旅と音楽 vol.4
SWEET JOURNEY

はじめてその街を見たとき、灰色の空に土色の建物が、中欧そのものを語っていた。
ロンドンやパリならまた行けるかも知れないと思い、ウィーンというのもお洒落かと思って
オーストリア航空(といっても機材は全日空のDC10であったが)で11時間。
予約したホテルもインペリアルホテルの向かい側、リンクに面したオペラ座から100Mの
歴史的建造物を改装したばかりの ANA GRANDE ホテルであった。
前の週まで32度の夏日、ソムリエ選手権が開かれているニュースをみて、夏服で行ったら
なんと連日15度という夏である。もとより、稚内より北にあるのだから当たり前。

1週間もいるとウィーンのすべてを見ることができる。王宮博物館はもちろん、ハプスブルグ家の宮殿シェーンブルンや、避暑地でありクリムトの美術館になっているベルべデーレ宮殿、そしてモーツアルトの家や心理学者フロイトの住まい・・・お得意の博物館めぐり、ウィーン大学の回廊。ワインというより黒ビールの居酒屋。海外で居酒屋に入ったというのも思えば珍しい。
石畳のストリート。そして、モーツアルトというカフェ。

Wien
97年のニューオータニでヘンリーさんが、海外公演の候補地としてウィーンの名を上げ、今回は香港になりましたというアナウンスをされたのも、ひとつのきっかけであった。ちょうど世紀末のイメージが薫る街である。そして街角のカフェにまさしくウィンナコーヒーが香る。


平日 ひと気の少ない博物館。階段に足音が響いた。学長のブロンズ像、アイザック・ニュートンの銅像が並ぶ大学の回廊。

「浪漫詩人」のリフレインがよぎった。
ロケーションは異なるが
「カイロから来た男」

市庁舎前のギリシャのアポロンの像。
夜は、市庁舎前の広場で、カラヤン指揮の
クラシックのフィルムコンサートが映写される舞台となる。ちょうど、ダイアナ・ロスがコンサートを開いていた。しかし、会場はヒルトンホテルの大広間であった。ポップスにふさわしいコンサート会場はないといってよいのでは。


少し足を伸ばして、ザルツカンマーグートに行く予定を変更。市街地より80kmほどはなれた修道院メルクの青空、そしてその宗教的な建物の上を、見事な青空が広がっていた。
ヨーロッパに来たなぁという感覚。そしてドナウ川をかなり大きな観光船で下る。
「航海のヴァドゥ−ラ」 ホントですよ。

Phot by MDF(アルバムより転写)




.

Photo by MDF

その宗教的な色彩と
市街地なのにその華やかさを打ち消す
灰色の空と土とレンガの色。

そう、ドナウ川は粘土質の川で
青きドナウではなかった。


真梨子さんも欧州の灰色の空には
ひかれるものがあったと述懐された
放送を聴いたことがある。

HOME PROFILE

CONTENTS