RIPPLE

ずいぶんと久しぶりにこのアルバムを聴いた。
ジャケット写真の表面、ナチュラル感が実は別世界に住んでいる真梨子さんの感じがする。それは、裏面の真梨子さんの写真も、私の知っている高橋真梨子の表情ではないからである。
今思えば、96年の秋から休養を余儀なくされた状況の中でよくこのアルバムは仕上がっている。
そう、「ごめんね」って、こんなにゆっくりな曲だったの。こんなに力を抜いて暖かくうたっていたのか、こんなに伸びやかに歌っていたのか・・・
「ハッピーエンドは金庫の中」も、コンサートで立ち上がって歌うから、ステレオでじっくりと聴くことはほとんどない。すると、懐かしい「巴里の哀歌」の旋律が流れてくる。きちんと、曲が流れている。


「多重人格」
歌詞だけじっくり読むと、ちょっと怖い感じすらする言葉が並ぶ。
不眠に悩むシンガーが、明け方まで部屋に閉じこもっていたかの感じである。ブロードウェイのミュージカルって言われればそうだけど。
後年、オープニングでこの曲を持ってきたのは、そういう使い方の意味。

RIPPLEは、波紋の渦

「Heart Breaker」は、コンサートでこその曲。
尾崎亜美さんの「stop my love」ではなく、高橋真梨子の「Heart Breaker」の世界であるが、キリスト教的な世界観も表現している。
なんといっても、「ごめんね」
そして
「家へ帰ろう」 「日溜りのWedding day」の暖かさとの対比は極端である。


「夜明けの走者」の中のあるフレーズが気にかかる。
そしてこの曲の歌い方は、真梨子さんの歌い方ではあるが
若い頃の、歌詞をぶつけてくるようなせつなさを感じてしまうのである。

一人この道 迷って 迷って そしてこの道
孤独の中に 振り向けば君がいる


あの1996/11/28の東京厚生年金会館のコンサートも、
すべては真梨子さんが通ってきた道である。
この秋、ようやく真梨子さんはファンクラブを創る。