛生春巻き"と゛鉄人の作ったプリン"だ。
新幹線の車内では,そのような物を食べている人は珍しいらしい。
大体の人は駅弁を食べるのだろう。
隣に座っていた女性が,興味津々といった感じで私の夕食を見ていた。
今日の夕食は珍しいものだったがなかなかおいしかった。
すっかり夜となった新潟駅に到着。
そういえば私の財布はどこへ行ったのであろうか。
車の中にあるはずと思っていたら,本当にあった!
でも,サイドブレーキと椅子の間に落ちていた。
これでは忘れてしまうのも無理はない。
駐車場を間違えて,最初の駐車場で駐車料金を払った時,財布を放り投げてし
まったことが原因だった。
本当にいろいろとあった1日だったが,何とか予定を全て終了した。
いろいろと教訓の多い1日だった。