電 話

LOVER'S BELL

time of loveに収録

Lady Coastに収録

LOVER'S BELL

92年当時、帰るコールとか、私生きてる(tel)などいうフレーズが流行った。恋人が存在する異空間をつなぐラインは切ない糸電話なのかも知れない。

年上の彼女(年下かも知れないが、少なくともシチュエーション的には女性のほうが相手を暖かく見守っている。ちょうど「Bad Boy」に出てくるような関係である。もっとも真梨子さんをダブらせていれば自然とこうなるのだ)が、結婚して、違う道を選ぶ彼に許しを請いながら、心の中で愛し続けていくという名曲である。作曲が林有三さんだというのがまた素晴らしい。「貴方が生きたLOVE SONG」の編曲者である。

電話はなぜコンサートで歌われないのであろうか。私の想像を超えたところにあるのだろうが、コンサートのtime of loveで述べたように、聴けなかった曲が耳に残るというのも不思議な体感であった。
誰もいないくなった部屋、おそらく一緒に暮らしていたのか、何度も楽しく過ごした部屋なのか、もうそこには何も残っていない。一人だけ約束を破って永遠の旅に出た彼女に、電話している自分。愛の言葉伝える電話をかけても、二度と声は聴けないはずなのに。もしかしたら、もしかしたら・・・と。

ふと思った。
こんな愛の形もあるかも知れない。
大人になって、昔の自分に自分が電話している(回顧して思い出している).のだ。
つまり、相手は そう「君の幻」という言葉は、実は昔の自分なのだと感じ取れる。
純粋で、一途な恋に敗れ、失恋に涙を流した自分なのだ。それくらい、当時の恋人が好きだったのだ。


近年の「そばにきて」「my Singer」を聴いていると、とにかくつらい経験をしている頃の自分を見つめている、少し冷めた自分の存在がますます感じ取れる。

こういう、「恋愛の鏡に写った自分」が、
この電話の深層にあると感じ取った。
もちろん考え過ぎであろう・・・・・もっと素直に聞けばよい、実は素直に聞くと切なくなりすぎてしまうのである。


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Lady Coastコンサートパンフより  THE BIRD CORPORATION





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