真昼の別れ



真昼の別れを聴いた。シングルなのにすごいアルバムである。2曲でアルバムになっている。

恋人に別れを告げるとき、LPを聞かせて、その曲でメッセージを伝えようというのは
かなり自己中心的な方法である。
そんなことは十分にわかっているのだが、この曲には2人の女性が登場する。

主人公の彼女、新しい恋人。
最近の曲で言えば、my Singerにでてくる女性関係の微妙な距離感が、すでにこの曲の中に
描かれている。曲調からいえば、この2曲は対の関係にあるのかも知れない。













1曲目の「真昼の別れ」は、MARIKO-t のAORである。当時一番私が聴きたかった真梨子さんのリズムと声の伸びがある。しかし、このMARIKO-t のAORを、なんとアコースティックな「橋真梨子」が見事にカバーしてしまったのである。すごい。しかも、TOKUさんとのコラボレーションがたまらない。

私はこんな聴き方をした。1曲目で描かれているのは、実は「新しい彼女」なのである。選ばれた彼女である。仕事もできる。ファッションセンスも六本木ヒルズをスーツで歩くような都会的なシャープなセンスがある。英文の資料を抱えているかも知れない。彼の心の中にそんな彼女が存在することを奏でている。

そして彼女の存在を知ってしまった、失恋するありふれた「私」が心の中からしぼり出すような想いで、2曲目を奏でていくのである。そんな思いが伝わるから、「今日別れ話を」言葉にできない彼氏が、まだそばにいて、ぬくもりを伝えている。そして、そのぬくもりで別れを伝えていこうとしていくのである。
だからVoのTOKUさんは、ハーモーニーしながら「言葉にできない」という部分の歌詞を歌っていない。失恋の距離感。この距離感を私は感じている。        (2005/5/22)

(VICL35492)







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二人の真梨子さん

「あなたの空を翔びたい」のオリジナル盤と再プレス盤

「真昼の別れ」のジャケットではないが、真梨子とMARIKOという感じである。

VIH1035 ビクター音楽産業株式会社





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