Sunny Afternoon
竜 真知子さんの世界
コンセプトアルバムは、今のCDアルバムとはまったく違う構成である。
一言で言えば、1-7-LASTの選曲といえる。正確に言えば、アルバムのオープニングとB面の2曲目、そしてlastの曲である。ぜひ、初期アルバムのセツトリストを見てほしい。CDで言えば、7曲目がLPのB面の2曲目になる。
A面B面の2部構成のコンサートと考えれば、コンサートの中心にドンと座るのがB面の2曲目。アルバムDEARでは、見事に「for you...」が位置している。
「ハート&ハード」は、車のCFで使われたわけで当時耳になじんだが、尾崎亜美さんの貢献も大きいだろう。いわゆる当時のニューミュージックの世界観とはことなり、尾崎亜美の世界として、甘くメロウなハスキーヴォイスが魅了した。その世界観を、少しとんがった硬い声の真梨子さんが表現している。
B面2曲目の考え方とみれば、このアルバムのメインは、「ジャスト・ホールド・ミー」である。当時のTVドラマの主題曲として、毎昼流れていた。
この曲の舞台は、わたしは青山通りか明治通りだと思っている。歌の世界にぴったりな歩道橋がある。その歩道橋から見る車のライト。エレキギターとは思えないほどアコースティックに聞こえる素敵な音色が、そのライトを表現している。
そして、この竜真知子さんの詞の世界が、「君と生きたい」までつながっていくのである。
「サンライズ・サンセット」の竜さんの作詞。
そして、来生えつこ・来生たかおの姉弟のコンビも、真梨子さんの固くて寂しい世界を創ってきたアーティストといえよう。
アルバムのコンセプト的には、「ひとりあるき」のはっきりとした恋と失恋に対して、少し位相を変えた恋の形を表現している曲が多い。
その意味では、真梨子さんの世界の始まりといえるアルバムなのかもしれない。
.