一音一文字の世界

藤岡友香さんの1st Mini アルバム「 T 」を聴いた。
まだ、メジャーデビュー前に自作のアルバムをリリースすることは
とても素晴らしいことだと思う。
ここでは、率直な意見を述べたいと思う。

もちろんまだじっくりと聞き込んでいるわけではないので恐縮ではある。
そして、おそらくタイトルに書いた 一音一文字の世界 に慣れている私にとって新しい世界がそこにはある。
もとより藤岡友香さんは、アメリカ東海岸を中心として留学そして音楽活動をされておりその原点は、一音一単語の世界観である。
簡単に言えば、ひとつの音にひとつの意味を持った英単語が載ってくる曲の世界で歌唱されてきた。しかし、日本語の曲は、16分音符のような曲は別として、基本的にはいくつかの音のまとまりでひとつの単語を構成していく。それだけ、一文字の発声でいくつかの音のまとまりが織り成す単語の世界観は、シンガーの実力によって大きくその表現されたイメージを変えていくに違いない。
高橋真梨子さんのファンなのであえて取り上げるが、ラテンやジャズを歌っていた真梨子さんが、日本語の歌詞って大切にしたいと感じてソロアルバム「ひとりあるき」をリリースしたのである。

長い前置きになってしまったが、CAFE  DUCEで開いたliveで藤岡さんが歌われた「Close to You」は、まさに一音一単語の世界を、さらりとそして深く表現されているのであり、その彼女が一音一文字の世界に入ってきたという感覚でとらえていくのが、このCDの聴き方なのだと感じでいる。

誤解しないで読んで欲しい。
私が感じるに、歌詞の中の文字情報量が多いと感じるところもある。
言葉で語り歌にする。イメージ描写でない分ストレートな恋愛が描かれる。

それは、藤岡さんが歌う場所を求め、
なにかを伝え表現し続けたいいう熱い気持ちの現われなのだろうと思う。

そしてそれをあえて一言で言えば、出身地の仁尾浜の海岸に押し寄せる
「波の世界観」ではないかと感じている。

凪の海、押し寄せてはひいていく波。
まだひききらないうちに次の波が押し寄せる。 規則的であるようで非規則的な、まるで揺らぎの世界。

その波の中に、恋愛模様が表現されている。それが、アルバム「 T 」である。

そんな心象風景を描きながら、
「ありがとう」を聴いていたら
夕日が沈んでいくイメージが自然に浮かんできた・・・・