窓辺のアダージョ

VDR-1546

Eternally

ちょうど私が結婚をまもなくむかえようとしていた秋、TechnicsのCDプレーヤーの調子が悪くなりVICTORに買い替えたころであった。深夜、へッドフォンで聞いていると、突然今まで聞いたことのない旋律が流れ始めた。
窓辺のアダージョ その夜明けや朝もやの中に見えるようで見えない陰が感じられた。
この楽曲は、真梨子さんのお父様への曲であると私は思っている。もう一度聞いてみてほしい。
そして、もう一度リフレインするとそこに現われてくるのは、実は日常のちょっとしたseenなのだと感じている。
さっきまで、キッチンでことことと食事の準備の音が聞こえていた。キッチンに行ってみるとそこにいるはずの奥さんがいない。どこへいったんだろう・・・・・こんな身近な、「ある存在の存在感」がこの歌のseenなのである。なんとなく、ソウルオリンピックの喧騒感の中で、この曲はまったく異質の時間を演出してくれた。

ヴォーカリストの真梨子さんが、一生懸命楽器を練習し、不満足な音を出さないように直前まで楽屋でも練習していると聞く。

      夜になればスターライトの 光あびてピアニシモ
        優しさに満ちあふれた あの背中に会いたい

お父様の幻の姿をみながら、ステージの上に立つ自分の存在と、そしてヘンリーさんの優しさに重ね合わせている安心感が感じられる。
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真梨子さんって、ギター弾くんですね?」
「ええ、カプリシャスのときから弾いていたんですよ・・・・・」


レストラン・ヴェランダの庭園の噴水の前で、うちの奥さんのこんな初歩的な質問にも真梨子さんは微笑んで答えてくれた。そこには、私の人生を変えた2人の女性の「初めての会話(出会い)」があった。
わずか数秒間だが、貴重なとっても大切な嬉しい瞬間であった。

「存在の存在感」、真梨子さんを聴いていると、日常の中のこんなちょっとしたseenに幸せを感じられるようになる。それは、真梨子さんが、自分の心の中で輝き続けているからである。



































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右の写真は、2001/11発行の車の
専門誌NAVIに登場されたヘンリー広瀬さんである。
おそらくライカのカメラと年代モノのフルートを携えてのポートレイト。

とってもダンディで参考にしたいですね。

NAVI 2001/11
発行 株式会社二玄社