単色の Gradation

座席の女神が与えた幸運は、2階席の6列目であった。
2階から見るステージは、あのロール状のスクリーンの変化を体感させた。

GRADATION  色の変化

もとより色は単色である。その色の徐々に変化しているように見える階層
は、真梨子さんのステージの時の長さを感じさせる。

「高橋真梨子というコンサートシンガー」はすごい人だ。


大変僭越ながら、私は1年前、1F後方席で、コンサートを楽しむというよりまるで客観的に見てしまい、歌い方の変化・声の出方の変化を感じて、「私の知っている高橋真梨子」はどこへ行ってしまったのかと述べた。

それは、for you・・・なのであるが、直後のSONGSでは1993年のカーネギーの収録部分を入れるなど、
実はその思いを増幅する心配なこともあった。

しかし、昨年秋から、
真梨子さんは歌唱の仕方をおそらく変えている。
高音に力をこめて強く発声することで、
より透明感のある、よりPUREなfor youに仕上げている。
素晴らしい。
すごい。プロの仕事である。

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背面のスクリーンが赤くなる。2階から見ると真梨子さん自身が
i になっていく。

赤い愛・i のグラデーションに包まれる「コンサートシンガー橋真梨子」

浪漫詩人で天空に戻った魂が、
ランナーで、一筋の光になって戻ってくる。
愛の力で戻ってくる。


そして、ステージが明るくなる。

オープニングのTEARで閉められた「愛のドアー」が、一気に開かれて
まばゆい愛の光に包まれる。

とびらを開けて・・・・・・・・

孤高の浪漫詩人は、遠い未来を見つめていく








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2009/7/25
東京国際フォーラム

THE MUSIX2009.9