AFTER HOURS どこまで失恋相手を許せるか

アルバムDear の結末は、永続的な赤い愛ではない。すでに、失恋相手を許している自分がそこにいる。

AFTER HOURSとは、何に対しての時間帯なのであろうか。
知り合って、どこかに初めて出かけるワクワクとしたデート。
夏空駆けて愉しんだ思い出。
しばらく逢えないと寂しく体を震わせた終電車のベル。

また来週って言ったのに電話に出ない恋人。
携帯はもちろん、留守番電話なんて当時は存在しない。
駅の改札で待っていた彼女。

そんな純な恋愛の後に待っている、ふと自分に問いかける客観的な瞬間。
そのうちに秋になり、涼しい風が吹いてきた・・・・

あれだけ学生運動に、集会に出ていたのに
就職だといって、髪を切ってきた彼。そんな名曲もあった。

午前3時に、LPレコードを聴いている人はまれかもしれない。
しかし、そんな恋愛の終わりをふと頭の中をよぎらせる回想の恋愛がAFTER HOURSである。
名曲中の名曲
「涙もろいペギー」
例によって3曲目の
「ジャズシンガー」
後年真梨子さんがインタビューで応えていた歌っていて涙がでてきてしまうのでコンサートのセツトリストからはずしてもらったという名曲
「女友達」


TVドラマ「花ホテル」の主題歌として使われた
「Come back to me」
7曲目の
「DJがいつもかけるうた」

今でも、輝いている
「OLD TIME JAZZ」
ゆったりとした時間が流れる
「二人でスローダンス」

本当に名曲中の名曲が並んでいる。

夜明けから、赤い恋愛、そして失恋相手を許した心の時間
LOVENDOW から始まるそんな、恋愛3部作が見事に完結している作品である。


1982年伊藤強先生との対談より転載 

AFTER HOURSについて、真梨子さんはこう語っていた。

「ひと昔前の私の雰囲気を、メロディーやサウンドではなく、言葉で出してみよう、ということをヘンリーとしゃべったのね。それと、歌のテーマは、恋愛論ばかりではなく、
もっとほかのこともさがせるだろう、とうことも。そしてトータルなイメージをはじめから作っていくのではなくて、ひとつの歌から、そのつぎの歌ができていくというやりかたをやってみた。
たとえば『涙もろいペギー』という歌があって、つぎに『女友達』ができてくる。最初のほうは、ペギーが歌われているのだけれど、あとのほうの歌では、ペギー自身がうたっている感じ。だから、出来上がってみたら、それなりに統一感みたいなのがあって、ヨカッタジャナイということになったのね。
それと、バックの音は、
同時録音したケースが多いの。微妙に乗りが違うのよね。」


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