tip top

1997/4/20 -ニューオータニで、初めてのペーパームーン主催のファンの集いが開かれた。なぜか当日、最前列のテーブルにいた私は、当然フィルムカメラのアングルもよい位置でたくさんの真梨子さんの写真を収めている。もちろん病み上がりのどこと無く不安な表情の真梨子さんである。
そのパーテイで、ヘンリーさんが、今年は香港のコンベンションセンターで杮落としのコンサートを行いますと発表された。

9/26にリリースされたこのアルバムは、当然そのことを十分に意識して創られているアルバムである。過去2回の海外公演のコンサート演目とは趣旨が異なると思ってよい。
香港といえば、ビクトリアピークから見る夜景である。
その頂上topから見る夜景の素晴らしさは、「とびきり上等」の意味のtip topそのものである。文字のデザインも、高層ビルが立ち並んでいるようなデザインになっている。
おそらく、このようなタイトル解説を発表した記事は、私が初めてだと思うが、まだ汗ばむ10月末の香港は、まさに夜景の街であった。
九龍側から見る、香港島の高層ビルの照明が時計がわりになっていて、このランドマークをみると「黄昏まで」 の世界に引き込まれる錯覚を覚える。
「Good-by Love」 は、趣のあるフェリーで対岸に渡るときの感覚がある。VTRではゴンドラになっていたが、海の街でもある。

解説リーフレットに掲載されている真梨子さんの写真の冷たい表情を見れば、
「もうちょっと見つめて」が真梨子さんの日常生活のワンシーンからモチーフにされた
作品であると容易に想像できるだろう。

「無伴奏」は、永遠の名曲。バイオリンの間奏がよい。この曲は、決してボレロではない。なぜか最近ボレロ風にアレンジされてコンサートで演奏されるのが、残念である。雨をテーマに沈んでよい曲だ。

「薔薇の女」は、「Heart Breaker」と曲調が被ってしまって残念な気がする。

「不幸せになんか」は、横浜の海辺の通り、神奈川県民会館から山下公園へのあたりを想起させた。この想いは、後に「ラストメール」で実現する。

そして「海色の風」は、同朋という意識で作成された曲。「無伴奏」と対極にある曲である。

おそらくこのHPは、私が香港公演で体感した様々なこと、たとえば出発前の成田全日空ホテルでの高橋千鶴子さんとの会釈からはじまり、出発ロビーそして香港市内観光、コンサート当日の会場でのアフターコンサートパーティ、そして翌日の有名レストラン・ヴェランダでのパーティ(真梨子さんのテーブルから4M)の幸運、しかも私のカメラにきちんと目を向けてかすかに微笑んでくれた写真嫌いの真梨子さんの優しさ、テーブルごとの記念写真での出来事など が無ければ、作成しようとは思っていなかったはずなのである。
今の、PMパーテイのガイドラインからすれば、ずいぶんと夢のような話である。

2007年3月MDF音楽館を開館したとき、リンクのページは「海色の風」にしようと思っていた。そしてその年のツアー「優美彩唱」で、海色の風がラストに流れたとき、こういう応援の仕方が間違ってなかったと少し嬉しかった。

もうひとつ。香港ツアーの感想をペーパームーン宛に送付した。

真梨子さんの曲がではない、
香港の夜景が真梨子さんの曲のなかに溶け込んで行った。
と表現した。

僭越ながら、VTRの編集で、コンサートのラストシーンは、まさにその通り
水面に夜景がとけこみ真梨子さんの姿に重なっている。
ちょっとだけ、ヒントとして取り入れられたのかなと思っている。






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